2010年8月4日 | 初版 |
等コストの経路が複数存在するときに、トラフィックを振り分ける機能です。
■ECMPの対象となる経路は以下の通りです。
・スタティック(IPv4およびIPv6)ルート
・イベントアクション経路
・SA UPルート
・OSPFルート(intra-area, inter-area, external)
※同一種別の経路間でのみECMP動作します。
■ECMPの対象とならないトラフィックは以下の通りです。
・自局出しパケット(ESP含む)
■ECMPの設定/削除
【コマンド】
ECMPで登録できる最大経路数を指定します。
・設定
ip multi-path max-paths <1-2>
・削除
no ip multi-path max-paths <1-2>
※コマンドの削除を行うと、最大経路数は【1】で動作します。
パラメータ | 設定内容 | 設定範囲 | 備考 |
---|---|---|---|
経路数 | 最大経路数を設定します。 | 1〜2 | 省略不可 |
■設定時の注意事項
・デフォルトは、ip multi-path max-pathsは、【1】に設定されています。
・refreshにて即時有効となります。
・ECMP機能の動作は、以下の方法にて確認することができます。
1.[show running-cfg]にて、[ip multi-path max-paths 2]が表示されていれ
ばECMP動作します。
2.[show ip route]にて、複数の経路がFIBとなっていればECMP動作します。
《ip route表示例:ECMP動作設定になっている》
Router#show ip route
(略)
S> * 172.17.0.0/16 [1/0] via 100.0.10.2, EWAN1
* via 200.0.10.2, EWAN2
《ip route表示例:ECMP動作設定になっていない》
Router#show ip route
(略)
S> * 172.17.0.0/16 [1/0] via 100.0.10.2, EWAN1
via 200.0.10.2, EWAN2
■振り分け規則
ECMP機能では、送信元(src)IPアドレスと宛先(dst)IPアドレスの組み合わせにより振り分けられます。
例)宛先(dst)IPアドレスのみを1ずつインクリメントした場合
【経路1】
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.100
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.102
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.104
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.106
(以下略)
【経路2】
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.101
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.103
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.105
src: 172.16.0.100 dst: 172.17.0.107
(以下略)
■最大経路数を越える場合の選択
最大経路数は2で、等コストの経路が3つ以上あった場合は、その中からnexthopの昇順で2つが選択されます。
等コストの経路を1本ずつ追加する度にrefreshを実行して経路を有効にしていった場合は、選択される経路は追加した順序通りとなります。
ただし、resetなど装置の再起動が発生した場合は、nexthopの昇順で選択されます。
■経路変更によるFIBの変更
ECMPにより2つの経路を使用して通信がおこなわれているときに、1つの経路がダウンした場合、他にも等コストの経路があればそれがFIBとなります。
OSPF等のダイナミックルーティングプロトコルでは、経路の削除と再登録が起こるため順位が変わる場合があります。