IPv6ルータが、グローバルアドレスのプレフィックス等の情報をICMPv6で広告します。この情報のことを、Router Advertisement(RA)といいます。
RAでは、以下の情報を広告します。
・current hop limit
・Mフラグ(Managed Flag)
・Oフラグ(Other Flag)
・ルータライフタイム
・Reachableタイム
・Retransmissionタイム
・MTU長
また、通知するプレフィックスごとに、以下の情報があります。
・On-linkフラグ
・AutoConfigフラグ
・Valid ライフタイム
・Prefferd ライフタイム
・プレフィックス
以下、各情報に関する説明です。
このRAを使用するノードが送信するIPv6パケットの、IPv6ヘッダ中にあるHop limitに入れる値を通知します。
Hop limitは、そのパケットが到達可能なホップ数です。
例えば、Hop limitに"100"が設定されているパケットは、送信元のノードから、100Hopの宛先までは到達できますが、それより先のネットワークには到達できないことを意味します。
このように、ノードが通信できるホップ数を、ルータで管理することができます。
FITELnet F60では、"ipv6 hop-limit"コマンドで設定できます。
このRAを使用するノードが、Stateless Address Autoconfigurationを使用してIPv6アドレスを割り当てるか、DHCPv6などを利用して、Statefulなアドレス割り当てを行なうかを規定するフラグです。
Mフラグに"0"が設定されているRAの場合は、Stateless Address Autoconfigurationの使用が認められます。
Mフラグに"1"が設定されているRAの場合は、Stateless Address Autoconfigurationのほかに、Statefulなプロトコル(DHCPv6等)を利用して、IPv6アドレスを割り当てる必要があります。
FITELnet F60では、各インタフェース毎にMフラグをセットするかどうかを指定できます。
各インタフェース設定モードで、"ipv6 nd managed-config-flag"コマンドで設定できます。
"ipv6 nd managed-config-flag"を指定した場合はMフラグを"1"にセット、工場出荷時または"no ipv6 nd managed-config-flag"を指定した場合はMフラグを"0"にセットして、RAを通知します。
このRAを使用するノードが、アドレス以外の情報を自動設定、ステートフルなプロトコルを利用して取得すべきかどうかを規定するフラグです。
Oフラグに"0"が設定されている場合は、ステートフルなプロトコルを受け付けることができません。
Oフラグに”1”が設定されている場合は、ステートフルなプロトコルを利用して、アドレス以外の情報を自動設定で取得します。
FITELnet F60では、各インタフェース毎にOフラグをセットするかどうかを指定できます。
各インタフェース設定モードで、"ipv6 nd other-config-flag"コマンドで設定できます。
"ipv6 nd other-config-flag"を指定した場合はOフラグを"1"にセット、工場出荷時または"no ipv6 nd other-config-flag"を指定した場合はOフラグを"0"にセットして、RAを通知します。
このRAを送信したルータをデフォルトルートとして使用できる時間を規定しています。
FITELnet F60では、各インタフェース毎にルータライフタイムを設定できます。
各インタフェース設定モードで、"ipv6 nd ra-lifetime"コマンドで設定できます。(単位:秒)
工場出荷時または"no ipv6 nd ra-lifetime"を指定した場合は、1800秒(30分)として、RAを通知します。
なお、0を指定した場合は、このルータがデフォルトルータとはなり得ないことを表します。
アドレス解決(Neighbor Solicitation)を行なう間隔を規定しています。
FITELnet F60では、"ipv6 nd reachable-time"コマンドで設定することができます。
工場出荷時または"no ipv6 nd reachable-time"を指定した場合は、30000m秒(=30秒)となります。
このRAを受信したノードが、MACアドレス解決のためにNeighbor Solicitation(NS)パケットを送信した時に、応答がない等の理由で再送が必要になった場合に、Retransmissionタイムとして通知された時間の間隔で再送を行ないます。
FITELnet F60では、各インタフェース毎にRetransmissionタイムを設定できます。
