金子洋、江口立彦、井上博史

概要

バネ用銅合金である析出硬化型Cu-Ni-Si系合金薄板の結晶方位分布が弾性異方性に及ぼす影響を調査した。再結晶で集積する複数の結晶方位の構成比率を変化させ、結晶方位分布をX線極点図測定及びEBSDで、ヤング率を共振法及び引張法で測定した。最も低いヤング率を示したCube方位{100}〈001〉が集積する場合と最も高かったR方位{231}〈346〉の場合では30 GPa以上も変化し、結晶方位分布関数(ODF)を基にしたHillモデルとよく対応した。本効果によれば従来の固溶元素の増加によるヤング率の制御とは異なって、良好な導電性を損なわずにヤング率のバリエーションを拡げられるので電気接点部のバネの設計自由度を大きく向上し、コネクタの高機能化に貢献する。

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