基本的な考え方

当社グループでは、コンプライアンスを「単なる法令遵守にとどまらず、社会の構成員としての企業および企業人に求められる価値観や倫理観に即した行動をとること」と認識し、グループCSR行動規範に基づく社内教育や法令違反のモニタリングなどのコンプライアンス活動を推進しています。また、「気づく」・「話す」・「正す」の「コンプライアンス活動3つの約束」を定め、一人ひとりの日常からの実践を促しています。

1.気づく

  • 理念、CSR行動規範に沿っているか?
  • 悪しき慣行はないか?
  • 社会の要請・期待に反していないか?

2.話す

  • 放置しない
  • 相談する
  • 迷ったら情報を上げる

3.正す

  • 気づいたらすぐ直す
  • 常に改善する

コンプライアンス活動 3つの約束

従業員への教育・啓発

従業員一人ひとりにコンプライアンス意識を浸透させるべく、さまざまな教育や啓発活動を行っています。

主要な共通教材として、「古河電工グループCSR行動規範」の手引書である「古河電工グループCSR・コンプライアンス・ハンドブック」を、当社グループ全従業員に配付し、さまざまな機会で活用しています。新入社員から役員までのあらゆる階層別教育にコンプライアンス教育を組み込むと同時に、テーマ別の集合研修やeラーニングを実施し、グループ全体でコンプライアンス教育に取り組んでいます。

コンプライアンス月間の取り組み

当社グループでは、10月~11月をコンプライアンス月間と定めており、グループ各社でそれぞれのコンプライアンス課題に対応した取り組みを実施しています。

コンプライアンス意識調査

当社グループでは、コンプライアンス意識調査を継続的に隔年で実施しています。役員・従業員個人がコンプライアンスや組織風土をどう感じているか調査することで組織の現状を把握し、グループ内のコンプライアンス推進の施策に活用することを目的としたものです。調査結果は参加したグループ会社にフィードバックされ、各社でのコンプライアンス施策の立案に活用しています。2021年度は「ビジネスと人権」の観点で設問を見直し、意識調査を実施しました。

内部通報制度

当社グループでは内部通報制度を導入し、不正行為の早期発見や是正を図っています。当社では、社内通報窓口と外部第三者機関を利用した社外通報窓口(古河電工グループ・ホットライン)を設置しており、どちらの窓口も匿名での通報が可能です。通報内容は、内部通報事務局が厳重に管理し、通報者が不利益を被ることがないよう十分に配慮しなから、迅速に調査し適切に対応しています。また通報の内容によっては外部の専門家に意見を求め、公平性が担保できる体制を構築しています。海外グループ会社向けの社外通報窓口も設置しており、2022年度末の時点で17か国、45社に導入しました。2022 年度の当社グループの内部通報件数は103 件で、そのうち約半数は人事労務関連です。ただし、内部通報の指摘どおりの事実と判明したものは限定的であり、指摘の一部が事実と判明したものも含め、いずれも再発防止策を実施し是正済です。また当社グループでは、ある程度の通報件数があることは、通報制度が機能していることを示すものであると捉えています。

安全保障貿易管理

当社グループは、安全保障貿易管理をグローバルに事業を展開する企業が果たすべき重要な責務と認識し、安全保障に関する国際的な枠組み(輸出管理レジーム)を反映した法令などを踏まえ、兵器や軍事に転用可能な貨物・技術の管理体制整備と強化を図ってきました。製品の輸出や技術提供に際しては「安全保障輸出管理規程」に基づく取引審査などを通して、関連諸法令の遵守と共に懸念国などへの迂回輸出の防止にも細心の注意を払っています。

贈収賄防止

2012年4月に「古河電工グループ贈収賄禁止基本方針」を制定しました。また、同年12月に「贈収賄防止ガイド」の発行も行いました(2018年5月第2版に改訂)。グループ全体での贈収賄リスク管理体制の構築に向けた活動を推進しています。

古河電工グループ贈収賄禁止基本方針の遵守事項

  1. 何人に対しても、直接・間接を問わず、賄賂の供与、申出、約束をせず、また賄賂の受領もしないこと。
  2. 公務員に対する支払については適切な承認手続に即して行い、かつ適切な事後確認(レビュー手続)を実施すること。
  3. 研修等を通じ、贈収賄規制および古河電工グループのポリシーを十分に理解し遵守し、また遵守することを宣言すること。
  4. 適法かつ疑義のない代理人および取引相手のみと事業を遂行し、これらの者と事業を遂行する前には適切なデューデリジェンス手続を経ること。
  5. 定期的にグループ会社に関する贈収賄リスクを評価すること。
  6. 贈収賄規制および古河電工グループポリシーへの準拠を示せるように、記録保持および財務統制を維持すること。
  7. 定期的に贈収賄防止のためのポリシーおよび統制を見直し、必要に応じて改正・改善を実施すること。
  8. 古河電工グループの役員、従業員、代理人および取引相手による贈収賄規制や古河電工グループポリシー違反の疑いがある場合は、適時な処置を可能とするように、速やかに報告すること。

税務コンプライアンス

当社グループでは「古河電グループ税務コンプライアンス・ポリシー」を以下に定め、全従業員による税務コンプライアンスの維持向上を目指しています。

古河電工グループ税務コンプライアンス・ポリシー

  1. 適切な納税意識
    税務コンプライアンスは、当社グループおよび当社グループに係るすべてのステークホルダーにとって重要な論点である。また、当社グループが支払う税金は、その支払いが行われる国の経済および社会発展等の成長するための重要な役割があることを理解する。当社グループが各国の関連法令に従った適正な税金納付をすることは当然のことであり、社会貢献のひとつの手段と認識する。
  2. コンプライアンス規範
    税務コンプライアンスは、古河電工グループCSR行動規範の「単に法令遵守にとどまらず、社会の構成員としての企業および企業人に求められる価値観や倫理観に即した行動をとること」という考えとも整合する。
  3. 税務フレームワーク・組織再編対応
    税法の遵守、税務当局との信頼関係の構築、移転価格を中心に国際的な税務フレームワークに真摯に取り組み、以下についても十分配慮しなければならない。
    1. 事業目的や実態の伴わない組織形態を援用することによって税金負担を少なくしてはならない。
    2. さらに、すべての取引には事業目的と事業実態が備わっている必要がある。税務恩典(タックスアムネスティを含む)の適用を受ける場合でもその恩典の背後にある社会要請に応えることも含め判断し、事業目的と事業実態が伴わない場合は当該取引を実行してはならない。
  4. 株主価値最大化
    税務コンプライアンスが十分遵守されていることを前提として、当社グループは株主価値向上のため、税務リスクの極小化に努め、税務ポジションを定期的に確認し、税額控除等の税務恩典の適用および適正な税務申告により税務費用を抑制する。

課題と今後の方針

これまで当社が取り組んできたコンプライアンスに関するさまざまな施策に、グループ会社の参加範囲をさらに拡大していくことが当社グループとしての課題と認識しています。今後ともグループ全体を視野に入れた効果的な教育コンテンツ整備やグローバルな推進体制の強化に注力し、海外コンプライアンスセミナーの開催を増やしながら、「皆で考え、行動するコンプライアンス」をスローガンに、一人ひとりの自発的行動を促すことでコンプライアンス意識のさらなる向上を図ります。