各インタフェース設定モードで、"ipv6 nd ns-interval"コマンドで設定できます。(単位:ミリ秒)
工場出荷時または"no ipv6 nd ns-interval"を指定した場合は、1秒(1000ミリ秒)として、RAを通知します。
なお、この設定は、FITELnet F60自身がNSを送信する状況で、再送が必要になった場合は、この設定に従います。
このRAを受信したノードが、受信したインタフェースに対して送信するパケットのMTU長を規定します。
FITELnet F60では、"ipv6 mtu"コマンドで設定できます。
工場出荷時または"no ipv6 mtu"を指定した場合は、MTUを1500とします。
FITELnet F60は、MTU長に1500以外が設定された場合のみ、RAのオプションとしてMTU長を通知します。
該当プレフィックスが、受信したインタフェースと同一リンク上に存在するかどうかのフラグです。
同一リンク上のプレフィックスの場合は"1"、同一リンク上にないプレフィックスの場合は"0"がセットされます。
RAを受信したノードが、Stateless Address Autoconfigurationを使用する場合、On-linkフラグが"1"にセットされたプレフィックスについては、自身のインタフェースアドレスとして割り当てることができます。
FITELnet F60では、設定でインタフェースに割り当てたアドレスのプレフィックスをRAで広告する場合は、On-linkに"1"をセットして広告します。また、PD(Prefix Delegation)で、インターネットプロバイダから割り当てられたプレフィックスをLANインタフェースに広告する場合も、On-linkに"1"をセットして広告します。
上記2形態とは異なり、通知するプレフィックスをスタティックで登録することもできます(ipv6 nd prefix-advertisementコマンド)。この場合は、指定したプレフィックスがリンク上に存在するかどうかを指定します。
このRAを受信したノードが、Stateless Address Autoconfigurationを使用する場合、このプレフィックスをインタフェースのIPv6アドレスのプレフィックスとして使用しても良いかどうかのフラグです。
使用しても良い場合は"1"、使用してはいけない場合は"2"がセットされます。
FITELnet F60では、設定でインタフェースに割り当てたアドレスのプレフィックスをRAで広告する場合は、Auto Configに"1"をセットして広告します。また、PD(Prefix Delegation)で、インターネットプロバイダから割り当てられたプレフィックスをLANインタフェースに広告する場合も、Auto Configに"1"をセットして広告します。
上記2形態とは異なり、通知するプレフィックスをスタティックで登録することもできます(ipv6 nd prefix-advertisementコマンド)。この場合は、指定したプレフィックスがインタフェースアドレスのプレフィックスとして使用可能どうかを指定します。
該当プレフィックスの使用可能期間を規定します。
RAで通知されるプレフィックスを使用する場合は、【使用が望ましい状態】と【使用可能状態】が存在します。
FITELnet F60では、設定でインタフェースに割り当てたアドレスのプレフィックスをRAで広告する場合は、2592000秒(720時間)で広告します。また、PD(Prefix Delegation)で、インターネットプロバイダから割り当てられたプレフィックスをLANインタフェースに広告する場合も、2592000秒(720時間)で広告します。
上記2形態とは異なり、通知するプレフィックスをスタティックで登録することもできます(ipv6 nd prefix-advertisementコマンド)。この場合は、Validライフタイムを指定します。
該当プレフィックスの「使用が望ましい期間」を規定します。
RAで通知されるプレフィックスを使用する場合は、【使用が望ましい状態】と【使用可能状態】が存在します。
FITELnet F60では、設定でインタフェースに割り当てたアドレスのプレフィックスをRAで広告する場合は、604800秒(168時間)で広告します。また、PD(Prefix Delegation)で、インターネットプロバイダから割り当てられたプレフィックスをLANインタフェースに広告する場合も、604800秒(168時間)で広告します。
上記2形態とは異なり、通知するプレフィックスをスタティックで登録することもできます(ipv6 nd prefix-advertisementコマンド)。この場合は、Prefferdライフタイムを指定します。