ソフトバンクのモバイルデータ通信端末 SoftBank 604HW をUSB-Ethernetで使用する設定例です。
※ | データ通信端末の契約内容によっては、通信料のほかにプロバイダ接続料など別途料金が発生する場合があります。 |
【通信端末の事前準備】
1.自動接続の設定(必須)
604HWはデフォルトではモバイル接続設定が「手動」となっており、そのままではFITELnet本体に装着してもモバイル接続ができません。
事前にPCを利用してモバイル接続設定を「自動」に変更して下さい。
具体的な手順は下記の通りです。
"604HW ユーザーガイド"を参照して"WEB UI"から"モバイル接続設定"を行ってください。
"604HW ユーザーガイド"の参照箇所
Windowsパソコンへの取り付け/取り外し
Windowsパソコンに本機を取り付ける
各種機能を設定する(WEB UIを使用する)
WEB UIの概要
・パソコンからWEB UIを起動する
・パソコンからWEB UIにログインする
モバイルネットワークを設定する
・モバイル接続を設定する
"WEB UI"の設定箇所
「モバイル接続設定」で"自動"を選択 → "適用"をクリック
2.アドレスの変更(必要に応じて)
USB Ethernetインタフェースには604HWからDHCPを使用してプライベートアドレスが自動的に割り当てられます。
604HW側の設定でUSB Ethernetインタフェースに割り当てられるアドレスはデフォルトで 192.168.128.0/24 となっております(PCのユーティリティで変更可能)。
FITELnet本体側はこのアドレス空間以外のネットワークアドレスを使用する必要があります。
FITELnet本体側で 192.168.128.0/24 のネットワークを使用したい場合は、事前に604HWをPCに接続してユーティリティにて設定変更を行ってください。(詳しくはSoftBank 604HWの取扱説明をご参照ください)
604HWをUSB-Ethernetで使用する場合、FITELnet本体と604HWで2回NAT変換が行われる構成となります。
このため、IPsec機能を利用する場合はNAT-Traversal機能を使用する必要があります。
NAT-Traversal機能につきましては、こちらをご参照ください。
604HWご利用の際、無通信状態で放置すると604HW側のグローバルアドレスを利用できなくなることが有ります。
回避策としてICMP監視機能を利用しグローバル回線側に定期通信することを推奨します。
※回避策の設定例
icmp-class 1 logging event state-change enable interval 1800 restoration 60 trial 1 fail 1 address (usb-ethernetで疎通できるグローバルアドレス) exit |
604HW側のグローバルアドレスの復旧には以下の方法があります。
・装置リセット
・usb-resetコマンド
・604HWの挿抜
・usb-resetイベントアクション ※回避策をコマンド設定例に記載します。
! ! ! 特権ユーザモードに移行します。 ! Router> enable Enter password: super ←パスワードを入力します。(実際は表示されない) Router# ! ! ! 基本設定モードに移行します。 ! Router# configure terminal Router(config)# ! ! ! LAN1インタフェースの設定を行います。 ! (604HWがDHCPで割り当てるネットワークと異なるものにする必要があります) ! Router(config)# interface lan 1 Router(config-if lan 1)# ip address 192.168.10.1 255.255.255.0 Router(config-if lan 1)# exit ! ! LAN1インタフェースのMSS値を変更します。 ! Router(config)# mss lan 1 1380 ! 604HWのMTU設定に合わせて調整します。(初期値1420 - 40 = 1380) ! ! NAT対象のネットワークを指定します。 ! Router(config)# access-list 1 permit any ! ! 学習フィルタリングで使用するアクセスリストを設定します。 ! Router(config)# access-list 100 dynamic permit ip any any Router(config)# access-list 199 deny ip any any ! ! 604HWの情報取得設定を行います。(show usb 1 ethernet-infoの情報取得が可能となります) ! 604HWをUSB Ethernetインタフェースで使用する場合は、本設定が必要です。 ! Router(config)# usb ethernet-monitor 1 device 604HW ! ! ! USB-Ethernet1インタフェースの設定を行います。 ! (F200のUSBポート2で使用したい場合は usb-ethernet 2 に対して設定を行います) ! Router(config)# interface usb-ethernet 1 Router(config-if usb-ethernet 1)# ip mtu 1420 ! 604HWのMTU設定に合わせて設定します。 Router(config-if usb-ethernet 1)# ip address dhcp ! 604HWからDHCPでアドレスを自動的に割り当ててもらいます。 Router(config-if usb-ethernet 1)# dhcp-client retries infinitely ! DHCPクライアント動作においてアドレスが取得できるまで ! アドレス取得動作を継続します。 Router(config-if usb-ethernet 1)# ip access-group 100 out Router(config-if usb-ethernet 1)# ip access-group 199 in ! 学習フィルタリングを使用します。 Router(config-if usb-ethernet 1)# ip nat inside source list 1 interface ! NAT+を使用します。 Router(config-if usb-ethernet 1)# exit ! ! デフォルトルートを usb-ethernet 1 に向けます。 ! (F200のUSBポート2で使用したい場合は usb-ethernet 2 に向けます) ! Router(config)# ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 usb-ethernet 1 ! ! ProxyDNS機能を利用する設定を行います。 ! Router(config)# proxydns mode v4 ! ! DNSリゾルバの設定を行います。 ! (604HWのデバイス情報をFITELnet本体側で取得するために必要です) ! Router(config)# ip name-server 127.0.0.1 ! ! 経路監視の設定をします。 ! icmp-class の status としては、監視が成功している間は true で、失敗すると false となります。 ! 状態変化が発生するとログを記載します。 ! 成功時は600秒間隔で ping による監視を行い1 回の監視で 2 パケットまで送信します。 ! そして 1 パケットでも reply があれば、その回の監視は成功と判断されます ! 3 回の監視に失敗すると、false となります。 ! 失敗時は60秒間隔で ping による監視を行い1 回の監視で 2 パケットまで送信します。 ! 1 回の監視に成功すると、true となります。 ! Router(config)# icmp-class 1 Router(config-icmp-class 1)# logging event state-change enable Router(config-icmp-class 1)# interval 600 restoration 60 Router(config-icmp-class 1)# trial 1 fail 3 Router(config-icmp-class 1)# address (usb-ethernetで疎通できるグローバルアドレス) Router(config-icmp-class 1)# exit ! ! ! イベントクラスの設定をします。 ! ここではアクションの契機となるイベントを設定します。 ! イベントの staus が true になると、アクションが実行されます。 ! 今回の場合、経路監視が失敗したら、アクションとしてusb-resetを実行したいので、 ! invert オプションを付けて icmp-class の status を反転させます。 ! Router(config)# event-class 1 Router(config-event-class 1)# check ip-icmp 1 invert Router(config-event-class 1)# exit ! ! ! イベントアクションの設定をします。 ! アクションとしてusb-resetをUSBポート1に実行するようにします。 ! Router(config)# event-action 1 Router(config-event-action 1)# logging event state-change enable Router(config-event-action 1)# execute usb-reset 1 Router(config-event-action 1)# exit ! ! ! イベントマップの設定をします。 ! ここでイベントクラスとイベントアクションの結び付けを行います。 ! Router(config)# event-map Router(config-event-map)# event-class 1 event-action 1 Router(config-event-map)# exit ! ! ! 特権ユーザモードに戻ります。 ! Router(config)# end ! ! ! 設定を保存します。 ! Router# save SIDE-A.cfg % saving working-config % finished saving Router# ! ! ! 設定を有効にするために再起動します。 ! Router# reset Are you OK to cold start?(y/n) y
ルーティング情報を表示します。
確認内容 | 画面表示例 |
---|---|
ルーティング情報を確認 |
Router#show ip route Max entry: 10000 (Commonness in IPv4 and IPv6) Active entry:4 (IPv4), 2 (IPv6) Peak:4 Codes: K - kernel route, C - connected, S - static, R - RIP, O - OSPF B - BGP, I - IKE, U - SA-UP, D - REDUNDANCY, E - EventAction A - AutoConfig, > - selected route, * - FIB route, p - stale info. |
※1 |
S> * 0.0.0.0/0 [1/0] 192.168.128.1, USB-ETHERNET1 C> * 127.0.0.0/8 is directly connected, LOOP0 C> * 192.168.10.0/24 is directly connected, LAN C> * 192.168.128.0/24 is directly connected, USB-ETHERNET1 |
※1:nexthopがUSB-ETHERNETとなっている経路が有効化されていることを確認してください。
(実際のnexthopアドレスは、604HWに設定されたIPアドレスとなります。604HWが網側から割り当てられたIPアドレスは下記の show usb ethernet-info コマンドで確認できます。)
USB Ethernet情報を表示します。
確認内容 | 画面表示例 |
---|---|
USB Ethernet情報を確認 |
Router# show usb 1 ethernet-info USB-ETHERNET 1 |
※1 |
USB class: CDC-ECM Device name: 604HW Serial number: Phone number: *************** Software version: 12.450.09.17.1420 Hardware version: Network mode: LTE Signal Strength: Signal Level: 4 WAN IP address: ***.***.***.*** WAN IPv6 address: DNS address: ***.***.***.***, ***.***.***.*** DNS IPv6 address: |
※1:装着したデバイス名、デバイス情報が表示されることを確認してください。
認識できていない場合(デタッチした状態も含みます)やサポート外デバイスが装着されている場合、"not detected"や"Unsupported device"の表示になります。