どうして空は青いのだろう。なぜ石は硬いのだろう。そんな素朴な疑問が、化学の道を歩む原点でした。大学時代の専攻は、高分子工学。分子の形を変化させ、より強いプラスチックを生み出す研究をしていました。環境問題にも興味があり、自分の研究を活かしてインフラや地球環境に貢献できる会社を探すなかで古河電工と出会い、研究の幅広さとOG訪問や事業所見学で出会った方々の人柄の良さが入社の決め手となりました。

現在は樹脂関係の研究開発を行っています。プラスチックに植物の繊維を混ぜて、従来品よりも環境に優しく高い強度の「新しいプラスチック素材」を生み出そうとしています。最終的には、お客様であるメーカー企業と一緒に、実際の製品に落とし込むことが目標です。研究開発の仕事を通して、環境負荷の低減に貢献できることがとても嬉しく、やりがいを感じます。

新しい素材の開発は、０から１を生み出すもの。先が見えない苦しさを感じることもあります。入社して最初に携わった研究でその壁にぶつかりました。開発していた材料の特性が求めるレベルに届かず、行き詰まった時期がありました。開発チームの仲間に相談しては、出てきたアイデアをすべて試すなど、毎日が手探りでした。

そんな中で浮かんだのが、「お客様が求める高いレベルは、そもそもこの素材では実現できないのかもしれない。」ということです。人的リソースも限られるなか、見切りをつけて他の素材に切り替えることに不安もありましたが、「できる！」と信じなければ、成功するものもしないと自分を奮い立たせました。研究を続けること1年、ようやく求めるレベルの素材が完成し、お客様からも良い反応をいただけたときは本当に嬉しかったです。1年目から大きな裁量を与えてもらったことで、強い当事者意識を持ってやり遂げることができました。

やはり私にはこの仕事が向いていると思うので、今後も研究開発に携わっていきたいです。いずれは「この分野だったら一番に自分に聞いてもらえる」というレベルの、広く深い専門知識を持った「繊維強化樹脂のプロフェッショナル」を目指しています。今まで本当に多くの方に助けていただいたので、これからは自分の知見を活かしてみなさんに恩返しをしていきたいです。

そのためにも、繊維やプラスチックの種類ごとの特性の違いや相性を学んだり、自分の研究成果を分かりやすく伝えるプレゼンスキルを身につけたりと、やるべきことはたくさんあります。日々の業務で学び、仲間に助けてもらいながら成長していきたいと思います。幸い古河電工には、それぞれの分野にその道のプロフェッショナルがいます。「できる！」と信じて、この道を歩み続けます。