分散補償ファイバモジュール(DCM)

ファイバ・ケーブル事業部門

標準シングルモードファイバを用いた光ファイバ・ケーブル伝送路で1550nm帯を用いた光通信を行うと、1km当たり約17ps/nmの波長分散が生じ、光パルスの形状が歪みます。この波長分散が光損失と共に光通信の距離を制約する要因となります。分散補償モジュールはこの伝送路と逆の波長分散特性を有した分散補償ファイバ(DCF)を用いた、この光パルスの歪みを元に戻す為のモジュールです。
この分散補償モジュールは良好な特性を有し、また高い信頼性を持っており、ワールドワイドで広く採用されています。

分散補償ファイバモジュール(DCM)

特徴

・コンパクトなパッケージ。
・コネクタ付ファイバ(スプール巻き)の形態でもご提供可能
・低偏光依存性損失(PDL)
・滑らかな傾斜分散補償。使用波長範囲全域で均一な補償特性
・優れた光学性能、高分散/損失比 (FOM)
・偏波保持型(PM-DCF)もラインナップ : お問合わせ下さい

主な特性の概略値と型番

主な特性の概略値と型番

コネクタ品種 (上記型番"yy"のコード)

コネクタ品種

その他 特性・構造

特性・構造

波長分散とは

波長分散は、波長の違う光が光ファイバの中を伝搬する速度がそれぞれ違うために伝搬時間の差=遅延が発生する現象です。光通信に用いられる光源の波長には僅かながら幅があります。一つの光パルスが光ファイバを伝搬していく場合、その中に含まれる違う波長成分の伝搬速度が違うため、光パルスの幅が時間的に広がってしまいます。これにより長距離を伝搬すると隣り合う光パルス同士が重なり合って通信品質の劣化の原因となるため、この現象を考慮した光ファイバ伝送路の設計が必要になっています。単位は"ps/nm/km"で表されます。これは「波長が1nm違う2つの光が光ファイバ内を1km伝搬したときに生ずる伝搬時間の差(ps : ピコ秒)」を意味します。

波長分散は材料分散と構造分散の2つの要因によって構成されます。

(1)材料分散
光ファイバの材料である石英の屈折率は光の波長によって異なります。光の波長が長いと屈折率は低くなり、伝搬速度は速くなります。これによって光パルスに含まれる異なった波長成分同士で速度差が生ずる現象を材料分散です。

(2)構造分散
コアとクラッドの屈折率の差が小さいと、光パルスはコア内のみならず、コア周辺のクラッド部分でも一部が伝搬していきます。このクラッド部分で伝搬する割合は波長によって異なります。そのため伝搬する経路の長さも波長によって異り、ひいては異なる波長成分同士でコアの中心軸方向に進む速度の差が生じます。これが構造波長です。波長が長いほどクラッド部での伝搬する割合が大きくなり、速度が遅くなります。

標準的なシングルモード光ファイバでは1310nm付近で波長分散が0(ps/nm/km)となります。そのため、1310nm付近の波長の光源を用いていれば、これを低く抑えることが出来ます。一方、光損失が最も小さい波長である1550nm付近の光源を用いた光通信が広く採用されており、この場合17(ps/nm/km)程度の波長分散が生ずることとなります。分散補償モジュールは、コアの構造を変えて標準的なシングルモードファイバとは逆の波長分散特性を有しているもので、これを伝送路に繋ぐ事により波長分散をキャンセルして光パルスの状態を元に戻すことができます。

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