近鉄ケーブルネットワーク株式会社様

奈良県の生駒市東生駒1 丁目は、1978年から1986年にかけて通商産業省が家庭や公共施設と実験センター間に光ファイバを敷設し、双方向の映像・情報利用実験を行うというHi-OVIS(Highly-interactive Optical Visual Information System)プロジェクトが実施された場所です。

Hi-OVISの理念と設備を継承して、1984 年に近畿日本鉄道様が近鉄ケーブルネットワーク様(略称KCN 本社:奈良県生駒市)を設立。その後、1987年に東生駒にて関西初の都市型CATVを開局後、インターネット、IP電話事業を次々と立ち上げ、現在は子会社を含めて奈良県全域と京都府南部、ならびに大阪府の一部でサービスを展開しています。

Hi-OVIS発祥の地 東生駒一丁目 石碑

技術本部
副本部長 村瀬一美 様

技術本部 通信技術部
部長 木村文一 様

技術本部 通信技術部 通信システム課
課長補佐 竹辻伸浩 様

10ギガサービスに期待することは何でしょうか

2000年代までのネットワーク通信はパソコンが中心でしたが、2010年以降、スマートフォンやタブレットPC、ゲーム機が接続されるようになってきました。さらに近年IoT(Internet of Things)が普及期を迎えて、テレビや家電製品もWi-Fiネットワークにつながれるようになってきています。このようなホームネットワークの多様化に伴い、動画が途切れてしまう、オンラインゲームができないなどのお問い合わせをいただくようになりました。通信量が大きいコンテンツを含め、接続された多くの機器を1ギガで同時にすべてまかなうことは難しい場合があります。10ギガサービスへの移行によってWi-Fiの高速化も含め、お客様の利用環境の多様化に対しても満足いただけるサービスを提供できると期待しています。

10ギガサービスへ移行するにあたっての課題はどのようなものでしたでしょうか

既存の1ギガサービスを継続しながら10ギガサービスへ移行する必要がありますが、既設の他社製PONシステムのサポート終了がアナウンスされたことで大きな壁が立ちはだかりました。FTTHの機器は異なるベンダー間では相互接続できないことから、システムベンダーを切り替えるためにはお客様宅に設置するD-ONU(光とパソコンのLANをつなぐ装置)を全台交換しなくてはなりません。実際にお客様を順次訪問してD-ONUを交換された事業者様から苦労が多かったことをお聞きし、当時他社製D-ONUが2万 台前後稼働していた当社にとって、全台交換は現実的ではありませんでした。また、各局舎で新サービスの設備を導入するためのスペースに限りがあることも悩ましい問題でした。

本社(東生駒)の10G OLTとWDM

10Gアップグレード後も並行稼働している1G通信装置

古河電工からはどのようなソリューションを提案されたのでしょうか

既存の他社製1ギガ通信波と古河電工製10ギガ通信波をWDM(波長多重化)することで、二つの通信システムを併用することができるのではないかと提案を受け、共同でシステム運用の検証実験を行いました。その結果、既存システムを運用しながら、10ギガ通信システムを導入・運用できることが確認できたため、システムに必要なWDMユニットの開発を行ってもらいました。

古河電工をパートナーとして選んだ理由は何でしょうか

手間のかかりそうなことも事業者の立場で親身に聞いてくださり、サービス実現に向けて尽力してくださるので、とても信頼しています。上記WDMユニットも、話が決まるとすぐに開発に取り組んでくださり、試作と接続試験を重ねて期限内の実用化を実現してくれました。またサブセンター局舎は現用設備の追加導入時に最適な設置を行いますが、特別に開発された機器の導入までは設置スペースの考慮がされていません。そのため本WDMユニットも同一規格のサイズでは設置できませんでしたが、局舎毎に筐体をカスタマイズするなど、きめ細かく対応していただくことで配線に無理のない設置を実現できました。さらに最適な光ケーブルを現場で提案してくれたことも光ケーブルメーカならではで、省スペース化に貢献しています。新システムを導入して半年以上経過しましたが、まったくトラブルもなく、保守の面でも助かっています。現場で指揮した技術者の方にも改めてお礼を申し上げます。

10ギガシステムの導入後、サービスはどのように変わりましたでしょうか

既存の1ギガシステムと共存しながら10ギガシステムを導入できたおかげで、コストカットしつつ10ギガサービスの提供エリアを一気に拡大することができました。他社製D-ONUをご利用のお客様宅においても既存ONUの継続利用が可能となり、アップグレードを希望される場合は古河電工製の10G ONUを置き換えるだけで、より快適なインターネット環境が実現します。副産物として、1ギガサービスのスループットも伸びており、こちらも満足度が上がっていると思います。

弊社のように、他社FTTH通信機器のサポート終了により更新対応ができずお困りの事業者様や、システムの広帯域化を企画されている事業者様は、このWDMシステムをご検討されることをお勧めします。

10ギガEPON通信設備

古河電工に期待したいことは何でしょうか

通信サービス・放送サービスを支えるソリューションを駆使し、今後ますます親身にお力添えをいただきたいと思います。今後は無線サービスの充実が求められると思います。私たちもお客様の声にアンテナを高くして、ニーズにマッチしたサービスを展開していきたいと思います。

KCNグループのサービスエリア

古河電工の10ギガシステムネットワーク

各記事の内容および記事に登場する方の会社名や肩書きは取材当時のものです。

2020年3月取材

製品カタログのご請求、お問い合わせはこちらからお願いいたします。