小澤武廣，石渡伸一，加納義久
概要
アクリルコポリマー［ポリ（アクリル酸2－エチルヘキシル－co－アクリル酸）; P（2EHA-AA）］と紫外線（UV）硬化オリゴマー［ウレタンアクリレートオリゴマー; UAO］とのブレンドについて，剥離力，プローブタック，保持力などの粘着（PSA）特性を評価した。P（2EHA-AA）/UAOブレンドの剥離力とプローブタックの値は，UV照射により劇的に低下した。一方，保持力に関しては，すべてのブレンドにおいて（UV硬化したブレンドでさえ），高保持力を維持した。このPSA特性の低減化メカニズムを，動的粘弾性，DSC，動的接触角（DCA）により調査した。すべてのブレンド（UV未照射，UV照射ともに）について，剥離力は貯蔵弾性率E´，損失弾性率E"の増加に伴い単調に低下した。また，UV 照射後のブレンドにおける弾性率，ガラス転移温度（Tg）はUV照射前のブレンドより高い値を示した。それゆえ，剥離力とプローブタックの低減は，UV照射に伴う弾性率の増大，及びTgの上昇に起因しているものと判断した。すなわち，接着試験を行う際に，UV硬化したブレンドでは，変形エネルギー能率が低下したものと推測した。他方，DCAの測定結果では，ブレンド表面におけるポリマー鎖のセグメント運動性は，剥離力，プローブタック値の低減化に影響を及ぼさないものと推察した。
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