若手社員の発案で「防災士」資格を取得!
挑戦を後押しする機能樹脂エンジニアリング営業部のチームワークに迫る

名前の下に、きらりと光る「防災士」の文字。AT・機能樹脂事業部門では、防災・減災製品の提案に携わる6名のメンバー全員が2021年に防災士の資格を取得し、名刺にはその証が刻まれています。実は、資格を取ろうと提案したのは、当時入社4年目だった若手社員。どのような理由で防災士を目指し、メンバー全員での取得に至ったのでしょうか。当事者たちに話を聞きました。
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- いまい こうぞう今井 浩三
- 機能製品統括部門AT・機能樹脂事業部門機能樹脂エンジニアリング営業部長
1995年入社
一張一弛、率先垂範、高い志と熱い心で部下を育てる頼れるリーダー
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- とよだ としや豊田 寿也
- 機能製品統括部門AT・機能樹脂事業部門機能樹脂エンジニアリング営業部3課長
2006年入社
快活明朗、艱難辛苦も笑顔で乗り越え、部下のチャレンジも全力で後押し
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- いなだ ひろみ稲田 裕美
- 機能製品統括部門AT・機能樹脂事業部門機能樹脂エンジニアリング営業部3課
2018年入社
防災士資格取得の発案者。計画的にコツコツ進める努力家
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- なかむら あやな中村 彩菜
- 機能製品統括部門AT・機能樹脂事業部門機能樹脂エンジニアリング営業部3課
2018年入社
稲田さんと同期で営業としては1年後輩。なんと防災士資格試験は満点合格!
“防災の自分ごと化”が資格取得のきっかけ。お客さまのリアルなニーズを理解するために
—機能樹脂エンジニアリング営業部のみなさんは、普段どのような仕事をしているのでしょうか?
今井「私たちは、大きく二つの製品を軸に営業活動をしています。一つが55年の歴史をもつ樹脂製の電線管、もう一つがエアコンの室外機に代表される発泡材。こうした建築や家電向けの資材の開発・販売を行いながら、新たな市場を開拓しようと、2021年から防災・減災製品の開発・販売をスタートしました。
実は、前年の2020年に部内で意識調査をしたところ、およそ4割のメンバーが社会貢献に興味・関心を持っていることがわかりました。そこで、メンバーのモチベーションと仕事を直結させるのが望ましいだろうと、社会課題を解決する製品を展開することに決まったんです」

稲田「防災・減災製品には現状、避難場所で壁緩衝材の役割を果たす『避難時用マット』や、浸水対策ができる『折り畳み式止水版 F-shield』などの製品があり、これらの導入を自治体や企業の防災担当者に提案しています。
スキルフリー®︎避難時用マット 使用例


折り畳み式コンパクト止水板「F-shield®︎」使用例


また、自治体や企業への提案だけではなく、研究所や防災に取り組む団体などに対しては、新製品を開発するためのヒアリング活動も行っています」
—防災士の資格を取ろうと言い出したのは稲田さんだったとのこと。どうして防災士に目が向いたのでしょうか?
稲田「私は兵庫県出身で、生まれた年に阪神淡路大震災が起きました。母は幼かった私を抱えて、避難所に逃げ込んだそうで、そこでの経験を小さい頃から聞いていました。
一方で私は、自分が母と同じ立場になったとき、果たして小さな子どもを守れるだろうか、と思いました。いざというとき、最適な行動をとれるかどうかわからない人間に防災製品を売る資格があるのか。そんなことも考えて、防災について一から学びたいと思うようになったんです。

防災士は、自助・共助・協働の3つをキーワードに、地域の防災力向上に貢献する人材です。防災製品を提案する立場として、実際に災害にあったときにどのような行動をすべきなのか、何が必要なのかを知っておくことで、お客さまの持つ真のニーズについても理解できるのではと考え、防災士の資格取得を決めました」
一人ひとりの自主性と一致団結して挑む姿勢が、社内外で良い流れを生む
—稲田さん以外のみなさんも一緒に防災士の資格に挑戦することになったのはどうしてでしょうか?
豊田「まず課長の私から上長である部長の今井さんに『稲田さんが防災士の資格を取りたいと言っていますが、受験させてもいいでしょうか』と打診しましたよね」

