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古河電工時報 第118号

超広帯域(UWB)無線システムの開発

上村和孝、青柳靖、松嶋禎央、糸原洋行、堀川浩二、磯洋一

概要

2002年2月14日の米国FCC(Federal Communications Commission)による規制緩和をきっかけとして,超広帯域(UWB:ultra wideband)無線システムの検討が通信,ITS(intelligent transport systems)などの分野で盛んに行われている。我々は準ミリ波帯(24 GHz~29 GHz)を用いる自動車用近接レーダ(SRR:short-range radar)に注目し,独立行政法人情報通信研究機構(NICT)主催の共同研究コンソーシアムに参画するとともに,自社による研究開発を実施してきた。こうした共同研究,研究開発の成果として,測距にデータ変調を重畳することを特徴としたUWB通信・測距複合システムを開発することに成功した。本システムはベースバンド,RF部,アンテナ部から構成される。当社は測距・通信の鍵となるベースバンド部とRF部を開発した。本開発のベースバンド部はNICTに採用され,2005年12月のUWB国際会議(IWUWBT2005)にて動展示が行われた。本デモシステムでは,RF受信部についても当社が設計を担当し,RF送信部及びアンテナはNICTから供給されたデバイスを使用した。これらにより,データ変調方式としてPPM方式を採用し,1Mbps程度のデータ通信を実現するとともに,測距機能としては,UWBレーダの時間分解能の性能を生かした距離分解能10cm以下の検出機能を実現することができた。本稿では,UWB無線システムの概要・動向を報告に加え,社内で開発したベースバンド部とRF部の構成と測距機能評価結果,デモシステムにおける通信機能の評価結果について報告する。


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