古河電工と島根県美郷町 包括的連携に関する協定を締結
~ AIを活用した獣害対策など、地方自治体が抱える地域課題の解決に貢献 ~

2020年11月25日

  • 野生動物および自然災害による被害防止等に関する包括的連携協定を島根県美郷町と締結します
  • AIで野生動物を検出・計測して野生動物の生息域を把握する手法などについて検証します
  • 当社は長年培ってきた技術で防災・減災をはじめとする地域課題に取り組み、安全・安心・快適な社会の実現に貢献します

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)と島根県美郷町(町長:嘉戸隆)は、野生動物および自然災害による被害防止等に関する包括的連携協定を締結しました。
本協定は、人と動物との共存および自然環境との調和を探求し、相互に有する知的資源・人的資源・物的資源の活用により地域社会の持続的発展に資することを目的に締結するものです。本協定の締結により、協創を促進し、地域の活性化を図ってまいります。

背景

近年、想定外と言われる自然災害により、誰もが“あたりまえ”と思っている日常が脅かされる事態が多発しています。美郷町は、豪雨による江の川の氾濫など自然災害も発生しており、新型コロナウイルス感染予防にも配慮した対策を講じていく必要があります。また、美郷町は20年間の獣害対策やイノシシの資源利用などのノウハウの蓄積とその強みを生かした「美郷バレー構想(=鳥獣対策版シリコンバレー)」(注1)を掲げており、企業や大学、都市などと地方が一体となった共創により、地域課題の解決に積極的に取り組んでいます。
それらの防災・減災をはじめとする地域課題に対して、古河電工でこれまでに培った技術を活用し、地域住民の皆様の生活の安全・安心・快適を守るシステムの提供を検討してまいります。

内容

1. 農作物被害等への取り組み(獣害対策)

美郷町の有する獣害対策の研究成果をもとに、地域の抱える課題を解決する技術の研究開発を進めます。具体的には、AIによる野生動物の検出および計測の有効性を検証し、野生動物の生息域を把握する手法を模索します。将来的には、生息域の管理技術を開発し、人と野生動物の生息域を分けることで農作物被害の低減などを実現することを目指します。

(注 1)美郷町「美郷バレー構想」
美郷町では、日本をリードする「鳥獣害対策版シリコンバレー」として、産官学民が自発的に集い、互いが刺激し合って地域活性化の革新につなげていく環境の場を「美郷バレー」として整備しています。

2. 防災・減災

江の川を有する美郷町は自然災害に対する経験や知見を多く持っています。それらの記録や教訓をもとに、当社が有する技術やネットワークを活用し、防災・減災対策のモデルケースの構築を目指します。

参考:当社の防災用製品例 『スキルフリー®(注2) 避難時用マット』
壁緩衝材・床マット・パーティションの用途を備えており、災害時は避難所などで組み立てて利用できます。

参考:当社グループの災害対応製品例 『スマコミライト®(注3)
太陽光発電装置と蓄電池にLED照明を組み合わせた夜間照明用の街灯で、常時電源供給が不要です。商用電源を使用していないため、停電に影響されません。また非常時には、スマートフォン等への給電も可能です。

(注 2)『スキルフリー』は古河電気工業株式会社の登録商標です。

(注 3)『スマコミライト』は株式会社岡野エレクトロニクスの登録商標です。

協定書調印式

11月24日(火)に島根県美郷町町役場にて協定書調印式を執り行い、連携体制を構築すべく協定書を取り交わしました。

左:当社 取締役兼執行役員常務 黒田 修
右:美郷町 町長 嘉戸 隆氏

美郷町 町長 嘉戸隆氏 コメント

古河電工にとっては、自治体の全面的な支援を得て、課題先進地である美郷町を実証フィールドとすることで、近い将来日本のあちこちで直面するであろう課題にいち早く対応した製品開発が可能となります。一方、美郷町にとっては、自前では持つことのできない最先端技術を活用して課題の解決を試みることが可能となります。
本日の協定により、課題の解決に歩調を合わせて向かっていけるWin-Winの関係が構築できると共に、ひいては全国で同様の課題を抱えるたくさんの地域にソリューションを提示できれば幸いに思います。

当社 取締役兼執行役員常務 黒田修 コメント

古河電工は、創業より電線をはじめとする製品で「伝える」「繋ぐ」ということでインフラ構築に貢献してきました。そして、これまで培った当社の技術や製品がどこで役に立てるのか考えてまいりました。そのような中、社会問題となっている獣害や、最近の豪雨による河川の問題などの防災減災については、当社の基本理念である真に豊かで持続可能な社会づくりに貢献するものであり、協定を締結できたことをうれしく思っております。今回の活動の中で、当社にとって新しい事業の種となり、美郷町の課題解決ができればと考えております。誠心誠意、頑張ってまいります。

協定調印式立会人 麻布大学 客員教授 江口祐輔氏 コメント

麻布大学は、美郷町とは2019年3月に包括協定を締結し、「美郷バレー構想」をはじめ多くの連携を図ってきております。美郷町をはじめ各地で野生動物による農作物被害が問題となっていますが、野生動物は農作物だけを狙って人里に出没しているわけではなく、人間が野生動物を人里に誘引してしまう環境を意図せずに整えてしまっています。農作物被害を減らすためには、野生動物を正しく理解し、対策を講じていく必要があります。
今回、まずは野生動物の生息域を把握する手法を確立することを目指していますが、野生動物の本来の生息域と人に誘引された場合の生息域を知ることは、農作物被害や人の生活域への出没の低減に必要な情報だと言えます。これらの取り組みを通じ、野生動物による農作物被害の適切な対策を講じることが期待されます。

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念に掲げて、4つのコア技術(メタル・ポリマー・フォトニクス・高周波)を軸に、事業活動をしています。さらに、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、当社グループの事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定し、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。

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