いすゞ ELF EVに高電圧ジャンクションボックスが採用
~ 自動車の電動化を支える部品開発でCO2削減に貢献 ~

2023年8月23日

古河電気工業株式会社
古河AS株式会社

  • いすゞ ELF EVに高電圧ハーネス、変換ボックス、高電圧ジャンクションボックスが採用
  • 車両に搭載されるバッテリーパック数のバリエーションに対応するため、複数のラインナップを展開
  • 環境に優しい自動車部品開発を通じ、EVの普及促進と2050年のカーボンニュートラル実現に貢献

古河電工グループの古河AS株式会社(本社:滋賀県犬上郡、代表取締役社⾧:阿部茂信)は、車載配電部品事業で培った技術で小型化を実現した変換ボックス、高電圧ジャンクションボックスの納入をいすゞ自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 取締役社長COO:南真介、以下「いすゞ」)のBEV(注1)トラックである「ELF EV」用に開始しました。

背景

CO2などの温室効果ガスの排出増加による地球温暖化は様々な異常気象を引き起こし、世界中で大きな環境問題となっています。日本政府は、これらの問題解決のために2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。自動車産業に対しては、商用車は、小型の車については、新車販売で、2030年までに電動車20~30%、2040年までに電動車・脱炭素燃料車100%を目指す、大型の車については、2020年代に5,000台の先行導入を目指すとともに、2030年までに2040年の電動車の普及目標を設定するとしており、今後、EVの普及が加速していくことが予想されます。その中で、本年7月にいすゞとして初の量産BEVトラックである「ELF EV」が市場投入され、商用BEVの社会実装およびカーボンニュートラル実現への貢献が期待されます。

内容

17年ぶりのフルモデルチェンジとなるいすゞ ELFにEVが新たに設定され、このEV向けに、従来の低電圧ハーネス、高電圧ハーネスに加えて変換ボックス(注2)を開発、本年7月から量産納入を開始しました。また、本年3月に北米にて発表されたいすゞ「N-Series EV」に搭載される高電圧ジャンクションボックスを開発し、2024年前半から量産を開始する計画です。今回開発した高電圧ジャンクションボックスは、走行時にはバッテリーパック(注3)からの電力をインバータ(注4)、ヒータ、エアコンコンプレッサ等の各補器へ適切に分配し、充電時には充電電源からの電力をバッテリーパック等へ適切に分配する機能を有しています。また、車載補器の過電流保護のための高電圧ヒューズ、バッテリーの状態検知をおこなう電流センサやバッテリーコントロールユニット(注5)を内包し、高電圧からの感電保護のため、インターロック回路(注6)を設定しています。なお、バッテリーパックの車載数(3、5、7、9パックまで走行距離に応じて設定)に応じて4種類の高電圧ジャンクションボックスのラインナップを展開し、顧客の様々なニーズに柔軟に対応しています。

高電圧ジャンクションボックスの特長

1:大電流化に伴う発熱を考慮した省スペース設計を確立しました。

大電流の通電に伴う構成部品の発熱に対し、熱シミュレーションを用いて熱の発生状況を可視化し、内部構成部品を最適に配置することで、熱的な要件を満足させました。また、内部回路にはバスバー(注7)以外に電線で接続するハーネス構造を採用し、当社ハーネス開発で培った技術により最適な通電形態を選択しています。これにより、発熱量が同等以下の当社従来品と比較して、内部構成部品の積載率を20%向上(小型化を実現)させました。

2:バッテリーパック数の違いに対応可能な複数ラインナップを展開しました。

ユーザが求める航続距離に応じた多様なバッテリーパック設定に対応するため、4種類の高電圧ジャンクションボックスのラインナップを設定しました。構成部品の共通化や金属筐体の加工違い対応により、金型の共用などを行うことでコストダウンを図るとともに、顧客要求に柔軟に対応しました。

3:製造方法を従来から見直し、カーボンニュートラル実現へ貢献しています。

本製品の金属筐体製造に採用したアルミダイカスト工法は、通常のアルミインゴットからの溶解ではなく、材料メーカから直接溶けたアルミを搬入・鋳造しています。インゴットから溶解する従来の工法と比較して、CO2排出量を約40%抑制する効果があります。

古河電工グループは今後も、製品開発を通してEVの普及促進と2050年のカーボンニュートラルの実現に貢献して参ります。

搭載位置(車両写真は、いすゞ自動車株式会社ご提供)

(注 1)BEV: Battery Electric Vehicle.バッテリー式電気自動車。

(注 2)変換ボックス:駆動用モータに電力を伝送するための電線間を接続する機能を有する電気接続箱。

(注 3)バッテリーパック:EVの電源であるリチウムイオンバッテリーを複数纏めて、一つのパッケージに収納した物。

(注 4)インバータ:バッテリーから供給される直流電力を、モータを駆動する交流電力に変換し、交流の周波数や電圧を調整してモータの回転数やトルクを制御する装置。

(注 5)バッテリーコントロールユニット:EVの電源であるリチウムイオンバッテリーの充放電状況を管理するユニット。

(注 6)インターロック回路:通電される電圧が数百Vと高電圧なため、整備作業者の安全を鑑み、コネクターの脱着が行われた際には、その情報が信号としてコントロールユニットに伝わり、電源を切断する仕組みが搭載されている。この信号を伝達する回路。

(注 7)バスバー:大電流を伝送するための導体部品。材料としては主に銅が使われており、プレス加工で条材を打ち抜いたり、曲げたりすることで所望の形状にして使用する。

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。

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