湘南ケーブルネットワーク株式会社様

湘南ケーブルネットワーク株式会社様(略称SCN 本社:神奈川県平塚市)は、1988年6月設立のケーブルテレビ会社です。平塚市にある湘南局では平塚市、大磯町、二宮町、中井町エリアをカバーし、大井松田局では大井町、松田町エリアをカバーし、およそ7万3千世帯へサービスを提供しています。地デジ再放送、多チャンネル、インターネット、プライマリー電話とサービスを拡大する中で、2011年から大井松田局全地域でFTTHサービスがスタートしました。古河電工は伝送路の構築、放送機器、GE-PON装置、加入者端末を納入しています。今後FTTHサービスエリアを拡大させる中で、今後の展開や古河電工にかける期待などについてお話を伺いました。

湘南ケーブルネットワーク株式会社
本社 湘南局

湘南ケーブルネットワーク株式会社
大井松田局

FTTHサービスを既に大井松田局で開始をされています。今後エリア拡大を行う方針とのことですが、拡大の計画をお聞かせください。

二宮町・大磯町・平塚市に順次5年計画でFTTH伝送路設備を敷設していく予定です。設備に関しては現加入者を100%移行することを目標に、将来の加入者増にも対応できるよう設計しています。

湘南ケーブルネットワーク株式会社
営業本部 技術部 技術グループ
次長 根津朋一 様

FTTHに期待する部分はどこでしょうか。

やはりFTTHの強みでもある光ファイバを用いた高速、広帯域な伝送路が構築できるということになります。インターネットサービスにおいて、他キャリアが100Mbps以上のサービスをスタンダードとし競争が激化する中、顧客満足度向上という観点で、FTTHによる通信サービスの高速化は必須のものと考えています。また、映像サービスにおいては、CATV局独自の映像配信のノウハウを活かしながら、BS-IFパススルーサービスや、2020年の東京オリンピックに向けて放送準備が進む、4K/8K放送といった最新の映像フォーマットにも柔軟に対応できることへも期待をしています。

FTTHサービスを開始されてみて、HFC設備と比較して運用面で違いはありますか。

HFCでの通信サービスの開始以来、悩みの種である流合雑音対策が不要になることがやはり最大のメリットです。障害対応は昼夜を問いません。すぐに駆けつけるための保守人員の確保、高所作業車の確保など保守の体制を維持しなければなりませんでしたが、FTTH設備では、保守に関わる人員を少なくでき、作業自体が大幅に削減されています。保守性は圧倒的に優れています。

また、HFC伝送路に必須なPSも不要になることです。昨今大きな課題である震災等、停電時のPSのバッテリー駆動停止によるサービス停止を防げることも大きなメリットと認識しています。何よりPSがなくなることで民地承諾交渉が必要なくなったことが 大きいです(笑)。各加入者宅の工事においても、V-ONU端末のRF出力レベルが均一のため、宅内でのレベル管理も容易になりました。

大井松田局の放送・通信機器

ヘッドエンドの放送機器

FTTHの構築において重要視したポイントをお聞かせください。

コストはもちろんのことですが、より高品質、高信頼のサービスを提供できるよう設備構築することを重要視しました。伝送路となる光ファイバケーブル、放送・通信機器は、これまで他のケーブルオペレータで実績があり信頼できるメーカのものであることが望ましかったです。レベル変動がほぼない安定性を重視した設備構築ができました。もう一つは将来拡張性です。伝送路の設計時に予備ファイバを持たせた設計をしておけば、サービス提供エリア内での加入者増加に対して対応可能となりますので、地域に合わせた伝送路設計を重要視しました。インターネットサービスにおいては、さらなる高速化もモジュール交換で対応可能な設計思想である機器の拡張性を重要視しました。

また、今期より実施中のFTTH設備へのマイグレーション期間は、共架柱への2重共架期間もあるため、負荷の少ない軽量な光ファイバケーブルの選択も重要視し、従来のSZスロット型ではない、間欠接着型4心テープを使ったスロットレス型ケーブルを採用しました。外径が3割近く細径で質量が約半分になりますので、共架申請での共架柱の建て替え、ルート変更などが大幅に減り、工期短縮に役立っています。

新規に採用されたスロットレス型ケーブル(写真は24心型)
※撮影用にスパイラルチューブなどは外してあります

GE-PON管理装置AG-Manager
湘南局HEでも操作可能

FTTH設備へのマイグレーション期間は、共架柱への2重共架期間もあるとのことですが、これはどう対応されますか?

FTTH幹線設備が完成しても、顧客の新設備への移行が完了しないとHFC設備の撤去ができません。HFC設備の並行保守を考えると、保守コストの面からも、極力速やかなFTTH設備への移行を推進していきたいと考えています。インターネットサービス加入者を優先し、サービスのグレードアップを行いつつ移行を行っていく予定です。

FTTHサービス拡大において、古河電工へ期待するところはどういったところでしょうか。

大井松田局の時も、今回の湘南局エリア拡大の時もそうですが、伝送路設計は地域の特性を考慮した適切な設計を提案してもらっています。こういったところは経験豊富なところとして期待しているところです。導入済みの放送・通信機器は、大井松田のサービスイン後大きなトラブルもなく運用できているので、とても満足しています。今後のサービスエリア拡大にともない様々な新製品を提案してもらっていますが、当社の高品質、高信頼サービス提供のために品質の維持、向上を続けていくことに期待しています。

各記事の内容および記事に登場する方の会社名や肩書きは取材当時のものです。

2014年10月取材

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