鉛バッテリのシミュレーションモデルを開発
〜自動車の燃費低減、CO2排出量削減に貢献〜

2014年5月22日

古河電工グループのFurukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー 社長Dr. Gyula Besztercey 以下、FETI社)は、当社及び古河電工グループの古河AS株式会社(滋賀県犬上郡 社長 柴田勝美 以下、FAS社)と共同で、鉛バッテリのシミュレーションモデルを開発しました。

開発したモデルは、鉛バッテリ状態検知センサ(Battery State Sensor 以下、BSS)等の電源マネジメント・システムの開発に用いられ、自動車の燃費低減、CO2排出量削減に貢献します。

背景

近年、アイドリング・ストップ車やHEV、PHEV車の普及と共に、自動車の発電制御システムやバッテリの充電・放電のバランス制御システムの重要性が増しています。

これらの自動車の電源マネジメント・システム高度化に伴い、コンピュータ・シミュレーションによる設計が試みられていますが、一般的に広く使用されている電解液式の自動車用鉛バッテリは、充・放電の複雑な電気化学反応に伴い電圧や内部抵抗が非線形に変化するため、精密なシミュレーションモデルを構築する事が大変困難でした。

開発した技術

このたび、FETI社は、当社およびFAS社と共同で、自動車用鉛バッテリのシミュレーションモデルを開発しました。このシミュレーションモデルは、当社とFETI社が共同開発したBSSのアルゴリズム開発の過程で得た知見に基づき、電解液式鉛バッテリに特有の成層化現象(注1)、充放電後の分極緩和挙動(注2)なども再現可能としたものです。

既にFAS社では、2012年からBSSの量産化を開始する等の事業拡大を進めていますが、今回開発したシミュレーションモデルは、これら電源マネジメント・システムの開発に大変有効なツールとなります。

特長

  • Mathworks社のMATLAB/Simulink上で動作
  • 充・放電分極の発生・解消を再現可能
  • 電解液成層化の発生・解消を再現可能
  • 対象バッテリのパラメータは自社内で測定可能

(注1)成層化現象:
充電の際に生成された硫酸がバッテリの底部に沈殿する事により、電解液の濃度が不均一になり、端子に現れる電圧が高くなる現象

(注2)分極緩和挙動:
充電の際に電極板付近で生成された硫酸が電解液全体へ拡散して行くのに伴い、端子に現れる電圧が数十時間かけて徐々に低下して行く現象