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古河電工時報 第105号

耐加工性に優れた電線の開発

小比賀亮介,立松義伯,目崎正和,東浦 厚

概要

近年,家庭電化製品や自動車電装品に使用されるモーターやトランスなどは,高性能化やコストダウンが以前にもまして重要となっている。このような製品を製造しているメーカーでは,巻線加工工程の高速化と共に自動化の改善が積極的に行われている。更に,製品の高効率化のために高占積率化(機器の全体体積に占める巻線の体積の割合)も進んでいる。したがって巻線に加えられる加工負荷(ダメージ)は以前にも増して厳しくなっており,その結果, 巻線皮膜が損傷する原因となっている。従来はこのような損傷を防ぐために,電線表面へのワックス塗布,自己潤滑化などの表面潤滑性を有する電線の開発が行われてきた。しかし,特に日本においてますます厳しくなる電線加工に対しての要求(例えば,占積率を向上させるために皮膜厚さの縮小が求められる)に対して,従来の手法はこれらの要求を満足するのに十分ではない。我々はこれらの要求に応えるべく,従来の皮膜の自己潤滑化とは異なった観点から,導体と皮膜間の密着性を向上させた電線を開発した。この密着性の改善により,電線の外的要因における損傷に対する電線皮膜の耐加工性が大きく向上した。本稿では,この電線の特性及びその効果について述べる。


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