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FITELnet-F100・F1000技術情報

VLAN機能について

2005年4月12日初版

FITELnet-F100/F1000は、バージョン2系のファームウェアで、portVLANおよびtagVLANをサポートしました。 tagVLANはIEEE802.1Qで標準規格化されている機能です。

  1. VLANって何?
  2. tagVLANのしくみ
  3. VLANに関する用語
  4. FITELnet-F100 /F1000特有の情報
  5. FITELnet-F100/F1000の設定
  6. 設定例


1.VLANって何?

VLANは、仮想的なLANと訳されることからわかるとおり、LANを、論理的に(仮想的に)グループ分けして、ネットワークを構築する機能です。

以下のネットワーク構成を考えてみます。


portVLANでは、図の4つの物理ポートのうち、左側の2ポートをVLAN#1、右側の2ポートをVLAN#2のように扱うことができます。 VLAN#1のみで使用するデータを、VLAN#2側に送信しないようにすることができます。
このように、VLANは、「LANの仮想的なグループ分け」ということができます。

一方、tagVLANは、「LANの仮想的なグループを、tagをつけて分類する」ということができます。

以下のネットワーク構成で考えてみます。

図のように1つの物理ポート間でVLANを構成する場合、ルータ−L2-Switch間のケーブル上を通過するデータが、どちらのVLANのデータなのかを判別する必要があります。
このような場合に、データにVLANの印(tag)をつけて送信することにより、どちらのVLANのデータなのかを判別することができるようになります。この「tagをつける」という方式が、IEEE802.1Qで標準規格化されているtagVLAN機能です。


2.tagVLANのしくみ

tagVLANは、1つの物理セグメント上で、論理的に複数のVLANデータを送信する機能です。tagVLANを使用したEthernetフレーム形式は、以下のようになります。

図のように、tagVLANでは、通常のEthernetフレームにはない、802.1Q tagヘッダがつき、ここでVLANの印を指定することになります。

802.1Q tagヘッダのうち12ビット(0〜4095 但し:4095は管理用に予約されていますので使用できません)の"VLAN Idetifier"フィールドを利用して、tag値を使用することができます。当然のことながら、これは、tagVLANを行う両者(上記例では、ルータとL2-Switch)で、同じ設定を行っておく必要があります。


3.VLANに関する用語

 ポートVLAN

tagVLANが802.1Q tagヘッダを使用して、1つの物理ポートを論理的に複数のインタフェースのように扱うことができるのに対して、複数の物理ポートを論理的に同じVLANとして扱うことをポートVLANといいます。


 VLAN-ID

802.1Q tagヘッダのVID領域に設定する数値(0-4095)を、VLAN-IDといいます。VLAN-IDは、接続する装置(L2-Switchなど)と同じ値である必要があります。


 ポート

物理的ポートをポートといいます。いろいろな解説書では、「物理インタフェース」と書かれているものも存在しますが、本ページでは、「ポート」もしくは「物理ポート」とします。
FITELnet-F100、F1000では、LANが4ポート、EWANが2ポート存在します。


 ブリッジグループ

同じL2グループとしてVLANを形成することを、ブリッジグループといいます。LANとEWAN、EWAN1とEWAN2を、同じブリッジグループにすることはできません。
LANポートのブリッジグループは、ブリッジグループ番号で管理され、0〜15の数値で指定します。例えば、LAN1の#1ポートと#2ポートを同じブリッジグループとする場合は、同じ数値を指定します。同じブリッジグループ間では、L2のスイッチを行うことができます。
物理ポートは、必ず1つのブリッジグループに所属しています。物理ポートとブリッジグループの結び付けは、Ethernet設定モードの、bridge-groupコマンドで設定します。


 VLANインタフェース(VLAN-IF)

同じL3グループである各VLANを、VLANインタフェースといいます。VLANインタフェースは、最大16エントリ登録することができます。
VLANインタフェースは、必ず1つのブリッジグループと結び付いています。VLANインタフェースとブリッジグループの結び付けは、VLANインタフェース設定モードの、bridge-groupコマンドで行います。


4.FITELnet-F100/F1000特有の情報

FITELnet-F100/F1000の、VLANに関する特有の機能を、以下に示します。

 使用できるVLAN数

使用できるVLAN数は、LAN/EWAN1/EWAN2各インタフェースの合計で16VLANまでです。LANインタフェースのHUBポートは、それぞれ別のVLANとして使用すことも可能です。
EWANインタフェースでPPPoEを使用する場合は、そのインタフェースでVLANを使用することはできません。


