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ニュースリリース

世界初 超高圧高温超電導ケーブルを製造
~中国瀋陽市で長期課通電試験を実施します~

2012年5月18日

当社は、世界最高の電圧階級となる275kV 超電導ケーブルの長期課電・通電試験を、中国瀋陽市の瀋陽古河電纜有限公司にて実施します。これは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託した「イットリウム系超電導電力機器技術開発プロジェクト(プロジェクトリーダー:塩原融超電導工学研究所所長)」において行うものであり、気中終端接続部、中間接続部をもつ高温超電導ケーブルを布設し、高温超電導ケーブルとして必要な性能の検証を行うものです。30mの超電導ケーブルは、株式会社ビスキャス市原工場で製造しました。初期性能の確認後、本年10月から試験を開始する予定です。

275kV 超電導ケーブル写真
275kV 超電導ケーブル

275kV 超電導ケーブル 試験レイアウト
275kV 超電導ケーブル 試験レイアウト

経緯

高温超電導ケーブル(注1)は、大容量の電力を低損失で送電することが可能であることから、従来技術では実現し得ない革新的ケーブルを可能とすると共に、省エネとCO2削減に大きく貢献できると期待されています。当社はこれまで、送電容量が高くなるほど省エネ効果は高いことから、常電導の電力ケーブルに比べて3倍の電力となる150万kWの送電を可能にした超高圧超電導ケーブルの開発を2008年より「イットリウム系超電導電力機器技術開発プロジェクト」の中で進めてきました。これまでの国内および国外で開発された超電導ケーブルの最高電圧はそれぞれ66kVと154kVであり、高い電圧に耐える超電導ケーブルとその接続部品の開発がキーとなっていました。昨年、高電圧化を目的に275kV超電導ケーブルとその気中終端接続部(注2)の開発に成功したことより、長期的な性能の確認のため、終端接続部と中間接続部を持つモデルケーブルを製造し、試験場に布設して、長期課電・通電試験を実施することにしました。

中国での実施の目的

発電所から消費地まで電力を送る基幹系の送電線において、国内,国外ともに、地中電力ケーブルとしては超高圧化が主流となり、大容量送電が行われています。超電導ケーブルは大電流送電をコンパクトな断面サイズでできることから、これまでの超高圧ケーブルが一般的にトンネル(洞道)に布設しているのに対して、管路に布設することができ、建設コストの低減と工期短縮が期待されています。これより、新しい送電系統の建設に適用できる超高圧超電導ケーブルの開発が望まれています。送電インフラの発展が急速に進む中国で超電導ケーブルの実証を行うことは、超電導ケーブルに関する我が国の技術の優位性を顕示して、国際的な産業競争力強化に繋がると考えています。そのため、当社は100%出資子会社である瀋陽古河電纜(注3)において超電導ケーブルの課電と通電を同時に行う長期試験を行い、長期の性能を確認します。

補足

(注1)超電導ケーブル:
超電導ケーブルは、液体窒素温度(マイナス196℃)で超電導状態となる高温超電導線材を電流が流れる導体に使用することで、小さな断面積で大電流を、低損失で流すことができることから、現用の送電用ケーブルと比較して軽量かつコンパクトで、発熱もない状態で大容量送電線を実現することが可能です。超電導ケーブルは、フォーマと呼ばれる芯にテープ状のイットリウム系超電導線を多数螺旋状に巻きつけ、更にその上に、電気絶縁層、超電導シールド層、保護層を設けることでケーブルコアを形成しており、そのケーブルコアを断熱管の中に収納したものです。本文に戻る

(注2)終端接続部、中間接続部:
終端接続部と中間接続部は、超電導ケーブルを接続するために必要な付属品です。終端接続部はケーブルの端部に取り付き、室温中に設置されている電気設備と接続するための端末です。中間接続部は、超電導ケーブル同士をつなぐもので、長距離に布設には必要な接続部です。超電導ケーブルは、液体窒素で冷やされ、導体は高い電圧がかけられていることから、接続部は液体窒素温度と室温の熱絶縁と、アースと高電圧の電気絶縁の両方の機能を持つ必要があります。本文に戻る

(注3)瀋陽古河電纜有限公司:
1995年に当社、瀋陽電纜および伊藤忠3社の合弁会社として設立し、2003年に当社の100%出資子会社となり現在に至っています。中国瀋陽市に工場をもち、事業内容は66kVから500kVの超高圧電力ケーブルおよびジョイントなどの機器部品の製造、販売、ケーブル工事です。当社から移管された製品の設計、製造及び品質管理技術を有する中国No.1の超高圧電力ケーブルメーカーです。本文に戻る

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