Zoltan Varallyay、Gabor Gajdatsy、Andras Cserteg、Gabor Varga、Gyula Besztercey

概要

ファイバレーザは、出力レベルや堅牢性が固体レーザの特性に匹敵するものになってきて、レーザ市場における存在感が増してきているとともに、ますます要求が高まってきている。その理由は、ひとつにはフォトニック結晶ファイバに代表されるような最新の光ファイバ関連の技術開発成果を使えること、またこれまでに蓄積されてきた多種の光ファイバ技術を用いて洗練されたシステム設計ができることなどが考えられる。ある特定の応用先が決まった時に、必要となるパラメータを最適化したり特性値を最大化したりするために、システムの特性をシミュレーションすることは必要不可欠である。FETIでは、連続光(CW)発振器としてだけではなく、パルス発振器や増幅器としてのファイバレーザのシステム特性を計算するアルゴリズムを有している。このアルゴリズムには、ある思想で定義された評価関数を最大化するように系を最適化する際の、「しらみつぶし法」や「単体法」も取り入れることが可能である。分散や非線形、その他損失や利得を考慮することに伴う様々な効果も取り入れることができる。具体的には、非線形のシュレディンガー方程式とレート方程式を出発点として、様々なソルバーを組み合わせることで、希土類をドープした光ファイバ中のパルス伝搬を計算できるアルゴリズムを構築している。このアルゴリズムを用いると、直線ファイバでも、リングファイバ発振器でも、パワー増幅器でも、それぞれ境界条件を満足させるような計算を行うことが可能である。本報告書では、開発したアルゴリズムをいくつかのサブシステムに適用させた例を示している。アルゴリズムの確認のみではなく、計算結果はより安定な超高出力ファイバレーザシステムを開発する道筋を示すものとなっている。

古河電工時報に関するお問い合わせ