データトラフィックの増大に伴う新規ファイバの必要性

5Gサービスの普及に伴うモバイルデータ通信の増加などを背景に、世界中のデータ流通量は増加の一途をたどっており、国際通信の回線需要は年率30~40%伸長すると予想されています。増大する需要に対応するためには、光海底ケーブル内のファイバ心数を増やす必要があります。この課題の解決案として、古河電工は光の通り道であるコアが1つである従来の光ファイバに対し、コアを複数有したマルチコアファイバ(MCF)に着目しました。MCFの開発を通して、次世代の安定した大容量通信の礎となる通信インフラに貢献していきます。

技術開発の取り組み

古河電工では世界最小級に伝送損失を低減した低クロストークMCFの開発に成功しました。今回開発したMCFは4つのコアを搭載しており、通常の光ファイバより4倍多い容量を伝送可能としているほか、通常の光ファイバと外径が同じであるため、ケーブルの構造を変えずに実装が可能となります。また、低損失なMCFはファイバ内のコア間の信号干渉であるクロストーク*がこれまでの課題となっていました。我々はファイバ構造と製法の最適化により、通常の海底伝送用光ファイバと同程度である0.155dB/km(光強度が1 kmあたり3.5%の減少)の損失を実現しつつ、-60dB/100km以下の低クロストーク性も確保したMCFを開発しました。

通常の光ファイバと同一の外径

(注) クロストーク
マルチコアファイバにおいて、光信号を入力したコア以外のコアから出力される不要な雑音成分。 雑音の発生により通信の品質が劣化するため、クロストークの低減が好ましい。 紹介したMCFでは-60 dB/100 kmのクロストーク特性を示しており、これは光がファイバ内を100 km伝搬するにあたり、クロストークが出力光の100万分の1である。

(注) 当研究は総務省委託研究 研究開発課題「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」、技術課題Ⅱ「マルチコア大容量光伝送システム技術」の取り組みの一部として、行っております。

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