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ニュースリリース

蛍光シリカナノ粒子を用い、高感度イムノクロマト検査キットを世界で初めて開発
〜眼感染症(アカントアメーバ角膜炎)に対する簡易迅速検査法を実現〜

2013年7月9日

当社は、蛍光シリカナノ粒子(Quartz Dot®)(注1)の開発を行ってきましたが、これを体外検査薬である蛍光イムノクロマト技術に応用し、眼感染症の原因微生物の一つであるアカントアメーバ(注2)を高感度で検出できる世界初の簡易迅速検査法を開発しました。

このたび、国立大学法人 愛媛大学医学部眼科学教室 大橋裕一教授(以下、愛媛大)との共同臨床研究において、本検査法が迅速(判定30分以内)で、且つ従来の培養検査と同等以上の性能を示すことを確認しました。その成果を7月12日から開催される第50回日本眼感染症学会(フォーサム2013大阪)で愛媛大と共同発表します。

当社は、素材メーカとして「素材力」を活かした新規材料開発の1つとしてナノ粒子開発を展開しています。その中でもシリカナノ粒子は生体親和性、安定性に優れた特性を示すことから、当社ではその内部に蛍光色素を含有させた独自のQuartz Dot®を開発しました。さらに携帯型簡易蛍光観察器(蛍光スコープ)と定量型蛍光測定器も合わせて開発し検査の簡素化、定量化も実現しました。よって、従来のイムノクロマト法よりも100倍も高感度な蛍光イムノクロマト検査キットの開発と、その臨床試験で有効性を確認できました。

現在、複数の診断薬メーカ様と体外検査薬を検討中であり、今後は、この実績を活かして開発を加速させ、Quartz Dot®の早期上市および商品展開をめざします。

開発の背景

Quartz Dot®は、当社固有の粒子合成技術や光技術を複合進化させ、ナノサイズのシリカ粒子の内部に蛍光色素を安定的に固定し、その表面にタンパク質などとの結合性を有する官能基を配置した構造で、ライフサイエンスに幅広く応用できることが特長です。Quartz Dot®の最初の応用として、需要が拡大するPoint Of Care Testing (POCT)(注3)分野に着目し、高感度なイムノクロマト技術の開発に着手しました。

一方、眼感染症分野では、コンタクトレンズの普及に伴い増加した難治性角膜感染症の1つであるアカントアメーバ(Ac)角膜炎の早期診断が重要な課題となっています。現在、角膜擦過物の顕微鏡検査、培養法や遺伝子増幅法(PCR)検査などが用いられているものの、高度のスキルや特殊な機器を必要としない簡易迅速検査法の開発が臨床現場より望まれていました。さらに、従来の金コロイド粒子などによるイムノクロマト技術では感度不足であったことから、当社は高感度を特長とする蛍光イムノクロマト技術による開発を行い、愛媛大との共同研究で臨床研究を行いました。

開発品の内容

本開発品は、Quartz Dot®とテストストリップ、抽出液から構成される一般的なイムノクロマト検査キットと同様のデバイス形態です。検査方法は、抽出液で処理した検体とQuartz Dot®とを混合させて、その混合液をテストストリップの端部に滴下し、テストストリップの蛍光発光を蛍光スコープで観察することで検出の有無を判断します。

テストストリップ概要図

テストストリップ概要図

検査キット構成

Quartz Dot®
Quartz Dot®
テストストリップ
テストストリップ
蛍光スコープ
蛍光スコープ

備考

(注1)Quartz Dot®:
Quartz Dot®は有機色素分子を高濃度に含有した蛍光シリカナノ粒子であり、1) 従来の蛍光試薬に比べて高輝度であること、2) 無害であること、3) 高い親水特性を有し生体分子と適合性が高いことが特長です。

(注2)アカントアメーバ:
アカントアメーバは土壌や水中などにいる原生生物で、コンタクトレンズの保存液や容器を汚染することがあります。通常、健常な人体に感染することはありませんが、角膜に傷があった場合などに汚染されたコンタクトレンズを装用することで感染し、アカントアメーバ角膜炎を発症します。アカントアメーバ角膜炎は非常にゆっくりと進行しますが、他の感染に比べて眼の痛みが非常に強いのが特徴で、白目の充血も非常に強くなります。視力の低下も初期は軽度ですが、徐々に見にくくなり、進行すると重度の視力障害となります。診断のための検査は、角膜の悪くなっている部分をこすり取って、アカントアメーバを検出しますが、大きな総合病院でも検査が困難なことが多い点が問題になっています。治療には、アメーバに対する特効薬がないため、抗真菌薬を使用することが多く、それに加えて感染した角膜表面を何度も削る治療を併用する必要があります。根治には何カ月もかかることがまれではありません。

(注3)POCT:
POCTは、被検者の傍らで医療従事者が行う検査のことで、検査結果を即座に医師が判断し、迅速な処置を施し、治療の過程や予後のモニタリングまで行うという診療の質の向上に大きく役立つとして注目されている検査方法です。

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