FITELnet Vシリーズ
仮想ルートリフレクタアプライアンス
FITELnet vFX-R

「FITELnet vFX-R」は、既存の仮想ネットワークアプライアンスFITELnet Vシリーズをベースに、業界初のルートリフレクタ(注1)専用装置であるFITELnet Rシリーズで培ってきた機能を組み込んだ、仮想ルートリフレクタアプライアンスです。
 独自のマルチスレッド(注2)BGPを実装したことにより、3,000万経路の大規模ネットワークの高速配信を実現し、安定性強化と運用コスト削減に貢献します。また、ニーズに合わせてハードウェアやライセンスを自由に選択・拡張できため、スモールスタートなど最適な規模の投資コストでネットワーク構築が可能です。

(注1) ルートリフレクタ: 経路情報を交換するためのBGPのコネクションを集中管理する装置です。各ルータにかかる負荷を低減し、ネットワークの管理を容易にします。

(注2) マルチスレッド:アプリケーションのタスクを複数のスレッドに分けて並行・並列処理する方式です。マルチスレッド化の大きな利点の 1 つとして、並行・並列処理によってアプリケーションの処理が高速になることが挙げられます。

本製品開発の背景

大規模なネットワークを構築・運用している通信事業者にとって、網の拡張性や安定性の確保は必須となっています。これまで通信事業者のバックボーンネットワークでは、BGPをフルメッシュで構築することによる通信網全体のパフォーマンス低下(BGPフルメッシュ問題)に対処するために、BGPセッションを集約するルートリフレクタを導入し、各ルータが保持すべきセッション数を減らすことで負荷を軽減していました。

しかしながら、5GやIoTの普及など、昨今の網の拡大に伴う経路数の増大や接続されるルータの増加により、従来のルートリフレクタでは拡張性・安定性において対処が難しくなっており、更なる規模拡張性と性能を持つルートリフレクタが求められています。また、中小規模のネットワーク環境においても、構築時からルートリフレクタを導入しておくことで、将来的なサービスの拡大時にBGPピアの増加によるネットワークのパフォーマンス低下を避けることができるメリットがあるため、利用が検討されてきています。

特長

FITELnet Vシリーズで培った仮想化技術と、通信事業者での10年以上にわたる安定稼働の実績を持つルートリフレクタ専用装置FITELnet Rシリーズで培った機能・技術を融合し、新たに仮想ルートリフレクタアプライアンス「vFX-R」を開発しました。主な特長は以下の通りです。

BGP 3,000万経路配信に対応

独自のマルチスレッド対応BGPの実装により、規模拡張性と高速性が大幅に向上しています。BGPで学習した経路を他のBGPルータにアドバタイズするルートリフレクション動作が国内通信事業者の最大規模のサービスで取り扱う経路のおよそ2〜3倍に相当する3,000万経路配信でも高速処理可能になり、サービスの安定性強化と運用コスト削減を支援します。

ハードウェアとライセンスを自由に選択可能

仮想アプライアンス製品のため、ハードウェアを自由に選択・拡張できます。また、ライセンスは、インターネットサービス網での利用を想定した「Basic(v4/v6)」ライセンスと、通信事業者が構築するVPN(Virtual Private Network)サービス網での利用を想定した「VPN」ライセンスを用意しており、用途に応じて選択でき、スケールオプションも用意しています。ネットワークの規模やニーズに応じた投資が可能となり、初期費用を抑えたスモールスタートでサービスの成長に合わせてスケールアップしていくことも可能です。

ライセンス種類
ライセンス種類 利用想定のネットワーク スケールオプション
Basic(v4/v6) インターネットサービス網 ・経路数
・コア数
・VPN数
VPN 通信事業者が構築するVPNサービス網

これからのネットワークに求められる最新技術との連携により利用領域が拡大(エンハンス)

EVPN(注1)やSegment Routing(注2)などの最新技術と連携することで、データセンタ事業者やクラウド事業者での利用も可能にします。

(注1) EVPN (Ethernet VPN):IPバックボーンネットワークを介して、異なるレイヤー2ネットワークを結ぶイーサネットVPN技術です。

(注2) Segment Routing:パケットヘッダに付加したルーティングポリシー情報に基づいてパケット転送するソースルーティング技術です。

FITELnet vFX-R ユースケース

通信事業者のバックボーンネットワークにおけるインターネットサービス網やVPNサービス網で、BGP経路を集約する際に「vFX-R」を利用することができます。これにより、各ルータが保持すべきBGPセッションの数を減らすことで、各ルータにかかる負荷を軽減し、サービスの安定性強化と運用コストの削減を支援します。

仕様

項目 vFX-R
動作プラットフォーム KVMまたはESXi(IA)、CPUコア4以上、メモリ8GB以上
対応NIC 仮想NIC virtio-net(KVM)、vmxnet3(ESXi)
物理NIC igb、i40e、i40evf、E810
インタフェース 中継インタフェース 最大10
管理インタフェース 1
コンソールポート 仮想コンソール
サポートプロトコル IPv4/IPv6
ルーティング ルーティングテーブル BGP: 6,000,000*IPv4とIPv6の合計、ベストパスは3,000,000
OSPFv2: 40,000
OSPFv3: 10,000
RIP: 2,000
Static: 2,000
FIB: 600,000*本装置がパケットの送信先として登録可能な経路数(IPv4とIPv6の合計)
ルーティングプロトコル RIPv2、OSPFv2、OSPFv3、BGP4、BGP4+、Static
BGP最大ピア数(注1) eBGP 300
iBGP 300
冗機能 監視プロトコル BFD、IPv4/IPv6 Survey(注2)
保守運用機能 SNMP(v1/v2c/v3)、SYSLOG、ping、telnet、traceroute、SSHv1、SSHv2、SCP、SFTP、FTP、SNTP、NTP、RADIUS、TACACS+、イベントアクション機能
ファームウェア/コンフィグ ファームウェア2面/コンフィグはASCIIファイル形式で内部ストレージ、ftpサーバなどに保存
付加機能鍵

(注1)条件により異なります。詳細はお問い合わせください。

(注2)icmp によるネットワーク上の端末、ルータ等を監視する機能です。インターフェース、スタティックルート及びBGPと連携して監視ノード故障時に経路の高速切替えが可能です。