喜瀬智文、鈴木理仁、舟橋政樹、長島和哉、那須秀行

概要

近年データセンターやエンタープライズネットワーク向けに大容量データ伝送の需要が急速に拡大している。機器間接続などの短距離伝送の用途では、面発光レーザ(VCSEL)とマルチモードファイバ(MMF)を用いたアクティブ光ケーブル(Active Optical Cable: AOC)が導入されている。一方で、データセンターの大型化に伴い必要とされる最長伝送距離が500m以上と長距離化しているが、従来の波長850nm VCSELによる技術ではファイバの波長分散の影響で伝送距離が100m程度に制限される。我々は高速動作可能でかつファイバの波長分散の影響が小さい1060nm帯において、28Gb/sで動作するVCSELの開発を行った。1060nm VCSELを搭載した4チャンネルの並列光モジュールと1060nmに最適化されたMMFを用いて光リンクを構成し、その伝送特性を確認した。28Gb/s疑似ランダム信号231-1で変調した光信号を伝送した結果、500mにおいてもエラーフリーとなる結果を得た。本技術は将来の大規模データセンターにおける光伝送を支える有力な技術として期待される。

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