キャリア形成を後押し。異業種交流から導く「私なりのリーダーシップ」

企業で働く女性が生き生きとしなやかに働き続け、ビジネス成功のキーとなる役割をより強く担っていくことを後押しすることを目的とした「異業種ビジネスリーダーシップ塾2023 ~しなやかに、一歩前に~」。コロナ禍でのオンライン開催を経て、4年ぶりに一堂に会してのリアル開催が実現しました。

異業種ビジネスリーダーシップ塾2023 参加企業(五十音順)

サッポロホールディングス株式会社、太陽誘電株式会社、株式会社大和総研、DXCテクノロジー・ジャパン株式会社、株式会社日本M&Aセンターホールディングス、 株式会社 日本HP、日本ヒューレット・パッカード合同会社(HPE)、古河電気工業株式会社、株式会社丸井グループ、三菱鉛筆株式会社、三菱ケミカルエンジニアリング株式会社、株式会社 明治、ほか1社

“私なりのリーダーシップモデルの構築”を後押し

異業種ビジネスリーダーシップ塾(Women's Summit Tokyo)は、2007年に日本ヒューレット・パッカード株式会社の呼びかけにより、女性活躍支援に積極的に取り組む日系・外資企業が参加してスタートしました。現在は、複数企業による共催・協賛の形でプログラムを実施しています。

古河電工は2018年度から参加しており、7月10日に行われた今年度第1回のプログラムでは、古河電工本社の18階Galleryを会場として提供しました。当日は13社から約70名の女性中堅社員が参加し、基調講演、ネットワーキングランチ、パネルディスカッション、グループワークが実施されました。

基調講演やパネルディスカッションに登壇した方の経験談を聞き、また、グループワークにおいて参加者どうしがこれまでのキャリアを共有することで、参加者一人ひとりのありたい姿や、リーダーシップモデルを構築するきっかけを作ることを目指しています。

開会挨拶をした宮本戦略本部長
「企業の枠を超えてアイディアを共有し、自分らしいリーダーシップスタイルを見つけて」
グループワークの様子。ライフラインチャートを用いてお互いのキャリアを共有

偶然もキャリアのチャンスに。
「ロールモデル」などどこにもいない、「パーツモデル」を集めよう

基調講演には、オフィスKITO合同会社代表の伊藤久美さんが登壇。伊藤さんはKITOで企業アドバイザーをされる傍ら、True Data取締役、富士古河E&C取締役、SOMPO HD取締役、筑波大学理事、良品計画取締役と幅広い業態の組織に関わり活躍していらっしゃいます。そんな伊藤さんが、これまでどのようにしてキャリアを積んできたのか、その時々のエピソードを交えながら語っていただきました。

基調講演の様子。興味深い経験談に耳を傾ける参加者

ジャズと出会いシンガーを目指したいと思った学生時代から、それでも昼間は働いておこうという動機で入社した最初の企業での経験、結婚後ご家族の転勤を機に専業主婦になり、数年後社会復帰してからのITとの出会い、そして、海外進出、ヘルスケアとの出会いと、目まぐるしく変化する環境の中でキャリアを積み重ねた伊藤さんのお話には、ごく普通のOLとしてスタートし、普通に悩む一女性の等身大の姿がありました。

それでも彼女がここまでの驚くべきキャリアを形成されてきた背景には、偶然起きたこともいろんなチャンスにつながるという「プランド・ハップンスタンス」の意識がベースにありました。そして、そのチャンスを活かすための好奇心や持続性、柔軟性を持ち、失敗を重ね高い壁にぶつかっても、前向きに取り組み続ける姿勢、努力があってこそ、今のキャリアがあるということが伝わってきました。

そんな伊藤さんのお話の中で特に参加者からも印象的という声が多かったのが、「ロールモデル」なんてどこにもいない、「パーツモデル」を集めようということ。例えばファッション、メールの書き方、プレゼンの仕方など、パーツパーツで自分が「いいな」と思う人の要素を集め、自分なりのパーツモデルを組み合わせる方が目指しやすくて良い、そしてその目指す相手は本の中でも、性別や年齢、国籍など関係なくバラエティに富んでいて良いのだから、というお話でした。

基調講演をする伊藤久美さん
“Be the First Penguin.”=リスクを恐れすぎず、新しいことに挑戦しようというメッセージを届けました

リーダーシップの形は人それぞれ。3人のパネリストから学ぶ管理職の役割とは

パネルディスカッションでは、参加企業の中から管理職経験のある3名のパネリストに登壇いただき、管理職になって変化・成長したことや失敗談、自身の描くリーダーシップ像などについてお話しいただきました。

パネルディスカッションの様子

管理職に任命された当初は、皆さん「えっ私が?」という思いを持ちつつも、任されたからには役割を果たそうと努力していく中、上司という立場になることで「視座が上がり経営的な視点を自部門の目標に落とし込むようになった」「自社や自部門の立ち位置を客観的に見るようになった」「結果責任が伴うことで気持ちが引き締まった」など、意識が変化し、成長を実感されたそう。

管理職になるタイミングも経験もそれぞれで違う3人。それでも共通していたのが、「部下の育成方法は一通りではなく、リーダーシップの形もさまざま」ということでした。

はじめは「リーダーシップとは自ら引っ張っていくもの」と気負っていたものの、管理職としての成功と失敗を重ねて、部下に対する教育や指導は、一人ひとりの個性に合わせるべきということ、そしてリーダーシップの形は一つではなく、率先垂範が良い場合もあれば、時には後ろから支えることが適していることもある、ということに気付き、試行錯誤を繰り返し自身のリーダーシップ像を作り上げてきたことを話してくださいました。

三菱ケミカルエンジニアリング株式会社 大釜和子さん
一人ひとりの能力を見極めて支援するサーバントリーダーでありたい
※サーバントリーダー:部下の個性を生かしてパフォーマンスを発揮できるように支える、支援型リーダー
日本ヒューレット・パッカード合同会社 林亜樹子さん
楽しくやっている姿を見せて、こういう管理職ならなってみたいなと思われる雰囲気を作りたい
株式会社大和総研 元秋京子さん
リーダーシップの形は一つではない。自身の知見・経験を活かせる領域と任せる領域の使い分けをしていきたい

自身の経験を語られた最後に、これから管理職を担っていく参加者に向けて次のようなメッセージが送られました。

「このイベントに参加したこと自体が既に大きな一歩、自分が変わっていく気づきを手にするチャンス」

「グループワークで使ったライフイベントチャートは『自分のよろこびがどこにあるのか』を見直せるのでぜひ活かして」

「ひたむきにやっていれば、絶対に誰かが見てくれていて、次につながるきっかけになる」

「想定外の出来事でも、経験が結果として自身の成長につながっている。本当にやりたいことを頭に描きつつも、目の前のことをとりあえずやってみることが大切」

次はフィールドワークへ。キャリアアップへの挑戦は続く

この「異業種ビジネスリーダーシップ塾」、次回は参加企業の枠を超えて活動を広げます。参加者がグループに分かれ「この人にお話を聞きたい!」という方に自らアポイントを取り、ビジネスリーダーシップに関するインタビューを実施。10月に開催予定の第2回(オンライン開催)でその内容を発表し合い、共有します。

このフィールドワークを通じて新たな気づきを得て、自身のキャリアプランやリーダーシップモデルの構築に役立てていきます。

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