福島徹

概要

古河電工は,明治の黎明期に純銅の精錬を経て銅線ケーブルを製品化した。電力ケーブル網の整備,モータや発電機の普及,電話・電信網の拡大を助け,我が国の近代化に深く関わってきた。
こうした当社の祖業の成り立ちは,街を安全な電灯で明るく照らしつつ,時空を超えて人々の交流を促し,産業発展の原動力を生み,企業が果たすべき社会貢献のひとつの源流となった。以後,祖業から派生したさまざまな素材技術を世に問い,例えば光ファイバや半導体レーザなども素材技術に加えて,新しい情報社会の端緒を拓いた。
一方,気候温暖化とそれに伴う自然災害の大規模化が,この地球の新たな脅威になりつつある。有効かつ永続的な手段を模索する中,核融合発電の早期実現を目指す試みが増えている。これを支える素材が,当社が長年培ってきた超電導線材である。新たな社会貢献へ向け素材技術を究めてゆきたい。
本寄稿では,銅素材の探求に始まり,超電導物質をはじめとする新素材の商用化を目指す当社の来し方行く末について述べる。

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