FITELnet F70 と FITELnet F71 は、FITELnet F220 と FITELnet F221 の機能をベースに、低価格から利用を開始できるエントリーモデルです。可用性やセキュリティを担保した専用ルータ製品の高品質な機能・性能を持ちながら、ルータの装置内に自由にアプリケーションをアドオンできるWhite Box製品(※1)のような柔軟性を兼ね備えました。また、IPsec性能は最大1.5Gbps(平文性能は1.9Gbps)と、従来のエントリーモデル FITELnet F60 の約5倍の中継性能を実現し、通信速度不足の解消にこれまで以上に貢献できるようにいたしました。
(※1)White Box製品:ソフトウェアを含まないネットワーク製品です。専用ネットワーク製品は、ソフトウェアとハードウェアが統合された形で販売されており、ユーザが機能を新たに追加することは困難ですが、White Box製品はユーザ自身で必要に応じてソフトウェアを選択・開発して機能を追加することが可能です。
IPsec において、最大64 拠点収容、スループット最大1.5Gbps(平文性能は1.9Gbps)を実現し、従来のエントリーモデル FITELnet F60 と比較して中継性能が約5倍に向上しました。また、平文中継における1Gbpsあたりの消費電力について、従来のエントリーモデル FITELnet F60 と比較して大幅な削減(約70%減)を実現しています。
企業ネットワークで培った高い可用性とセキュリティ性をもつ専用ルータの機能・性能に、White Box製品の柔軟性を加えた非常に汎用性の高い製品です。ルータ装置内に自由にアプリケーションをアドオンできるアーキテクチャを持ち、OSSや自作のアプリケーションを利用することが可能になりました。
アプリケーションアドオンのご使用を希望される場合は、担当営業またはサポートデスクまでお問い合わせください。
以下は、アプリケーションアドオン機能の適用イメージです。
当社では下記アプリケーションの動作確認をAlpine Linux 3.13のクラウドイメージ上で実施しております。
アプリケーション | バージョン |
openssh-server(SSHサーバ) | 8.4_p1-r2 |
tcpdump(パケットキャプチャ) | 4.99.0-r0 |
net-snmp(SNMPエージェント) | 5.9-r1 |
ntopng | 4.0-r0 |
packetbeat | 7.9.0-r0 |
filebeat | 7.9.0-r0 |
softflowd(NetFlow) | 1.0.0-r0 |
squid(Proxyサーバ) | 5.0.4-r0 |
※sFlowはルータ機能にてご利用ください(F70/F71 V01.03(00)よりサポートしております)。
LXCアプリケーションを利用したプロキシ接続機能に対応しております。PACファイルをLXC上で編集してLAN側端末へ配信することにより、LAN側の端末にてPACファイルにしたがったWeb接続が行われます。本機能により、こちらに示すようなクラウド型セキュリティサービスと連携したご利用などが可能です。
FITELnetシリーズのエントリーモデルとして初めて、ARMマルチコアにコントロールプレーン(C Plane)とデータプレーン(D Plane)を独立させて配置するC/D分離のアーキテクチャを採用しました。コントロールプレーンとデータプレーンをそれぞれ別のCPUコアに割り当てることで、処理の干渉を防ぎ、処理速度の遅延などを解消します。また、別のコアにコンテナ型仮想化技術「LXC(Linux Containers)」を搭載し、その上に任意のネットワークアプリをアドオンすることが可能です。利用目的に応じてコア配分を変更する機能もサポートします。
OSアップデートなどSaaSへのアクセスによる特定のトラフィックの帯域占有を、企業内のネットワークとデータセンタを介さず、直接インターネットに流すローカルブレイクアウト機能を備えています。これにより、近年問題となっている、SaaSをはじめとするクラウドサービスへのアクセス増大による企業ネットワークのセンター回線の輻輳を解決できます。ネットワークアプリを活用して、クラウドセキュリティサービスと簡単・安全に連携する機能も提供します。詳細は機能説明資料および設定例をご参照ください。
(*)ファーストパケット問題:ローカルブレイクアウトの最初のパケットがブレイクアウトせずにデータセンターを経由する問題。次のパケットと送信元が一致しないためTCPセッション断等が発生します。
