株式会社日本ネットワークサービス様

甲府駅周辺の200世帯を対象として開局した日本ネットワークサービス様(略称NNS 本社:山梨県甲府市)は民間企業としては先駆けとなる1970年に民放の再放送(再配信)を目的として開局。翌1971年には日本で初めてCATV双方向機能を使った生放送の伝送実験を実施しています。1995年からHFC設備への改修に着手し、インターネットサービスの提供を開始しました。2010年からは一部の地域でFTTHを導入して設備の維持・メンテナンスやサービスの拡張など、オール光化への検証を重ねました。

2015年から全域のFTTH化に取り組み、目標通り順調に進めることができています。FTTHを導入した地域には、光電話、新電力、スマートホームなど、新たなサービスの提供を開始いたしました。2020年3月末時点で、テレビ放送接続世帯は18万世帯を越え、1/3以上の世帯でFTTHサービスをご利用いただいています。

1970年8月 架線工事風景

1971年6月 日本初、
CATV双方向機能を使った生放送実験

1971年頃の事務所風景、
写真中央がヘッドエンド

開局当初の本社(山梨文化会館)

HFCからFTTH化に移行するきっかけは何でしたしょうか

「モバイル通信需要の拡大」「映像やゲームなど、コンテンツの大容量化」などお客様の多様なニーズにお応えするために当社サービスの充実化が不可欠でした。そのため、インフラにおいても高速化、広帯域化が求められました。設備のリプレイスに際し、多くのサービスに柔軟に対応できることと、構成がシンプルで運用・保守の負担が少ないことを軸に検討と検証を行い、FTTHが最適と判断いたしました。

術局技術部
部長 山本尚生 様

既存システム(HFC)の課題はどのようなものでしたでしょうか

テクニカルな面で最も頭を悩ませていたのは流合雑音対策です。約450あるノードのすべてを常時監視するわけにもいかず、突発的に発生して自然復旧してしまうような流合雑音にはとても苦労させられました。また、BSパススルー放送のニーズに対して、HFC設備では対応できないことも課題としてありました。

運用面では多チャンネルの映像配信と充実した通信サービスを提供するため、帯域と周波数のやりくりに苦労していました。

古河電工からの提案はどのようなものだったのでしょうか

2010年のFTTH初導入以来、光心線の割り当てルール、冗長系やバックアップ系の最適化など試行錯誤を行う際に、古河電工からはセンター系・伝送路系・引込系・宅内系と段階を追って提案をしていただきました。また、他局様の事例を紹介していただき、時には担当者様から直接お話を聞く機会を作っていただきました。その時は本当に手探りで不安も募っている状況でしたので、とても参考になり助かったことをよく覚えています。

本格的にFTTH化をスタートした2015年以降も、私どもの「こうしたい」に対して真摯に受け止めていただき、現状の仕組みと共存できる最善の答えを導き出すことにご協力いただけたことは非常にありがたいと思っています。

大規模なHFCをFTTHに移行するにあたり意識したことは何ですか

当社は2015年度から取り組んでいる5年間の中期経営計画で通信事業の規模拡大を大きな柱に据えました。IP電話サービスなどFTTHならではのサービスを拡充し、計画値を上回るペースで2019年度末を迎えています。いつまでに何を実現するかの将来構想が大切と改めて痛感しています。当社ではHFC設備の完全停止がFTTH化の完了と捉え、速やかにお客様がFTTHへ移行できるように全力で取り組んでいます。

光サービスでもっとも期待したいところは何でしょうか

広帯域化の実現です。現在は映像・通信サービスを提供していますが、将来全く別のサービスが出てきても、伝送路を改修することなく、センター側と端末側のみの変更で対応できるというのは非常に大きなメリットだと思います。また安定した回線品質や、保守、管理のしやすさにも期待しています。

ヘッドエンド受信系

ヘッドエンド映像系(奥は通信系)

ヘッドエンド映像系

ヘッドエンド通信系

光サービスにして圧倒的に変わったことは何でしょうか

伝送路に電気的な設備が不要なため、停電や障害復旧のたびに発電機を持って現場へ行くという煩わしさがなくてありがたいです。現在はHFCと併用しているので、完全に解放されるのはもう少し先になりますね。

サービスにおいてはBS放送がパススルーで伝送できることで4K放送を提供できるようになりました。通信においても流合雑音トラブルがなくなり、スループットも上がってサービス品質が向上しました。高品質のサービスを求めているお客様にはとても好意的に受け止められていると思います。

FTTH化したシステムの規模感と移行期間を教えてください

配信拠点13か所、光ケーブル延長約2,600km、約21万端子のシステムを2015年より5年間かけて構築を行いました。

古河電工に期待したいことは何でしょうか

FTTHはHFCに比べて伝送路の状況を把握しにくい、ケーブル切断時の復旧に時間がかかるなど、改善を図りたい要素も見え始めてきています。FTTHへの完全移行を目指していくにあたり、保守・運用面で今まで同様よき相談相手としてサポートをお願いしたいと思います。

日本ネットワークサービスの拠点接続イメージ

各記事の内容および記事に登場する方の会社名や肩書きは取材当時のものです。

2020年5月取材

製品カタログのご請求、お問い合わせはこちらからお願いいたします。