古河電気工業と日亜化学工業、モビリティの電動化推進を支える基幹技術(レーザ加工)において業務提携
~ 加工用青色レーザの生産拠点統合と共同ラボ開設により市場探索と共創を深化 ~

2021年4月26日

  • xEV基幹部品における銅加工のデファクトスタンダードを目指し、長期的な業務提携に合意
  • 加工用青色レーザダイオードモジュール(LDM)の生産拠点の統合と次世代青色LDMの共同開発の推進および共同運営アプリケーションラボの開設
  • xEVの社会普及促進と持続可能な社会の実現に貢献

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一、以下、「古河電工」)と日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市上中町岡491番地、代表取締役社長:小川裕義、以下、「日亜化学」)は、モビリティの電動化推進を支える基幹技術(レーザ加工)に関し持続的な協業関係の強化を目的として、長期的な業務提携に合意しました。
脱炭素社会を実現する手段の一つとして、モビリティの電動化(xEV)が加速し、大きな変革期を迎えています。xEVの基幹部品であるモータや電池などで銅が多用されることから、銅をいかに効率よく加工するかが生産性向上における大きな課題となっています。古河電工と日亜化学は、2017年から対等かつ良好な関係を長期にわたって構築するという合意に基づき、青色LDMを共同開発し、赤外レーザと組み合わせて最適化を図ることで既存技術や他の技術にはない加工安定性、加工速度、加工品質を実現し、銅加工における課題解決に資するハイブリッドレーザ(注1)の加工技術を確立しました。
本業務提携の合意は、両社の技術融合の強化によりxEVを支える基幹技術であるハイブリッドレーザの加工性能をさらに進化させ、銅加工におけるデファクトスタンダードとなることを目指します。
それにより、xEVの基幹部品の生産効率向上とコスト低減に寄与し、xEVの社会普及促進に貢献するとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

本業務提携の合意は、これまで両社が培ってきた技術を結集し共創を積み重ねてきた成果を確認および表明するものであり、今後相互の協力関係をこれまで以上に強化し発展させるための第一歩です。将来的には合弁会社設立を視野に入れながら、加工用青色LDMの生産拠点の統合と次世代青色LDMの共同開発を進めます。また、共同で市場探索を行いお客様へ銅加工に関するソリューション提案を行う活動の一環として日亜化学の横浜研究所にハイブリッドレーザ加工の共同運営アプリケーションラボの開設を推進します。
これらの具体的な共創の推進により、xEVを支える基幹技術であるハイブリッドレーザの加工性能をさらに進化させ加工のソリューションを提供することで、お客様の銅加工の生産性向上に寄与することを目指します。

背景

近年、持続可能な社会の実現を目的として、走行中にNOx(窒素酸化物)やPM、CO2を排出せず、気候変動対策に有効なxEVの開発が世界中で進められています。最近では、各国政府の政策のもと、2030年代を目処にガソリン車を廃止する機運が急速に高まってきています。このような状況下では、xEVに欠かせない電池、モータ、およびインバータ等の製造量が飛躍的に伸びるとみられます。
xEVの基幹部品である電池、モータ、インバータ等の製造工場では、導体である銅の接合に抵抗溶接、超音波溶接、アーク溶接など、様々な溶接工法が用いられています(図1)。工場から排出されるCO2削減や工程の自動化を含む更なる効率向上を目的に、連続波として出力が安定しているファイバレーザや半導体レーザを加工熱源として使うレーザ溶接の導入が検討され始めています。その中で、銅に対する光反射率が極めて高く、高品質な加工が難しい従来の近赤外光(波長1070nm帯)を使ったレーザ光源に代わり、銅に対して光吸収性の良い高出力な青色レーザ(波長450nm帯)へのニーズが高まっています。

図1. xEVの主要構成部品と銅加工例

内容

青色LDMの生産拠点の統合

2017年10月より、日亜化学が高出力青色レーザダイオードを、古河電工が青色LDMの開発を行い、2021年1月に光出力170Wを実現した青色LDMを共同開発しました(図2)。
今後も青色LDMの製品開発を加速させるため、2022年5月から青色LDMの生産拠点を日亜化学の徳島県内の事業所に統合し、共同開発体制をより深め、青色LDMの高出力化・高輝度化・高信頼性の実現と価格競争力の両立を目指します。将来的には青色LDMの生産に関する合弁会社の設立も視野に入れています。

図2. 光出力170Wの青色LDM

共同アプリケーションラボの開設

レーザ加工技術における共創においては、2021年6月に日亜化学の横浜研究所に専用アプリケーションラボを共同で開設し、古河電工製ハイブリッドレーザBRACE™-Ⅰを導入します(図3、(注2))。
本ラボでは、お客様が持ち込んだサンプルを用いてテスト加工を実施しながら、共同でレーザ加工のソリューションを提案します。まず最初のアプリケーションとして、両社が有するxEVに欠かせない部品製造に関する知見をいかし、リチウムイオン電池の銅箔集電体やバスバーの溶接加工を中心に提供し、本ラボの共同運営を通じたマーケティング活動により、レーザ加工の市場探索を推進してまいります。

図3. 共同アプリケーションラボ

次世代ハイブリッドレーザBRACE™の製品ロードマップ

古河電工は、日亜化学と共同開発した青色LDMを搭載したBlue-IRハイブリッドレーザBRACE™-Iを本年1月に製品化しました。2022年度にはxEVの普及を促進する新たなレーザ加工に不可欠な次世代ハイブリッドレーザBRACE™-ⅡおよびBRACE™-Ⅹの製品化を目指します(図4)。世界最高レベルの銅のレーザ加工の実現により、BRACE™のプレゼンスを高めるとともに、市場ニーズを的確に捉え、高品質・高速・高信頼なレーザ加工ソリューションを提供し続けます。

図4. 次世代ハイブリッドレーザBRACE™のロードマップ

(注 1)ハイブリッドレーザ:青色レーザ発振器と赤外ファイバレーザ発振器を組み合わせたレーザ発振器。

(注 2)BRACE™:古河電工の商標(出願中)。BRは青色(Blue)と赤外(infraRed)を、ACEは“エース・最高の”を意味し、BRACEは1つの単語としても“つがい・一組”の意味を持つ。

関連ニュースリリース

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。

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