絞り加工用銅合金条EFHD®‐97を改良
~ 材料の異方性を低減することで、「耳」の出ない高深絞り加工を実現 ~
- EFHD®-97の絞り加工性を改良し、高強度・高導電率・高熱伝導性の特性を保ったまま「深さ/直径比」が10を超える円筒絞りを実現
- 半導体や基板検査装置に用いられるコンタクトプローブなど、大きな「深さ/直径比」が求められる製品への用途拡大を目指す
古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:森平英也)は、2023年3月にサンプル出荷を開始した銅合金条「EFHD®(E Furukawa High Drawability)」シリーズのうちEFHD®-97を改良し、深絞り加工性を向上させました。これにより、大きな「深さ/直径比」が求められる円筒絞りにも適用することが可能となり、半導体や基板検査装置に用いられるコンタクトプローブや円筒型ケースなどへの用途拡大を目指します。
背景
モビリティの電動化・自動化、クラウドコンピューティングや生成AIの普及により、半導体および電子回路基板製造の需要はますます増加し、これに伴い、より高速かつ高精度な半導体検査装置や基板検査装置の需要も増加しています。検査装置の高速化・高精度化にあたっては、検査用のコンタクトプローブのバレル(パイプ)部に用いられている黄銅、りん青銅、洋白などの銅合金製の部品の強度を高め、高導電率(高熱伝導率)な合金で置き換えることで、部品の剛性と放熱性を向上させることが有効と考えられます。
高強度・高導電性・高熱伝導性と絞り加工性を兼ね備えたEFHD®シリーズにはEFHD®-64(クロム系銅合金)、EFHD®‐97(コルソン系銅合金)、EFHD®-98S(コルソン系銅合金)がありますが、今回はこの3種のうち最も強度と導電性のバランスに優れたEFHD®-97を改良しました。
内容
当社独自の結晶方位制御技術を用いて圧延条特有の異方性(長手方向と幅方向で機械的特性が異なること)を低減することにより、円筒絞りの課題であった「耳」(注)の発生を抑制し、絞り加工性を改良しました(図1)。このたびの改良では、旭精機工業株式会社(本社:愛知県尾張旭市旭前町新田洞5050-1、代表取締役社長:神谷真二)との共創により、深さ/直径比が10を超える絞り加工を実現し、寸法精度(真円度)の高い加工が可能であることを確認しました(図2)。
本製品は本年度中の量産・販売開始を予定しており、2025年度には月産20トン以上を目指します。今後も幅広い用途へEFHD®シリーズを提供することで、様々な電子部品の高周波化・大電流化・小型化の実現と、それによるデータ通信技術の高度化に貢献してまいります。
(注) 板材から円筒状など立体形状に加工したときに発生する形状不良(うねり)
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『EFHD』は日本における古河電気工業株式会社の登録商標です。
古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
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