Y社は、従業員約900名の建設会社。設計・施工・メンテナンスなど、建設に関わる工事の一式を請け負っています。Y社の情報システム室長の相川氏(仮名)は、ビル、マンション、ダム等の建設現場の情報化を推進するために、一年前からシステム作りに取り組んできました。
相川氏---「当社が建設現場の情報化に取り組んだ目的は、資材の発注をはじめ、仕入れや工程管理を合理化し、少ない人員で効率よく現場を運営していくことにありました。そこでは、単なる工程管理だけではなく、資材の受発注から工事原価の管理など、本社の管理部門と同じような機能が求められます。そのため、本社とのネットワーク接続は必然のテーマとなっていました」
建設現場に建てられる業務のためのプレハブハウスには、一般のオフィスと同じように電話やFAX、コピー機などが設置され、複数台のパソコンがLANで結ばれています。
相川氏---「新しいシステムを導入する以前の建設現場では、電話によるやり取りが中心で、資材の受発注などは、FAXを使っていました。本当は、かなり以前から、ルータを使ったインターネットとの接続は、検討していたのですが、どうしてもひとつだけ問題があったのです」
　Y社の解決しなければならなかった問題とは、建設会社ならではの「移設」でした。

相川氏---「建設現場の事務所は、工事が完成すれば、新しい場所に移設します。そのため、移設した先で、常に同じ通信回線が使えるとは限りません。山奥の建設現場などでは、アナログ回線しか使えないこともあります」
　同社のシステムを担当したVAN事業者のV社でコンサルタントを務める中川氏(仮名)は、移設の問題をルータ側から解決することを提案しました。Y社では全国の建設現場で確実にどんな通信回線とも接続できるマルチアクセスに対応したルータがあれば、移設の問題も解決できると考えたのです。
中川氏---「マルチアクセスを実現できるルータならば、どんな建設現場に移設してもネットワークはそのままつかえます。それに加えて、どうしてもほしかった機能が、リモートメンテナンスです。しかし、いままでは、リモートメンテナンスできるルータとなると、かなりの高級機になってしまって、すべての現場に導入することは無理でした。ところが、FITELnet-E30ならば、建設現場の状況に合わせたネットワーク機能をリモートでメンテナンスできます。これで、どんな遠隔地に設置しても、容易にネットワークの環境を整えられるようになりました」
　FITELnet-E30の導入によって、Y社では、全国の建設現場にSEが出張することなく、ブランチオフィスに必要なネットワークの設定を、本社内の情報システムセンタからリモート設定できるようになりました。

中川氏---「さらに、FITELnet-E30が、当社の需要にとって最適だったのは、アナログモデムを組み合わせた簡易アクセスサーバ機能の実現にありました」
　FITELnet-E30は、アナログ回線のポートをモデムと接続することで、ISDN回線に接続した状態で、アナログ回線からのリモートアクセスを実現します。
相川氏---「建設現場に従事する社員は、いつもそこにいるとは限りません。打ち合わせや出張で、建設現場を離れることもあります。そんなときに、建設現場のネットワークにリモートでアクセスして、データを参照したいことがあります。しかし、社員が利用する通信回線は、いつもISDNであるとは限りません。ホテルや客先からは、携帯電話やモデム、PHSでアクセスすることもあります。そんなときに、以前は回線ごとにモデムとルータをそれぞれ用意していました。しかし、FITELnet-E30のモデム接続を使えば、一台のルータだけで、すべてのアクセスに対応できます。これならば、建設現場でも簡易なアクセスサーバを構築できるので、とても便利になりました」