総合建設会社大手の清水建設株式会社(以下、同社)では、ITを活用した業務の増加に伴い、全国の支店、営業所、生産センター、作業所などの拠点を結ぶネットワーク整備を進めてきました。
すでに同社では、2000年9月に本社LANと本支店間WANで構成される基幹ネットワークのブロードバンド化を行いました。一方で、営業所、生産センター、作業所については、ISDN回線でダイヤルアップ接続し、商用VANで基幹ネットワークと接続していました。しかし、CADデータやグループウェアなどが大容量化し、あらゆる拠点間でのトラフィックが増加するにつれ、社内ネットワークもそれに対応する必要が高まっていました。
その後、NTTのフレッツADSLサービスが開始。ISDNに比べ大容量・高速通信でき常時接続可能なフレッツADSLの普及に伴い、「社内業務でもフレッツADSLを活用したい」という声も多く寄せられました。またコスト面でも、フレッツADSLは定額料金となり、通信費の増大を抑えることができます。そこで、フレッツADSLによる新しいブロードバンドネットワークが導入されることになったのです。
新ネットワークの大きな特徴は、情報の暗号化(IPsec)が図れる商用IP-VPN(仮想専用ネットワーク)を導入したことです。全国約1700か所ある作業所/営業所でフレッツADSLのサービス範囲である拠点については順次IP-VPNに接続します。フレッツADSLにはIPsecを用いてセキュリティを確保しています。
国内外の社内ネットワークの企画から実施、運用、保守にわたる業務全般を統括しているシステム企画部のみなさんに導入の理由などについてうかがいました。
「IP-VPNサービスを採用したメリットとしては、自社設備として持たないですむので最新性能を期待できることや、プロバイダーを限定することが出来るのでサービスレベルの統一を社内で図れることがあります。また、「FITELnet-F40」を選んだ大きな理由は、他の機種に比べゲートウェイ終端装置との親和性にすぐれていることや旧システムでのISDNルータ(MUCHOシリーズ)の実績があったためです。」
ネットワークで結ぶ拠点は、全国合わせると約1,700箇所。たとえば、作業所と生産センターでやり取りするCAD施工図や施工写真などの大容量のデータを、高速で送受信することができるようになり、従来の約20分の1の時間で送受信することも可能になりました。また、常時接続が可能なため、複数の作業所がネットワークを介してひとつのサーバーを共有し、情報の共有化を図るなどの効果が期待できます。
同社では、2001年12月からFITELnet-F40を順次導入し、2003年3月までに全社内のネットワーク整備を完成する予定です。このように大規模なネットワークのブロードバンド化は、建設業界の先駆けとしても注目されています。
|
システム企画部
インフラ企画グループ長
伊藤 健司氏
システム企画部
松本 善太氏
システム企画部
野村 裕一氏
|