DXビジョン



すぎい たかあき 杉井 貴明
戦略本部副本部長・全社DX推進担当(CDO)
2019年入社

物理化学から医学部の修士へ進みHIVの研究をした後に、アクセンチュアに入社。日系上場企業を中心にITを活用した企業変革の構想から実現まで推進する活動に20年従事。
その後事業会社で経営企画/SCM革新をリード。2019年に古河電工へ入社。CTrO補佐として全社変革活動を推進。本部改革・25中計策定に従事したのち、22年度から現職。

古河電工グループのDXビジョン

2030年における社会変化を見据えて、当社の企業価値を高めるために、
デジタル技術を駆使して事業と働き方を改革する

全社DX推進の課題と柱となる営み

このDXビジョンを念頭に、足元の主要課題を踏まえて全社のDX推進は4つの柱で取り組んでいます。

  • 課題認識

    1. A.
      工場系システム群の老朽化、
      およびIT-ROIの低迷
    2. B.
      データ化の遅れ、デジタル活用度の低さ
    3. C.
      グループガバナンスの弱さ
      セキュリティのばらつき
      事業・拠点ごとにバラバラな個別システム
    4. D.
      デジタル化を支える組織が脆弱
      (スキル、陣容)
  • DX推進の柱

    1. a.
      事業の高度化を支える工場系システムの刷新
      (業革と標準化推進/モダナイズ)
    2. b.
      データ蓄積(共通基盤化)と データ/デジタル活用の当たり前化
    3. c.
      ITガバナンス強化
      セキュリティ統制
      底上げ・標準化推進
    4. d.
      DX推進組織(DXIC&FITEC)の組織強化
      (エンゲージメント向上・育成スキーム確立)
  • 老朽化システムの刷新(脱ホスト)を契機とした事業の高度化・標準化推進
  • さらなるデータ化を進め、データ活用デジタル活用を当たり前化する
  • セキュリティレベルの底上げやITガバナンス強化
  • DX推進組織の体制強化

DX推進組織については、23年度から当社グループのDX推進の中核としての機能を強化するために、従来の「デジタルイノベーションセンター」と「ICT戦略企画部」を統合し、「デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター」(略称DXIC)を設立し、関係会社のFitecを含めてAI/IoTソリューション、ものづくりDXの企画・起案、ITインフラ基盤・基幹システム・業務システムの企画・実装・運用を一体化して進められる体制へと整えました。ワンストップでデジタル化を支えるイネーブラーとしてDXICの人材強化(スキル育成&エンゲージメント向上)をさらに進めていきます。

ものづくりDXのありたい姿

当社は、生産性と働きがいの向上をねらいとする「ワークスタイル変革」を進めています。
DXの推進も、事業を強くすること、生産性を高めてスマートな働き方を実現することを強く意識しています。

2030年には、データを活用した業務が当たり前(スタッフ全員)に全社に浸透している組織に変革したいと考えています。
それに向けて、大きく3つの視点から取り組んでいます。

DX推進への想い

我々DXICは、デジタルを活用して業務が変わる、現場が強くなる変革を多く生み出し、エバンジェリスト集団として、グループ内にDXの波を起こすことを目指して活動しています。

昨今の生成AIのインパクトと浸透スピードを目の当たりにして、デジタル・AI活用の可能性が大きく拡大したことに期待を感じつつ、一方で活用のターゲットレベルや進化の期待スピードが跳ね上がったことに危機感を覚え、デジタル・AI活用はもはや仕事人の基礎スキルという認識のもと、スタッフ全員の早期適応を促しています。

当社は、デジタル技術の進化を楽しんで活用レベルを高め、夢に挑み続けます。

企業価値を高めるために

社会変化を見据えて、ものづくりとコトづくりの進化と深化を加速します。

  • 工場のデジタル改善を中心として品質・生産性・保守性などを向上させます。
  • AIを用いて新しい材料の開発を加速していきます。
  • サービス・メンテへの進出を狙い、ことづくりの新規DX事業を進めます。
  • 「スマイルカーブ」現象を超えて、バリューチェーンを面で抑えます。

デジタル技術を駆使して

デジタル技術をパッケージングしてより使いやすく!

AI/IoTソリューション強化については、以下の取組みを実施しています。重要なソリューションはデータの収集・蓄積・加工・活用をパッケージ化して「デジタルソリューションの型」として整備し、事業部門へのクイックなデリバリーを実現していきます。

事業課題解決に資するデジタルの基盤技術を磨き、
ソリューションをタイムリーに提供する

高まる事業課題解決ニーズに応えるために

  • 既存のソリューション

    • 外観検査画像判定ソリューション
    • データによる特性予測・処方提案ソリューション
  • 注力するソリューション

    • 画像解析による品質改善ソリューション
    • マテリアルズインフォマティクスによる材料開発効率化ソリューション
    • 製品開発におけるデータ分析基盤ソリューション
    • 設備・工程の異常検知ソリューション
    • 製造プロセスの最適化ソリューション

事業と働き方を変革

事業変革に関しては、環境変化に適応力がある事業マネジメント力(経営力)の向上を狙い、各階層のデジタル化を進め、全体では経営判断の高速化を実現します。このようなデータ活用を推進していく上では、そのベースになるデータ・環境を整えることが必須です。SAPの導入後、生産計画・管理システムの更新やSCADAによるデータ取得拡大に伴ってデータの質・量ともに充実しつつありますが、拠点や組織を跨った共有と日々の活用はまだ十分とはいえません。それぞれの領域で収集したデータの蓄積、分析を全社で一元的に管理する「データ統合基盤」を整備しており、ここへのデータ集約と活用について浸透を図っています。またAIの発展・業務利用の加速の潮流に遅れることのないよう、専門部隊の能力を強化するとともに全社のデジタルユーザリテラシーを上げる取組みを強化し、AI/データ活用を体現する人材育成も加速します(全社スタッフの底上げ)。

実績とフォアキャストを把握して経営判断するサイクルを高速化する

計画層 SAP導入により実績系の受け皿は整備
実績の取込と計画系のIT化が推進
オペレーション管理層 工場ITの更新期限を踏まえ、生産計画・実績/原価管理を刷新
データ基盤を統合的に整備してデータ活用推進
標準的なパッケージソリューションによる投資削減
エッジ層 IoT化やAIなどのソリューションの積極活用生産性向上やフィードバックの高速化を推進