2011年10月17日
古河電工は日本時間2011年10月17日、第2世代高温超電導線材の製造販売会社であるSuper Power社(以下 スーパーパワー社)をフィリップス社から買収する契約を締結しました。本買収契約は、政府許認可等の発効条件を満たした後、契約発効となります。
当社は本買収により、現在第2世代高温超電導線材を商業生産できる世界で2社のうち1社を当社グループ傘下に収めます。世界的に拡がりを見せているスマートグリッド分野や自然エネルギー分野および産業用分野にむけて、超電導線材を提供すると共に、超電導線応用機器を開発し、積極的に事業を展開していきます。
買収事業の内容と目的
スーパーパワー社は米国のニューヨーク州に拠点を置き、欧米を中心に世界に130社以上の顧客を持つ第2世代高温超電導線材の製造販売会社です。現在第2世代高温超電導線材を量産し顧客に供給できる能力を有する会社は世界でスーパーパワー社と米国の1社のみです。
当社は1960年代よりニオブチタン線材などの金属超電導線材の販売を開始して以来、MRIなどの医療分野、半導体引上装置用マグネットなどの産業分野、加速器などの科学研究分野および核融合などのエネルギー分野に金属系超電導線材を提供してきました。また、スマートグリッドや再生可能エネルギーの要素機器となる超電導電力ケーブルや限流器などの高温超電導機器の開発も進めています。
本買収を機に、超電導電力ケーブルなど応用機器の製品化技術に優位性を持つ当社と、超電導線材製造技術に優位性を持つスーパーパワー社を傘下に収めることで、当社は世界で唯一の第2世代高温超電導線材から機器までを量産供給できる企業グループとなり、超電導電力ケーブル、大型風力発電機、その他超電導機器等への線材供給のみならず、機器事業の拡大で、2016年に売上高100億円を目指します。また超電導線材については世界で唯一の第2世代高温超電導線材と金属系超電導線材を提供できるメーカーとなります。
古河電工グループは幅広くお客様のニーズに応えながら、電力関連インフラの高度化に貢献するとともに、スマートグリッドなどの電力関連インフラ向けの製品提供でグローバルに事業を展開してまいります。
スーパーパワー社の概要
(1)本社 | アメリカ ニューヨーク州 スケネクタディー |
(2)売上高 | 約4億円 |
(3)従業員数 | 59人 |
(4)事業内容 | 第2世代高温超電導線材製造販売 |
古河電工の概要
(1)本社 | 東京都千代田区丸の内2-2-3 |
(2)売上高 | 9,258 億円(2011年3月期連結) |
(3)従業員数 | 連結39,352人,単体4,227人(2011年3月31日現在) |
(4)事業内容 | 電線・非鉄金属関連製品の製造・販売 |
補足
第2世代高温超電導線材とは、ビスマス系材料の超電導線材(第1世代)に対し、イットリウム系材料の超電導線材のことです。第2世代線材は、第1世代線材と比較して、機械的強度、磁場中の電流特性に優れ、また交流損失も小さく、低コストが見込まれ、現在の超電導線材研究の主流となっています。