高出力・低消費電力に優れたラマン増幅器用ポンプ光源レーザFOL1437シリーズの量産開始

2013年3月13日

当社は、今後本格的な導入が見込まれる毎秒100ギガビット(以下、100Gbps)の超高速光通信において、需要拡大が見込まれるラマン増幅器のキーデバイスである高出力、低消費電力の1480nm帯励起光源レーザ FOL1437シリーズを開発し、量産を開始しました。

3月19日より米国・カリフォルニア州・アナハイムにて開催される世界最大の通信関連の国際会議・展示会「OFC/NFOEC2013」にて、本製品の展示を行います。

製品化の背景

近年、スマートフォンの普及によるワイヤレスバックボーンの拡大や、クラウドコンピューティング、動画配信、ソーシャルネットワークの普及などにより、通信トラフィックが急激に増加しています。

このようなトラフィックの増加に対応するために、今後導入が進む100Gbps等の超高速光伝送では、光信号対雑音比(OSNR)(注1)の改善のため、雑音特性に優れるラマン増幅器(注2)の需要拡大が見込まれます。ラマン増幅器においては、励起光源として、1480nm帯のレーザを用いますが、更なる高性能化のため、高出力化及び低消費電力化が求められています。

このような用途に向け、この度、高出力及び低消費電力特性に優れた新製品FOL1437シリーズを開発し、量産を開始しました。

製品の内容

本製品においては、高出力及び低消費電力が重要な特性となります。消費電力は、従来品に比べ20%の低減を図りました。今後、更なる高出力・低消費電力特性に対する要求が見込まれることから、本製品における技術を元に、更なる高性能化を目指していきます。

ラマン増幅器用ポンプ光源レーザ

主な使用

項目 本製品仕様 従来品仕様
光出力 〜 500mW 〜 500mW
LD電流 Max. 1700mA (BOL)(注4) Max. 1800mA (BOL)
LD電圧 Max. 2.3V (BOL) Max. 2.4V (BOL)
TEC電流 Max. 3A (EOL, Tc=70C)(注5) Max. 3A (EOL, Tc=70C)(注5)
TEC電圧 Max. 3.5V (EOL, Tc=70C) Max. 3.8V (EOL, Tc=70C)
総消費電力 Max. 13.5W (EOL, Tc=70C) Max. 16W (EOL, Tc=70C)
波長 1420 〜 1465nm 1420 〜 1465nm
波長精度 ±1.5nm ±1.5nm

今後の展開

本製品で開発した技術を横展開し、EDFA(注3)用ポンプ光源レーザへも適用をしていきます。2013年度上期に量産開始の予定です。

用語解説

(注1)光信号対雑音比(OSNR):信号光パワーと雑音光パワーの比として定義されます。伝送信号の品質を保つために、極めて重要な因子となります。

(注2)ラマン増幅器:ファイバに励起光を入射すると、励起光波長より100ナノメートル程長い波長域にラマン散乱が生じます。この散乱光領域に信号光が存在すると誘導放出が起こり光が増幅され、増幅器として利用できます。EDFAと比較し励起効率は低いですが、帯域は広く、また任意の波長域で増幅ができます。

(注3)EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifierの略です。光ファイバのコアにエルビウムを添加した光増幅器で、現在波長分割多重(WDM)システムに多く用いられています。980ナノメートルや1480ナノメートルの励起光で1550ナノメートル付近の波長を増幅することができます。

(注4)BOL:Beginning of Lifeの略で、寿命開始時点のことです。

(注5)EOL:End of Lifeの略で、寿命のことです。

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