株式会社伊豆急ケーブルネットワーク様

株式会社伊豆急ケーブルネットワーク(略称:IKC)様は1985年に設立され、熱海・伊東・東伊豆・湯河原エリアにて「IKC光」サービスを提供。テレビ、インターネット、電話の他、緊急時にテレビが自動的にスイッチオンになる災害対策機能や宅内カメラの映像を外出先で確認できる機能など、地域に密着し生活をサポートするサービスを広く提供しています。

今回、FTTHシステムの導入にあたって、お困り事をどう解決されたか、その後の運用状況、当社の施工や対応等についてお話を伺いました。

代表取締役社長
三井大峰様

ケーブルライフ事業部 副事業部長
  山本勝利様

経営企画部長 兼 コンテンツ事業部長
  関本誠男様

「IKC光」サービスの導入にあたり、どのようなお困り事がありましたでしょうか?

HFCシステムを導入してから年数が経過しており、設備の老朽化を踏まえて設備更新が必要な状況でした。伝送路インフラの借り受けを含め、さまざまな選択肢について構築・運用費用、サービス形態などを検討して「自社での光線路構築」がベストと判断しました。具体的には、①1心3波方式と2心3波方式、②GE-PONシステムとG.PONシステム、③1Gと10Gと選択肢は多岐にわたりましたが、お客様のサービスニーズが多様化している現状を鑑み、将来のサービスの拡張性なども考慮して高速・広帯域な2心3波の10GE-PONを選択しました。

選定にあたって各方式のメリットやデメリットを検討しましたが、IKCは技術者の人数が限られる中で、古河電工がバックアップする体制を敷き、また、当社の事情を踏まえてサポートしてくれたおかげで、プロジェクトが立ち往生することなく進行できたと思います。

また、導入にあたっては電子部品の長納期化が発生しており、納期的に厳しい回答のベンダーもある中で、古河電工は希望納期対応を確約してくれましたので、安心して選定することができました。

今後、光サービスを拡大していくにあたり、どのような課題がありますでしょうか?

台湾リスによる光ケーブルへの獣害が予想以上にひどく、サービスイン前に発生した箇所が4ヶ所、サービスイン後も月に2~3回の頻度で発生しています。

新規ケーブルを敷設してパワー測定し発覚する場合があり、当初は伊東エリアに集中していた獣害が最近は熱海でも発生するようになってきました。

古河電工からは鳥獣害対策用のHSケーブル(HighStrength Sheathケーブル)への交換を薦められており、獣害が発生した際はHSケーブルを用いて迅速に復旧対応を行ってまいりました。今後は予防策としてエリアを選定して計画的なケーブル張替え作業を検討しております。

古河電工システムを採用された決め手は何でしたか?

システム保守における体制面に大きな安心感があったことが大きな決め手でした。技術面におけるサポートとソリューションの提案力、10G通信機器の製品品質など多面的に判断しました。FTTH化の補助金申請においても事前調査や準備に協力していただいたことも好印象でした。

また、2021年の熱海の土石流災害の際に幹線が断線したのですが、未曾有の災害でファーストアクションが見えない中で、古河電工のほか協力会社の皆さまに復旧班を編成してもらい作業に当たっていただきました。当時はまだHFCでしたが、映像の再送信サービスは初日に8割程度、2日目にはほぼ全線復旧することができました。この信頼感も選定ポイントでした。

エンジニアリング担当者の対応や古河電工を選んでよかったと思われる点をお聞かせいただけないでしょうか?

FTTHシステム導入中に、現場調査の結果、2年間で150件を超える計画変更が発生したのですが、予定していたサービスインのスケジュールを変更することなく対応していただきました。具体的には、やむを得ず下水道内にクロージャの設置が必要になった際は、保守のしやすさまで考えて設置を工夫するなど経験や知識に基づいて的確なアドバイスを数多くいただきました。また、鉄道沿線への施工が必要となり、夜間工事に変更することもありましたが、竣工が遅れることなく進行を管理してくれましたので非常に助かりました。

下水道内クロージャ設置

IPV6のサービスを開始されていますが、NW構築はどのように進められましたか?

設計の初期段階から御社が併走してくださり、ネットワーク設計から既存設備との関わりを含めて適切に提案をいただきました。様々な引き出しを持っていて、HFCシステム導入当時のベンダーに依頼することなく工事が進められ、時間も節約できましたし、品質もしっかりしたものが設計できたと思います。

こちらの知識不足のところを補ってもらえて、とても助かりました。

地域ならではのお困り事はございますか?

地形上の理由で、ループ化が難しい場所が多くあります。光ケーブル障害発生時の改修も容易ではないので、光線路の冗長設計のアイデアをいただけるとありがたいと思います。自然災害の頻度が高い地域でもあり、自然災害時でも安定したサービスを継続するため、対策を講じる必要があると認識しています。

また、現在は保守サービスのサポートを受けていますが、自社での保守体制を充実させることが難しい状況下で、障害発生から復旧までのリードタイムを短縮する方法があれば、お客様への影響を小さくすることができると考えています。HFCは自社での対応ができていた部分もありましたが、光になるとハードルが上がると感じています。

管理監視システムとして、AG-ManagerPlusを使われていますが、使い勝手はいかがでしょうか?

ブラウザでアクセス可能で、操作にコマンドも不要ですので、ユーザインターフェースにしっかり配慮されているシステムだと思います。あまり詳しくない人でも直感的に操作することができコールセンターのメンバーも使いやすいと感じています。また、AG-ManagerPlusではONUの状態を定期的に監視し、時系列に表示したり、障害発生場所を地図上に表示したりすることもできるため、今後の運用に役立てたいと思います。

IKC様はセンドバック保守(注)に加入されています1年間使用されてみていかがでしたか?

幸いにも1年間トラブルがなく使う機会がありませんでしたが、ケーブルテレビは冗長性の確保や予備機の準備等に厳しい基準を求められる傾向があり、また、分からないことを専門家にすぐに相談できるところも大きなメリットと考えています。機器については突然生産終了する海外メーカもある中で、不安を抱えての運用は避けたいと思っていましたので、国内メーカーならではの安心感があるサービスだと思います。

(注) センドバック保守:お客様側で予備機を持たず、障害発生時に古河電工で予備機の提供を行うサービス

ケーブルライフ事業部 兼 経営企画部 課長補佐
高橋和臣様

ケーブルライフ事業部 設備運営・情報管理グループ
  福田光様

今後の予定、古河に期待したいことは何でしょうか?

集合住宅のFTTH化が課題と考えています。小規模の集合住宅が多い傾向がありますが、光の心数を消費するので、回線を節約できる方法について、商品を含めた提案をいただけるとありがたいです。 また、HFCの巻取りに課題があり、FTTHにマイグレーションが進まないときの対策案もご提案いただきたいところです。機器については、導入当初は機能限定でも将来性も併せ持つような、初期投資を抑えた製品を開発してもらえると助かります。 無事10G光化を達成し、次は構築したインフラどう活用していくかが課題となります。引き続き魅力あるサービスの提供に向け、サポートをお願いしたいと思います。

局舎10GE-PONシステム

各記事の内容および記事に登場する方の会社名や肩書きは取材当時のものです。

2025年4月取材

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