直流525kV級ケーブルシステムの長期課通電試験が完了
~ 直流用押出絶縁材料の安定供給化を実現しサプライチェーンを構築 ~

2021年4月30日

  • 洋上・陸上風力発電等に求められる直流525kV押出絶縁ケーブルシステムを開発
  • 直流用絶縁材料の安定供給の実現とサプライチェーン構築により、大容量の系統連系に貢献

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)は、直流押出絶縁ケーブル開発推進において、直流525kV級ケーブルシステムの長期課通電試験を完了しましたので、お知らせいたします。

背景

政府による「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の推進も相まって、洋上および陸上の風力発電を中心とした再生可能エネルギーの適用拡大が今後一層期待されています。これらの電源立地は需要地から遠く離れることが多く、その発電電力の輸送のために海底あるいは陸上に布設する長距離・大容量の電力ケーブルの必要性は今後ますます増加すると考えられます。

内容

当社は、長距離・大容量の送電に適した直流ケーブルシステムの開発を推進しており、このたび、海底および陸上の布設にそれぞれ適した直流525kV押出絶縁ケーブルシステムの長期実証試験を完了しました。

海底ケーブル向け

2015年度から2019年度にかけて国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「次世代洋上直流送電システム開発事業」において、直流525kV押出絶縁ケーブルシステムの長期実証試験を実施しました。この事業においては、海底ケーブル線路のコストダウンも視野に入れたDC525kVケーブルシステムの開発として、海底ケーブルの布設環境に応じて導体サイズを最適化した異径工場接続部の開発を中心とした取り組みを行ってきました。

陸上ケーブル向け

直流525kV押出絶縁ケーブルシステムの実証試験を第三者試験機関にて実施し、長期実証試験についても昨年度に完了しました。

いずれの長期実証試験も、CIGRE(注1)が発行した技術資料に基づく試験推奨法に則って実施しました。

古くから採用されている油浸紙絶縁ケーブルでは、片極性となる直流電圧が常時印加される場合においても、絶縁体内部の空間電荷はほとんど問題となりませんが、ポリエチレンなどの固体樹脂絶縁材料を直流ケーブルに適用する場合は、絶縁体中の空間電荷挙動の制御が必要となります。この課題を解決するための取り組みとして、当社は株式会社ENEOS NUCと共同で基礎研究の段階から、架橋ポリエチレンに特殊な加工を施して空間電荷制御機能を向上させた直流特性の高い絶縁材料の開発を行なっています。このたび、同社での量産体制を確立することで、将来における当社の高電圧大容量の直流押出絶縁ケーブル用材料の安定供給体制を構築しました。これにより、大容量の系統連系に貢献します。
なお、直流ケーブルは一般的に低損失で大容量の送電が可能ですが、空間電荷制御機能を向上させたことで直流ケーブルの信頼性を高めることを実現致しました。また、海底ケーブルの布設環境に応じて導体サイズを最適化する技術を開発したことにより、消費資源量の最適化を実現しました。

当社は今後も再生可能エネルギー関連事業への注力を通してSDGsと「古河電工グループビジョン2030」の達成および2050年のカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。

(注 1)CIGRE(Conseil International des Grands Réseaux Électriques):国際大電力システム会議。電力ネットワークに関する国際的な技術団体。

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。

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