 TAG付フレームとTAGなしフレーム

1つのポートで、tag付フレームとtagなしフレームを混在することはできません。


 DHCP機能との連携

VLANインタフェースで、DHCPリレーエージェント機能は使用できますが、DHCPクライアント/サーバ機能を使用することはできません。


5.FITELnet-F100/F1000の設定

FITELnet-F100/F1000で、VLANを利用するための設定について説明します。

 VLANインタフェースの登録(必須)

VLANインタフェースを登録する必要があります。基本設定モードにおいて、interface vlan コマンドを実行します。 VLANは、最大16エントリ設定できます。

Router(config)# interface vlanif 1
Router(config-if vlanif 1)#

ここで指定する1〜16の数字は、何番でなくてはいけないということはありません。


 ブリッジグループ番号の指定(必須)

VLANインタフェースが属するブリッジグループ番号を指定します。同じブリッジグループ番号が割り当てられたポートを使用することになります。この設定を省略した場合は、VLANインタフェースを利用することができません。
この設定により、VLANインタフェースと、ブリッジグループの結び付けを行うことができます。

Router(config)# interface vlanif 1
Router(config-if vlanif 1)# bridge-group lan 1 1

この設定の場合LAN1インターフェースで設定したブリッジグループ「1」に結び付けるということになります。


 VLAN-IDの指定(必須)

VLANインタフェースが使用するVLAN-IDの値を設定します。この設定を省略した場合は、VLANインタフェースを利用することができません。

Router(config)# interface vlanif 1
Router(config-if vlanif 1)# vlan-id 100


 IPアドレスの設定(必須)

VLANインタフェースで使用するIPアドレス/サブネットマスクを指定します。

Router(config)# interface vlanif 1
Router(config-if vlanif 1)# ip address 192.168.100.1 255.255.255.0


 Ethernet設定モードに移行する(必須)

各物理ポート(LAN1の#1〜#4ポート、EWAN1ポート、EWAN2ポート)を、どのようなVLAN形態で使用するかを設定するために、Ethernet設定モードに移行します。
LANポートの場合、まずEthernet LAN1設定モードに移行した後に、各ポート(#1〜#4)の指定を行います。

Router(config)# line lan 1
Router(config line lan 1)#


 ブリッジグループ番号の指定(LANポートのみ:必須)

ポートに割り当てるブリッジグループ番号を指定します。複数のLANポートで、同じブリッジグループ番号を指定することもできます(EWANと同じブリッジグループにすることはできません)。
この場合、L2レベルでの同一VLANとして動作します。
この設定により、物理ポートとブリッジグループの結び付けを行うことができます。
この設定を行わない場合、ブリッジグループ番号=0として動作します。

Router(config)# line lan 1
Router(config line lan 1)# vlan 1 bridge-group 1


 tagを付けるかどうかの設定

設定しているポートからパケットを送信する際に、802.1Q tagを付けるかどうかかを設定します。 802.1Q tagヘッダ付きのパケットを送信する場合は、tagVLAN機能が使用できます。
この設定を行わない場合、802.1Q tagヘッダ付きのパケットを送信することはできません。

Router(config)# line lan 1
Router(config line lan 1)# vlan 1 egress-tagging always


 tagなしデータの取り扱い

設定しているポートで、802.1Q tagヘッダがついていないデータを受信した際に、どのVLAN-IDを付けて処理するかを設定します。
この設定を行わない場合、802.1Q tagヘッダが付いていないデータは廃棄されます。ただし、VLANインタフェースが1つも設定されていない場合は、LAN1/EWAN1/EWAN2インタフェースとして受信することができます(LAN1に関しては、bridge-groupが設定されていないか、bridge-group 0である場合に限ります)。

Router(config)# line lan 1
Router(config line lan 1)# vlan 1 port-vlan 1


6.設定例

設定例1 LAN1の#1,#2ポートと、#3,#4ポートを、別々のVLANにする(portVLAN)