FITELnet F71はマルチキャリアLTE通信モジュールを搭載しており、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのモバイル回線を自由に選択することができます(各社MVNO回線含む)。SIMをご用意いただくことで固定回線のバックアップとしてモバイル回線を利用したり、固定回線がなくても即時にモバイル回線で利用を開始することが可能です。ご利用中のISDN回線からのマイグレーションにも適しています。また、SIMスロットを2つ搭載しているため、異なる通信キャリア回線を利用した冗長構成をとることが可能です。対応LTEバンドや動作確認SIMの情報は、説明資料をご参照ください。
USBデータ通信端末については、F70/F71では下記表の機種に対応しております。
メーカ | 通信端末 | FITELnet F70/F71 対応ファームウェア | 備考 | |
---|---|---|---|---|
Modem | USB-Ethernet | |||
富士ソフト | FS040U | V01.01(01)以降 | V01.02(00)以降 | |
ZTE Corporation | A002ZT | V01.05(00)以降 | - | |
NCXX | UX302NC-R | V01.05(00)以降 | - |
NTT東日本およびNTT西日本の帯域確保型データ通信サービス「データコネクト(R)」をサポートしており、ISDNからのマイグレーションに適用可能です。
また、VNE事業者各社が提供するIPoEサービスを利用して、IPv6網を介してIPv4インターネット網へ接続することも可能です。対応しているVNE事業者/サービスについては下記をご参照ください。一覧以外のVNE事業者にも順次対応を予定しております。
VNE事業者 | IPoEサービス名 | 対応機種 (クリックすると設定例にリンクします) | |||||
F70/ F71 |
F220/ F221 |
F220 EX/ F221 EX |
F60 | F200 | F2200 | ||
朝日ネット![]() |
v6 コネクト IPv4 over IPv6 接続(IPIP) |
○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ |
アルテリア・ ネットワークス ![]() |
「クロスパス」可変IP | ○ | ○ | ○ | - | - | - |
「クロスパス」固定IP1 | ○ | ○ | ○ | - | - | - | |
「クロスパス」 固定IP8/IP16 |
○ | ○ | ○ | - | - | - | |
インターネット マルチフィード |
transix IPv4接続 (DS-Lite) |
○ | ○ | ○ | - | ○ | - |
transix IPv4接続 (固定IP) |
○ | ○ | ○ | - | - | - | |
NTT コミュニケーションズ |
「OCNバーチャルコネクト サービス(IPoE)」 動的IP |
○ | ○ | - | - | - | - |
「OCNバーチャルコネクト サービス(IPoE)」 固定IP1 |
○ | ○ | - | - | - | - | |
「OCNバーチャルコネクト サービス(IPoE)」 固定IP複数 |
○ | ○ | - | - | - | - | |
日本ネットワーク イネイブラー (JPNE) ![]() |
「v6プラス」 固定IPサービス |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
「v6プラス」 IPv6/IPv4インターネット サービス |
○ | ○ | ○ | - | - | - | |
BIGLOBE | IPv6オプション | ○ | ○ | ○ | - | - | - |
近年の働き方改革の推進や新型コロナウィルスの感染拡大防止措置として、普及が活発となっている在宅勤務やモバイルワークといった働き方を支える、L2TPv2/IPsecなどのセキュアなVPN機能もサポートしています。説明資料をご参照ください。
複数のテナントユーザを、独立したVRFやVLAN毎に収容することでマルチテナント収容が可能です。ユーザトラフィックを収容するトンネルとして、IPsecトンネル、EtherIPやL2TPv3などのL2トンネルが選択でき、多彩なネットワーク構築が可能です。
1台で複数のテナントを収容できるため、テナント毎にセンター機を用意する必要がなく、運用コストや電力、ラックスペースを軽減することが出来ます。
VRF対応している機能については、VRF対応機能一覧をご参照ください。
従来の横置きに加えて、縦置きや壁掛けにも対応しており、シーンに合わせた設置方法の選択が可能です。
FITELnet F70/F71は、「GIGAスクール構想」のシステムを安定運用するための拠点ルータとして、有用な機能を多数備えています。説明資料をご参照ください。