伊万里市総合政策部様
伊万里ケーブルテレビジョン株式会社様

佐賀県伊万里市内でサービスを展開している伊万里ケーブルテレビジョン様(以下伊万里ケーブル様)は伊万里市、商工会議所、農協等が出資する第三セクターの会社です。

現在サービスエリア全域の光回線化を推進する一方で、公共施設や学校、指定避難所などスポット的に公共Wi-Fiサービスの導入を実施しています。

市民への情報サービス強化を図りたい伊万里市総合政策部様と、地域情報化推進による便利なサービスを提供することが使命と語る伊万里ケーブル様は、情報化社会のありたいカタチを同じ目線で模索していました。

今回、伊万里市総合政策部様が公募した伊万里駅前スポットの公共Wi-Fi環境整備事業に古河電工の既設PONを活用し、無線と組み合わせて高品質な公共Wi-Fiシステムを提案して採用に至った経緯について語っていただきました。

伊万里市総合政策部 商工振興係長
武藤寛様

伊万里ケーブル 代表取締役
  渕上康児様

FTTH化への取り組み状況からお話を聞かせてください

伊万里ケーブルはサービス全域のFTTH化を、2026年完了を目指して取り組んでいます。ベンダー選定の時は古河電工さんのAG-Managerが大きな決め手となりました。本社から全てのPON設備を管理でき、運用面でとても助かっています。古河電工さんとは設立した1966年からの長いお付き合いですね。翌67年に、大水害に見舞われたときは復旧作業で随分助けていただいたと聞いています。今は10G-EPONのセンタ装置を導入して将来の高速化に備えています。

スポット公共Wi-Fi環境の整備を推し進めている理由は何ですか

2015年に観光名所の大川内山に公共Wi-Fiを設置したことが無線サービスのスタートでした。利用者に景観や焼き物など、感動をその場で発信してもらうことで、魅力をより鮮明に伝えることができると考えました。その後、市内13ヶ所のコミュニティセンター(公民館)が災害時の避難場所になることを想定して無線サービスを導入し、GIGAスクール構想の実現に向けた市内小中学校への無線システム導入も推進も検討しています。

無線回線は事務手続きやコスト面で導入の敷居が比較的低いことに大きなメリットを感じています。また、スポット的に高速通信回線を実現したいときやサービスエリアを徐々に広げたいときに、柔軟に対応できる拡張性の高さにも魅力を感じています。

10G-EPONセンタ装置(OLT)

伊万里市駅ビルの公共Wi-Fiはどのようなシステムでしょうか

既設のFTTH設備を無線と組み合わせ、市役所と駅ビルを60GHzの周波数帯を使った無線システムで通信させることが大きな特徴です。ライセンス(無線免許)が不要な周波数帯なので導入のための事務手続きがとてもスムーズでした。通信距離は約1km、直進性が高い電波なのでお互いのアンテナから相手がみえる必要があるなどの制約もありますが、今回の要件については障害になりませんでした。降雨などにより受信電波強度が弱まった場合には、自動的に変調方式を調節して、通信をできるだけ維持する適応変調機能を備えていることも心強いシステムです。

駅ビルの公衆無線を市役所まで無線でつなぎ、そこから先は光回線でインターネットにつなぎます。

スループットも十分なスピードを確保できており、2023年2月~ 3月の試験運用を経て4月から実運用をスタートさせました。駅ビル周辺には商店街もあり、今後、商業地域での需要も見込まれるため、無線ポイントの増設でエリアの拡張に期待できる点は、大きなメリットだと考えています。

コロナの影響もあってイベントも広場や屋外で開催される機会が増えました。駅ビル周辺でのイベントも市民の方にリアルタイムにSNSなどで情報を発信してもらい、より多くの方に魅力を伝えたり、参加者を増やしたりして、市民間の交流が促進されることにも期待したいです。

60GHz無線に期待していることは何ですか

通信に必要な設備の数が少なく、電源を確保できれば通信が可能になるため、期間限定で回線が必要な時の機動力の高さに大きな魅力を感じます。映像も伝送可能なので、例えば来年、佐賀で開催される国スポ・全障スポやイベントの中継などで使えないかも検討しています。

また、突発的な自然災害の発生時に無線だからこそ通信を確保できるシチュエーションがあると考えています。さまざまな選択肢を持っておくことで緊急時の対応の幅を広げておくことも情報化社会において必要と考えています。有線回線のバックアップシステムとして冗長性を高められることも運用側としては嬉しいですね。

伊万里市役所無線機

伊万里市駅ビル無線機

今回古河電工の提案を通して感じたメリットは何ですか

ニーズに基づいて開発された新技術を提案してもらえたことがとてもよかったと思います。構想から立上げまでの期間が短縮される傾向にある中で、ラインアップの豊富さや高い提案力に魅力を感じています。

今回、ご対応くださった古河電工の担当者さんは若い世代の女性で、とても一生懸命やってくれました。現場で奮闘する姿に私たちも力をもらいました。技術者の目線と若年ユーザーの目線でこれからも伊万里市の情報インフラ推進に一役買ってもらいたいと思っています。

伊万里市は「地方に都市の利便性を、都市に地方の豊かさを」実現するインフラとしてデジタル田園都市構想を掲げて地方創生を目指しています。その実現のために必要な種を植えて芽吹かせ、育てていきたいと考えています。地球の裏側の人と画面で会って話をしたり、空を飛ぶ車で移動したり、昔はできたらいいなと思っていた絵空事が今は数多く実現しています。対話を通して絵に描いた餅を現実化できるアイデアに昇華できれば、こんな楽しいことはないと思います。行政とサービス事業者と機器メーカーがアイデアを交換できる場が増えれば、ニーズとシーズがより深く融合できるかもしれません。

機能的でありながら自然が豊かで文化的な都市をめざし、居住地としても観光地としても、そして産業地域としても魅力的な伊万里市にブラッシュアップし続けたいと思います。

伊万里ケーブル 常務取締役
大鋸あゆり様

伊万里ケーブル 技術部部長
  北川倫康様

EtherHaul600TX

ライセンス不要な周波数帯

GE-PONシステムと組み合わせて

使用可能な高速無線通信機器

Point-to-Pointの大容量通信が可能

河川などを横断する場合も、最大1kmの長距

離通信により高速大容量通信を提供可能

各記事の内容および記事に登場する方の会社名や肩書きは取材当時のものです。

2023年4月取材

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