光インターコネクション用レーザで500mの長距離伝送の実証実験に成功
〜高速光通信の長距離伝送が可能に〜

2014年3月6日

当社は、データセンター等で用いられる光インターコネクション用途(注1)に、25Gbps(毎秒25ギガビット; ギガは10億)で動作する面発光レーザ(以下、VCSEL)を開発(注2)し、マルチモードファイバで最大500mの長距離伝送の実証実験に成功しました。

この実験は、米国の大手光ファイバメーカであるCorning社および当社子会社のOFS社にて開発されたマルチモードファイバ、分散補償ファイバを用いて行われました。長距離伝送可能な光インターコネクション技術は、近年のデータセンターの大型化に伴って需要が高まることが予想されており、今後の導入につながる技術として期待されます。

背景

クラウドコンピューティングの普及やビッグデータ活用の進展により、データセンターで扱われるデータ量は飛躍的に増え続けています。このため、データセンター内のサーバやルータなどの機器間での伝送容量の向上が求められ、ひとつのアプローチとして高速化が求められています。また、データセンターの大型化に伴い、機器間の伝送距離を長くする必要も出てきています。

将来のメガデータセンターでは300m以上の伝送距離が必要とされていますが、伝送速度を10Gbpsから高速な25Gbps に変更した場合、マルチモードファイバの分散による影響により、VCSELの伝送距離は100m程度に留まっていました。

内容

当社はこの度、これらの課題を解決するために、新たに開発したVCSELと、駆動ICを実用状態に近い小型パッケージに集積した光モジュールを製作し、Corning社、OFS社が開発したマルチモードファイバとCorning社が開発した分散補償ファイバを用いて、500mの長距離伝送を達成しました。

これらの結果は、クロック・データ再生や誤り訂正といった電気的な補償技術を一切用いずに得られたものであり、このように将来のシステムを複雑化することなく、高速化・長距離化できる技術として期待されています。

本内容は3月9-13日に米国サンフランシスコで開催されるOFC(Optical Fiber Communication Conference and Exposition)で発表します。

なお、この研究開発の一部はNEDOの「省エネルギー革新技術開発事業/先導研究/グリーン光リンク技術のための低消費電力面発光レーザアレイの研究開発」として実施されています。

(注1)従来は、サーバのラック間やサーバ内のボード間接続は電気接続で行なわれていましたが、コンピュータの高性能化と共に伝送速度が増大し、電気での接続では伝送距離の限界が見え始めています。これに対して、前記接続を光で行なう光インターコネクションが,伝送速度増大や伝送距離拡大、低消費電力要求の観点から注目されています。

(注2)本開発においては、発光層にInGaAs歪量子井戸という高効率な材料を用いたこと、および当社が長距離光通信分野で培った技術を応用して詳細な検討を重ね、高速動作を実現しました。