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ニュースリリース

面発光レーザ(VCSEL)で世界最高の電気光変換効率(62%)を達成

〜低消費電力でグリーンIT、CO2 削減に貢献〜

2008年12月19日

古河電工は,面発光レーザ(VCSEL)で世界最高となる電気光変換効率62%を達成しました。

電気光変換効率の向上は消費電力の削減に直接的に繋がるため、今回開発したVCSEL を用いることにより低消費電力レーザが実現可能となります。今後、データー伝送容量の飛躍的拡大により、処理能力や消費電力、発熱が問題となっているデーターサーバーへ導入が進む光インターコネクションモジュールや、産業用途の加工用高出力レーザなどに応用することにより、グリーンIT、CO2削減への貢献が期待できます。

開発の背景、ポイント

VCSEL では様々な特徴(注1)が実証されているものの、環境調和製品を実現する上で重要となる低消費電力動作で特性改善の余地が残されていました。当社では、レーザの設計や素子作製方法を突き詰めることにより、世界最高となる電気変換効率(62%)を達成しました。

開発に際しての主なポイントは以下の2点です。

1.発振効率を高める

当社製品である光ファイバアンプ用980nm レーザで実績のある、高品質なInGaAs(インジウムガリウ ム砒素)歪量子井戸を活性層として用いました。その結晶成長には、原子層レベルで厚さ制御可能 な分子線エピタキシー(MBE)技術を用いました。この材料では、高効率な発光特性が得られるだけでなく、超高速動作の実現が可能であるというメリットもあります。

2.電気的損失と光学損失を低減させる

VCSEL では通常のレーザと異なり、電流経路とレーザ共振器方向が一致するため、電気的損失と光学損失とはトレードオフの関係となります。このトレードオフを最小限に抑えるためには、材料の基本特性にまで立ち入った定量的な把握が不可欠となります。電気的損失の低減は、当社が長年光ファイバアンプ用ポンプレーザで培ってきた半導体レーザプロセス技術で徹底的な検討を行い、電気的損失削減に必要な電気抵抗を下げることにより実現しました。また、光学損失については、電気損失とトレードオフの関係ですが、レーザの共振器内の膜厚を上記MBE技術を駆使し精密制御することにより、電気損失を最小限に抑えつつ、光学損失を抑制させることに成功しました。

開発したVCSELの特性

図2にVCSELの特性を示します。

線(1)は、レーザの電流対光出力特性(入出力特性@25℃,90℃)で、光出力は左の縦軸です。この特性の傾きは、スロープ効率と呼ばれ、この例では約1W/Aでありました。また、しきい値電流(レーザ発振を開始する電流)は、0.5mAと充分低い値となっています。線(2)は、電流対電圧特性を示します。線(3)は、電気光変換効率特性(PCE: Power Conversion Efficiency)で、光出力値/(電流値*電圧値)で表され、値は右の縦軸で表されます。この例では、62%でありました。また、電気損失と放熱特性を改善したことで、電流注入増加に伴う電気光変換効率特性の劣化も小さく抑えられています。

現在、光伝送装置で用いられる一般的な電気光変換機(トランシーバー)のPCE は30〜40%です。

これまで最高のPCE は、ドイツのUlm 大学が1997年に報告した57%でありました。但し、この例では、電流増加に伴い効率が大きく減少していました。

このVCSELは,並列型の光インターコネクションモジュールやレーザ加工用高出力レーザとして高効率なレーザ光源として期待されます。

作製した1060nm VCSELの構造図
図1:作製した1060nm VCSELの構造図

入出力特性と光・電気変換効率特性の図
図2:入出力特性と光・電気変換効率特性

VCSEL素子の写真

3インチ(直径〜75mm)GaAs 基板上に作製されたVCSEL素子(数万素子が作製可能)

VCSEL素子の写真

備考

尚,この成果については9月末にイタリアで開催された第21回半導体レーザ国際会議のポストデッドライン論文にて発表しました。

用語解説

(注1)VCSEL は東工大伊賀学長が発明した国内発の半導体レーザであり、次の大きな特徴があり様々な 領域で使用され始めている。

  1. レーザ共振器が縦方向に形成されるため、従来の半導体レーザと異なり、レーザ結晶をへき開 するという作業が不必要なため、LED(発光ダイオード)と同様にウエハでの検査が可能であり、 一次元や二次元のレーザアレー用途が可能である。
  2. 発光層体積が従来のレーザに対して1/10程度であるため、レーザ発振のための電流(しきい 値電流)が小さくなり、低消費電力が可能であり、一次元や二次元のレーザアレー用途へ好適 である。また、大容量伝送が可能である。
  3. 発光ビームが円形であるため、光ファイバへの高結合が可能である。

現在は,データコムでのトランシーバ,コンピュータマウス,レーザプリンター等で使用されている。

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