【コマンド設定】
Router(config)# interface vlanif 1
Router(config-if vlanif 1)# ip address 192.168.100.1 255.255.255.0
Router(config-if vlanif 1)# bridge-group lan 1 1
Router(config-if vlanif 1)# vlan-id 1
Router(config-if vlanif 1)# exit

Router(config)# interface vlanif 2
Router(config-if vlanif 1)# ip address 192.168.200.1 255.255.255.0
Router(config-if vlanif 1)# bridge-group lan 1 2
Router(config-if vlanif 1)# vlan-id 2
Router(config-if vlanif 1)# exit

Router(config)# line lan 1
Router(config-line lan 1)# vlan 1 bridge-group 1
Router(config-line lan 1)# vlan 2 bridge-group 1
Router(config-line lan 1)# vlan 3 bridge-group 2
Router(config-line lan 1)# vlan 4 bridge-group 2

Router(config-line lan 1)# vlan 1 egress-tagging never
Router(config-line lan 1)# vlan 2 egress-tagging never
Router(config-line lan 1)# vlan 3 egress-tagging never
Router(config-line lan 1)# vlan 4 egress-tagging never

Router(config-line lan 1)# vlan 1 port-vlan 1
Router(config-line lan 1)# vlan 2 port-vlan 1
Router(config-line lan 1)# vlan 3 port-vlan 2
Router(config-line lan 1)# vlan 4 port-vlan 2
Router(config-line lan 1)# exit



【解説】
interface vlanif VLANインタフェース設定モードに移行します。
ip address VLANインタフェースに割り当てるIPアドレスを指定します。
bridge-group このVLANインタフェースを割り当てるインタフェースと、ブリッジグループ番号を指定します。
vlan-id VLAN-IDを指定します。
この例では、tagVLANを使用しませんが、vlan-idの設定は必須です。
exit VLANインタフェース設定モードから、基本設定モードに移行します。
line lan 1 LAN1 Ethernet設定モードに移行します。
vlan 1 bridge-group 1 #1の物理ポートが属するブリッジグループを指定します。
3の設定で、VLANインタフェースとブリッジグループ番号が結び付けられていますので、そのブリッジグループ番号をどのポートで利用するのかを設定します。
vlan 1 eggress-tagging never #1の物理ポートからは、802.1Q tagヘッダをつけずに送信します。
vlan 1 port-vlan 1 #1の物理ポートで、802.1Q tagなしデータを受信した場合に、VLAN-IDをいくつとするかを設定します。
7で結び付けられているbridge-groupに属しているvlanifのVLAN-IDを指定します。

【ポイント】




設定例2 LAN1の#1ポートで、tagVLANを使用する



【コマンド設定】
Router(config)# interface vlanif 1
Router(config-if vlanif 1)# ip address 192.168.100.1 255.255.255.0
Router(config-if vlanif 1)# bridge-group lan 1 1
Router(config-if vlanif 1)# vlan-id 1
Router(config-if vlanif 1)# exit

Router(config)# interface vlanif 2
Router(config-if vlanif 1)# ip address 192.168.200.1 255.255.255.0
Router(config-if vlanif 1)# bridge-group lan 1 1
Router(config-if vlanif 1)# vlan-id 2
Router(config-if vlanif 1)# exit

Router(config)# line lan 1
Router(config-line lan 1)# vlan 1 bridge-group 1
Router(config-line lan 1)# vlan 1 egress-tagging always
Router(config-line lan 1)# exit



【解説】
interface vlanif VLANインタフェース設定モードに移行します。
ip address VLANインタフェースに割り当てるIPアドレスを指定します。
bridge-group このVLANインタフェースを割り当てるインタフェースと、ブリッジグループ番号を指定します。
vlan-id VLAN-IDを指定します。
指定したブリッジグループで受信したパケットのVLAN-IDがここで設定した値の場合は、このVLANインタフェースで受信します。
また、このインタフェースからパケットを送信する場合は、ここで指定した値をVLAN-IDとして送信します。
exit VLANインタフェース設定モードから、基本設定モードに移行します。
line lan 1 LAN1 Ethernet設定モードに移行します。
vlan 1 bridge-group 1 物理ポートが属するブリッジグループを指定します。
3の設定で、VLANインタフェースとブリッジグループ番号が結び付けられていますので、そのブリッジグループ番号をどのポートで利用するのかを設定します。
vlan 1 eggress-tagging always 802.1Q tagヘッダを付けて送信します。





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