ip nat inside source

そのインタフェースから送信するパケットの送信元アドレスの変換ルールを設定します。
NATモードの場合と、NAT+モード(IPマスカレード)の場合で、設定のしかたが異なりますので注意してください。
パラメータ"static-subnet"を指定することにより、NATの変換ルールを、ネットワーク単位で指定することもできます。

refreshコマンド後に有効になるコマンドです。


設定例1 NAT変換(192.168.0.0/24 → 158.xxx.xxx.2〜158.xxx.xxx.7)

Router(config)#interface ewan 1
Router(config-if ewan1)#ip nat inside source list 1 pool pool1


Router(config)#access-list 1 permit 192.168.0.0 0.0.0.255 ←list 1の部分の設定
Router(config)#ip nat pool pool1 158.xxx.xxx.2 158.xxx.xxx.7 ← pool1の部分の設定
【解説】
ip nat inside source <変換前のアドレス範囲> <変換後のアドレス範囲>
となります。
<変換前のアドレス範囲>は、access-listコマンドで指定します。
<変換後のアドレス範囲>は、ip nat pool <pool名>コマンドで指定します。


設定例2 NAT+変換(192.168.0.0/24 → インタフェースアドレス)

Router(config)#interface ewan 1
Router(config-if ewan1)#ip nat inside source list 1 interface


Router(config)#access-list 1 permit 192.168.0.0 0.0.0.255 ←list 1の部分の設定
【解説】
ip nat inside source <変換前のアドレス範囲> <変換後のアドレス範囲>
となります。
<変換前のアドレス範囲>は、access-listコマンドで指定します。
<変換後のアドレス範囲>は、インタフェースアドレスに集約しますので、"interface"と指定します。


設定例3 NAT変換(スタティック登録) 設定例1の中で192.168.0.1⇔158.xxx.xxx.2のみ固定変換

Router(config)#interface ewan 1
Router(config-if ewan1)#ip nat inside source static 192.168.0.1 158.xxx.xxx.2
Router(config-if ewan1)#ip nat inside source list 1 pool pool1


Router(config)#access-list 1 permit 192.168.0.0 0.0.0.255 ←list 1の部分の設定
Router(config)#ip nat pool pool1 158.xxx.xxx.3 158.xxx.xxx.7 ← pool1の部分の設定
【解説】
設定例1とほぼ同じです。
違う点は、ip nat inside source staticで、NATスタティック変換をしている箇所ですが、この場合も、
ip nat inside source <変換前の送信元アドレス> <変換後の送信元アドレス>
となります。


設定例4 NAT変換(一括変換)192.168.100.0/24←→158.xxx.xxx.0/24に変換する

Router(config)#interface ewan 1
Router(config-if ewan1)#ip nat inside source static-subnet 192.168.100.0 158.xxx.xxx.0 255.255.255.0
【解説】
ip nat inside source static-subnet <変換前の送信元ネットワークアドレス> <変換後の送信元ネットワークアドレス> <サブネットマスク>
となります。
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの変換の組み合わせをスタティックに決める設定を行います。
NATスタティックを複数行なう場合には、マスクを指定し、1つのエントリで指定することができます(複数同時登録)。

例)local=192.168.100.0 global=158.xxx.xxx.0,255.255.255.0 と指定した場合
192.168.100.0 ⇔ 158.xxx.xxx.0
192.168.100.1 ⇔ 158.xxx.xxx.1
: :
192.168.100.255 ⇔ 158.xxx.xxx.255


コマンド書式

【NAT時】  ip nat inside source list <access-list番号> [変換前開始ポート番号 [変換前終了ポート番号]] pool <プール名> [ overload | [変換後開始ポート番号 [変換後終了ポート番号]] ]
【NAT+時】 ip nat inside source list <access-list番号> [開始ポート番号 [終了ポート番号]] interface [ overload | [変換後開始ポート番号 [変換後終了ポート番号]] ]
【スタティック変換】 ip nat inside source static <変換前のアドレス> <変換後のアドレス>
【NATスタティック(一括変換)】 ip nat inside source static-subnet <変換前のネットワークアドレス> <変換後のネットワークアドレス> <サブネットマスク>


パラメータ

パラメータ 設定内容 設定範囲 省略時の値
access-list番号 変換前のアドレス範囲を指定したアクセスリストを指定します。 1〜99
1300〜1399
省略不可
[変換前開始ポート番号 変換前終了ポート番号] 変換前のTCP/UDPポート番号(範囲)を指定します。 1〜65535 自動ポート変換
プール名 変換後のアドレス範囲を指定したNATプール名を指定します。 16文字以内の文字列 NATの場合は省略不可
interface インタフェースのアドレスにNAT+変換します。 interface NAT+の場合は省略不可
overload localのポート番号を必ず別のポート番号に変換する場合に指定
※変換後のポート番号は 1024〜65535
overload localのポート番号を基本的には変換せずに naptを試みます。
すでにそのポート番号が使用されている場合に限り、別のポート番号に変換します。
変換後のポート番号は 1024〜65535
[変換後開始ポート番号 変換後終了ポート番号] 変換後のTCP/UDPポート番号(範囲)を指定します。 1〜65535 自動ポート変換
変換前のアドレス 変換前の送信元アドレスを指定します。 IPv4アドレス形式 省略不可
変換後のアドレス 変換後の送信元アドレスを指定します。 IPv4アドレス形式 省略不可
変換前のネットワークアドレス 変換前の送信元ネットワークアドレスを指定します。
※static-subnetを指定した場合は、host部に1を指定しないでください。
IPv4アドレス形式 省略不可
変換後のネットワークアドレス 変換後の送信元ネットワークアドレスを指定します。
※static-subnetを指定した場合は、host部に1を指定しないでください。
IPv4アドレス形式 省略不可
サブネットマスク 変換をサブネットマスクで指定した単位で一括設定します。 IPv4アドレス形式 省略不可
最大エントリ:スタティック5000エントリ、リスト128エントリ
※:送信パケットに対するNAT(ip nat inside source+ip nat outside destination)の合計となります。


この設定を行わない場合

アドレス変換は行いません。


適用順序

NAT変換ルールは以下の順序で適用されます。

1)static変換ルール
2)listによる変換ルール

同じ種類のルール内では、Prefix長が長いルールが優先して適用されます。
同一Prefix長の設定が複数あった場合には、config上で先に登録されたものが優先されます。
なお、configには、以下の順に登録され、同じ種類については入力順に登録されます。

1)static変換ルール(既存のホストアドレス指定)
2)static-subnet変換ルール
3)listによる変換ルール


IPsecインタフェースでNATを使用する上での注意事項 ※V01.11(00)以降サポート

・VPN-NATと、IPsecインタフェースでのNATの、それぞれ設定に不整合がない場合は、 IPsecインタフェースでのNATが有効となり、VPN-NATは無効となります。
・IPsecインタフェースの動的割り当てには対応していません。
  IKEv1: mode-config
  IKEv2: Configuration-Payload
・IPsecインタフェースでNAT変換する場合でも、該当SAのセレクタ交換時に使用するPhase2-IDは、自動的に変換しません。
  NAT変換後のアドレスでセレクタ交換しなくてはいけないケースでは、 set security-association ipsec-src-idコマンドを利用してください。


設定モード

LANインタフェース設定モード
EWANインタフェース設定モード
PPPoEインタフェース設定モード
VLANインタフェース設定モード
IPsecインタフェース設定モード
ダイヤルアップインタフェース設定モード
トンネルインタフェース設定モード
USB Ethernetインタフェース設定モード

トップページへ