今井「もちろん応援したかったので、すぐに認めました。そして、そのときある言葉がパッと頭に浮かんだんです。それは『率先垂範する(先に立って背中を見せる)』。当社には上司として大事な心構えと行動原則を定めた『古河電工流上司心得七則~フルカワセブン』というものがあるのですが、その中の一つの指針です。部下が受験するなら、上司である私も一緒に受験して背中を見せなければ、と」
豊田「部下と上司が受験することになり、これは間に立つ私も受けなければいけないなと思いました(笑)」
中村「私は、課として防災・減災製品に力を入れていくという動きがあったことはもちろん、同期である稲田の自主的な姿に刺激を受けて、取得しようと決めました」

—防災士の資格を取得するには、具体的にどのようなことを学ぶ必要があるのでしょうか?
稲田「災害が起こる仕組みなどの基礎的なことから、自治体の防災計画の立て方、災害時の救助者の動き、被災者が寝泊まりする仮設住宅の設置条件、災害に関する法律など、災害にまつわるあらゆることです」

今井「正直、防災士になることがこれほど大変だとは思いませんでした(笑)。しかも試験まで2カ月もなくて。稲田も豊田も私より勉強の進みが早かったので焦りましたね」
中村「稲田は計画的にコツコツ勉強していましたね。私はみなさんが受けた試験の次の回に一人で受験して。その後、他のメンバーも受験して、晴れて課の全員が防災士になれました」
—防災士の資格を取得したことによって、お客さまからの反応に変化はありましたか?
稲田「名刺を交換した際に『防災士なんだ!』と興味を持っていただけることが多いですね。『災害についての何でも屋』と認識していただけているのか、まちづくりで困っていることやハザードマップの作り方など、製品以外のことについても腹を割って話してくださるお客さまが増えたように思います。
他にも、過去に起きた災害やその地域での取り組み事例に関する知識が増えたので、より具体的に提案できるようにもなりました。防災士になったことで、これまでよりも自信をもってお客さまと向き合えているように感じます」

中村「防災とは全く関係のない製品の提案をした企業さんから、『実は、防災製品が欲しいと思っていたんだよね』と言われて受注につながったケースもあります。やはり災害対策はどの企業にも共通するテーマで、意図せずともそうした話につながっていくのは資格のおかげですね」
豊田「私は町内の人たちとの集まりで防災士の資格を取得したことを口にしたら、町の防災担当に任命されました。まさかこんなところで、と思いましたが、防災の知識はどこでも役に立ちますし、必要なことなのだと思います」
中村「私も防災について学んだことで災害時のラジオの重要性に気がついて、すぐに購入しました。防災士の資格は、日々の生活でも役に立っていると実感しています」
自ら考えて行動できる余地と、サポートしてもらえる環境。若手でも挑戦しやすい理由とは?
—機能樹脂エンジニアリング営業部では、普段から若手社員の発案でプロジェクトなどを進めていくことが多いのでしょうか?
稲田「はい。いま部内で進めている営業のDX化にも、若手の意見が多く採用されています。例えば、YouTubeやLINEといったSNSで防災情報コンテンツを発信するアイデアなど。最初は案を出しても却下されてしまうかな……と思っていたのですが、前向きに承諾してもらえたのでさらにやる気が湧きました」

中村「やりたいことに対して上司が積極的に協力やフォローをしてくださるので、安心して挑戦できているのだと思います。私は部署横断型のプロジェクトにも参加していて、技術担当や製造担当といった畑が異なる人と関わる機会も多く、そこからまた新しいアイデアが思いつくこともありますね」

今井「私のような年齢や立場の人から見たら、若い人の柔軟な発想は新鮮で非常に面白いですよ。むしろ、積極的に取り入れていきたいと考えています」
豊田「コロナ禍によって、これまでの営業スタイルは大きく変化せざるを得ませんでした。そんな中で、若手のメンバーたちがどうすればいいか自分たちで考えて、工夫して、実行していることは頼もしいですね。自由に考えて行動できる余地があることが、彼らのやりがいにつながっているのかもしれません」
稲田「たとえチャレンジが失敗したとしても、振り返りを通じて経験に変えることができれば認めてもらえる環境です。今回のように、部長や課長が一緒に挑戦してくださることもありますし、非常に心強いですね。私は今年度から、防災・減災製品の営業とは別に新しい仕事も任せていただいているので、また一から学ぶ必要があるなと感じています。みなさん、ぜひ一緒に勉強しましょう!(笑)」