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古河電工時報 第106号

Pdめっき電気接点の特性

鈴木 智,谷本守正

概要

Pdめっきは,半導体リードフレームでは徐々に採用が拡大されているが,コネクター用途でのPd-Ni下地Auめっき以外は電気接点部品での実用例が少なく,その特性が注目される。電気接点材料に要求される特性は,基材の物理特性に加え,接触抵抗が長期に渡り安定していること,半田接続性に優れること,摺動抵抗が小さいことが主で,本報では,環境試験前後の接触抵抗と半田付け性,及び,摩擦係数を,AuCoめっき,Agめっき,Niめっき,Snめっきと比較した。
1)Niめっきの表面に厚さ0.05μm以上のPdめっきを施した材料は,今回のAuCoめっきやAgめっき等との比較特性評価で満足しうる結果が得られ,電気接点部品に有効であることが分かった。
2)Pdめっきは,AuCoめっきに比べて半田付け性が,Agめっきに比べて耐硫化性と摺動特性が,Snめっきに比べて耐大気酸化性と摺動特性が,Niめっきに比べて接触抵抗,耐食性,半田付け性,摺動特性が優れており,バランスがとれた電気接点であることがわかる。
3)Pdめっきの表面にフラッシュAuめっきを施すことにより,半田付け性が向上する。
4)摺動を伴う電気接点用途では,固定片側と可動片側のめっき皮膜の組合せで動摩擦係数が異なり,AgとAgの同種の組合せが最も大きくなり,次いでAuとAgの組合せが大きい。Pdは,いずれの組合せでも比較的小さな動摩擦係数が得られており好適である。
5)Pd めっきの特性は,Pdめっき厚により大きく変化するため,用途によってめっき厚の選定をする必要がある。


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