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ニュースリリース

超高速100Gbps 光デジタルコヒーレント伝送向け
(1)高出力・狭線幅フルバンド・チューナブル・レーザのサンプル出荷開始
(2)偏波合分波器内蔵型コヒーレント・ミキサーの製品化

2011年3月4日

当社は、2012年に世界で本格的な導入が見込まれる毎秒100 ギガビット(以下、100Gbps)の超高速光デジタルコヒーレント伝送向け光部品として、高出力・狭線幅フルバンド・チューナブル・レーザを開発し、この度サンプル出荷を開始しました。また、偏波合分波器を内蔵したコヒーレント・ミキサーを本年7月に製品化します。
3月6日より米国・カリフォルニア州・ロサンゼルスにて開催される世界最大の通信関連の国際会議・展示会「OFC/NFOEC2011」にて、本サンプル及び製品の展示を行います。

開発の背景

近年、スマートフォンの普及によるワイヤレスバックボーンの拡大や、クラウドコンピューティング、動画配信、ソーシャルネットワークの普及などにより、通信トラフィックが急激に増加しております。
これまで、コアネットワークの伝送容量の拡大は、信号の多重化(波長多重)と伝送速度の高速化で対応されてきました。
しかし現在、多重化はほぼ技術的な限界(現在88波)に達してきたため、 1波長あたりの伝送速度を40Gbps から100Gbps に高速化することで、伝送容量の拡大を実現する動きが活発化しています。
その際、従来の光強度をON/OFF する2 値強度変調方式で100Gbps の超高速光伝送を行なうと、伝送路で生じる信号劣化、雑音の影響を大きく受け、信号を正確に伝送することができません。

そこで、100Gbps の超高速光伝送には、光の強度(ON/OFF)ではなく、光の位相(波の状態)を用いることで、信号劣化に強く雑音の影響も受けにくい「光デジタルコヒーレント方式」と、正味の伝送速度を抑えられる「多値変調方式」を採用することが、昨年5月、OIF(※)で決まりました。
本方式は、欧州の一部では既に昨年採用されており、2012年には北米を中心として本格的な導入が見込まれます。

(1)高出力・狭線幅フルバンド・チューナブル・レーザ

内容

高出力・狭線幅フルバンド・チューナブル・レーザ
高出力・狭線幅フルバンド・チューナブル・レーザ

光デジタルコヒーレント方式では、位相変調された信号光に受信側で局発光を干渉させることで、強度変調に復調します。信号復調時の誤差を抑えるには、高い干渉性が求められるため、発振スペクトル幅の狭い(狭線幅の)信号光および局発光が必要となります。

そこで、当社は光ネットワークシステム向けの信号光源として実績を積んできたDFB レーザアレイ型フルバンド・チューナブル・レーザの技術を生かし、昨年3月、光デジタルコヒーレント方式の信号光および局発光用に優れた特性を発揮する、高出力(40mW以上)で狭線幅(500kHz以下)のフルバンド・チューナブル・レーザを開発しました。
その後、狭線幅特性を安定的に得られるようにDFBレーザーのパラメーターを最適化し、この度サンプル出荷を開始しました。

<開発品主要スペック>
項目 仕様
波長可変幅 1528~1564 nm (C 帯)
光出力 40 mW (C 帯)
線幅 <500kHz
サイドモード抑圧比 >40dB
平均相対強度雑音 <-145dB/Hz
波長安定性 <±2.5GHz

(2)偏波合分波器内蔵型コヒーレント・ミキサー

内容

偏波合分波器内蔵型コヒーレント・ミキサー
偏波合分波器内蔵型コヒーレント・ミキサー

光デジタルコヒーレント方式では、位相変調信号を2つの直交する偏波で伝播させることにより、更なる超高速光伝送が実現できます。
この変調方式の信号受信部では、偏波合分波器と光干渉器(コヒーレント・ミキサー)が必要となります。当社ではこれまで、PLC技術を用い、信頼性が高く、特性に優れたスプリッタやアサーマルAWGなどの開発・製品化を行ってきました。
これらの技術蓄積を応用し、昨年3月、高偏波消光比である偏波合分波器と、優れたロス均一性を持つコヒーレント・ミキサーを一体化した小型化の開発に成功しました。
これまで必要だった両部品の結合作業が不要となり、結合部での特性劣化を回避でき、コストダウンにもつながります。
また、PLCの特徴である安定した特性再現性により、コヒーレント・ミキサーにとって重要な特性の1つである、光ポート間の光信号の伝送時間差(スキュー)を最小限に抑え、個体毎の特性ばらつきの小さい、安定で優れた特性を実現しています。
当社は、量産に向けた設計の最適化や製造体制の準備を行い、本年7月に製品化する予定です。

製品の特徴

  • スプリッタやアサーマルAWGで実績のある高信頼性
  • 小型
  • 低コスト
  • 優れたロス均一性(1dB以下)
  • 低スキュー(Typ.1ps以下)
  • 高偏波消光比(18dB以上)

用語解説

(※)OIF : Optical Internetworking Forum
光波長分割多重技術を使った高速データ通信を推進する業界団体。

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バウンド トゥーイノベート

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