高速大容量通信を実現する狭線幅・高出力の小型ITLA の開発に成功
〜100Gbps 超の高速光デジタルコヒーレント伝送装置向けにサンプル出荷を開始〜

2017年3月16日

当社は、高出力化に適した波長可変レーザチップを新たに開発し、小型ITLA(注1)の更なる狭線幅・高出力化を実現しました。今後サンプル提供を開始し、その後速やかに量産体制を確立します。

背景

近年、スマートフォン、クラウドコンピューティング、動画配信、ソーシャルネットワークの普及などにより、通信基幹網及びデータセンタ間での通信トラフィックが世界的に増加しています。このようなトラフィック増加に対応するため、光デジタルコヒーレント(注2)方式による100Gbps/200Gbps の大容量伝送システムの導入が進んできました。
当社は、光デジタルコヒーレント方式の信号光および局発光(注3)用に優れた特性を発揮する小型ITLAを製品化していますが、通信トラフィックは加速度的な増加が続いており、市場及び顧客からは400Gbps 超、更には1Tbps を超える大容量化に対応するため、ITLA の更なる狭線幅・高出力化が望まれていました。

(注 1)小型ITLA;
世界で本格的な導入が進む毎秒100 ギガビット(以下、100Gbps)を超える超高速光デジタルコヒーレント伝送装置のキー部品。

(注 2)光デジタルコヒーレント;
光の位相(波の状態)を用いることで、信号劣化に強く雑音の影響を受けにくい伝送方式。光の位相情報をデジタル信号処理を用いて検出するため、少ない帯域幅で多くの情報を伝送することが可能となる。

(注 3)局発光;
伝送データから位相の情報を取り出すため、信号光と干渉させる目的で局部的に用いられる光源。狭い線幅特性が要求される。

内容

このたび当社は、長年培ってきたInP (Indium Phosphide)半導体チップ技術により、独自の回折格子構造を持つレーザーアレイと低損失光カプラーをモノリシック集積し、世界トップレベルの高出力化と狭線幅化を同時に実現した「狭線幅・高出力 小型ITLA」の開発に成功しました。

この高出力・狭線幅化は、当社の持つ高精度パッケージング技術により消費電力など他の特性を損なわずに、従来と同等以下のパッケージサイズで実現しました。コマンドインターフェースはOIF(注4)で標準化されている規格に対応しており、光通信機器へ容易に導入頂けます。

狭線幅・高出力 小型ITLA

狭線幅・高出力 小型ITLA

(注 4)OIF(Optical Internetworking Forum);
光ネットワーク機器と、その光部品に関する標準化を推進する業界団体。

特長

  狭線幅・高出力 小型ITLA 当社従来品
波長可変幅 1528~1564nm (C 帯) 1528~1564nm (C 帯)
光出力 19dBm 15.5dBm
線幅 100kHz 300kHz
波長安定性 <±2.5GHz <±2.5GHz
消費電力 5W 5W
サイズ 37.5(L) × 20(W) × 7(H)  mm 37.5 (L)  × 20(W) × 7.5(H) mm