2026年に実証実験衛星「ふなで」打ち上げ
~ 宇宙空間での実証実験を通じた共創を推進 ~

2025年11月5日

  • 2026年10月に共同開発した衛星「ふなで」を打ち上げ、1年間の実証実験を行う
  • 古河電工は人工衛星用コンポーネントの信頼性と安定性の検証に加え、宇宙事業の展開に向けた新商材の開発にも取り組む
  • 東京大学は将来の高精度フォーメーションフライト衛星の実現につながる基礎データの取得を目指す

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:森平英也、以下「古河電工」)と国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(東京都文京区本郷7丁目3番1号、研究科長:加藤泰浩、以下「東京大学」)は、2023年に同大学内に開設した社会連携講座「小型・超小型衛星におけるビジネスエコシステムの創成」(講座長:中須賀真一教授)を通じて設計開発した実証衛星「ふなで」を2026年10月に打ち上げ、古河電工製人工衛星用コンポーネントの軌道実証と、東京大学が研究を進めるフォーメーションフライトの基礎運用実証を行います。

背景

近年、世界の宇宙産業の市場規模は約54兆円に拡大しており、今後も様々な分野や用途での利用に伴う市場拡大が期待されています(注1)。人工衛星市場においては大型衛星に比べて低コストかつ短期間で開発が可能である小型・超小型衛星の利用拡大が期待されています。特に地球観測や通信インフラの構築等のミッションで多数の衛星を利用する小型衛星コンステレーション(注2)により衛星開発数が爆発的に増大する可能性が高まっており、迅速な設計対応や安定的な製造技術は今後の宇宙産業の重要な競争力の源泉となります。古河電工と東京大学は2023年4月に同大学内に社会連携講座を開設し、今後大量に製造が必要になる小型・超小型衛星および搭載する各種コンポーネントの設計・開発を中心とする技術習得、より効率的で付加価値の高い人工衛星製造・供給体制の構築に向けた諸課題の検討に取り組んできました(注3)

内容

古河電工と東京大学は、2026年10月に共同開発した実証実験衛星「ふなで」を打ち上げ、2027年10月まで軌道上での実証実験を行います。

実証衛星「ふなで」概要

同衛星は、4Uサイズ(110mm×123mm×499mm)のCubeSat衛星2基が、分離伸展機構を介して結合・分離する構成です。2基の4U衛星はほぼ同一構造となっており、本実証の結果を量産体制構築にフィードバックすることで、古河電工の人工衛星の安定的で効率的な製造体制の確立に貢献します。

古河電工による人工衛星向けコンポーネントの軌道実証

「ふなで」向けに改良したヒートパイプモジュールなどの製品の信頼性や安定性を検証し、人工衛星用コンポーネントの設計・開発を進めます。また、実証実績をもとに効率的で付加価値の高い人工衛星の製造および供給体制を検証します。さらに、宇宙事業の展開に向けて新たな商材の開発にも取り組みます。

図1 衛星外観図
(写真はEM、SAP展開後)

項目 仕様
ミッション 自社開発コンポーネントの起動実証、フォーメーションフライトの基礎運用実証、360°カメラ撮像
開発コンポーネント ヒートパイプモジュール、Sバンド送受信機(S-TRx)およびSバンドアンテナ、On-Board Computer(OBC)、高耐久性アルミ電線EFDURALⓇ
サイズ 4UCubeSat(110mm×123mm×499mm)×2
質量 16kg以下
軌道 太陽同期軌道
軌道高度 500km
打ち上げロケット 米国製

ヒートパイプモジュール

氷点下でも動作し、かつ逆作動(トップヒート)条件下でも優れた熱伝導性能を持つヒートパイプモジュール。空気対流による放熱ができない宇宙空間での熱マネジメントに最適。

Sバンド送受信機(S-TRx)

超小型衛星にも搭載可能なサイズと重量で、複数の変復調方式に対応し、かつ高速通信可能な高いビットレートを備えたSバンド送受信機。地上からの迅速な指令や高度なミッションの達成に貢献。

On-Board Computer(OBC)

軌道上での書き換えも想定した、高い信号・計算処理能力をもつOBC。多様な構成・ミッションの衛星の迅速な開発を支援。

高耐久性アルミ合金線EFDURAL®(エフジュラル)

当社独自のメタル技術により、微細な結晶粒をもつ新たなアルミニウム合金線材。強度を純アルミニウムの2倍以上、耐振動性・繰り返し屈曲性を100枚以上まで高めつつ、曲げ加工や撚り加工などの成形性を両立。

東京大学によるフォーメーションフライト(注4)衛星の基礎運用

2基で構成される本実証衛星の特徴を生かし、各衛星にGPS受信機やカメラ、レーザ技術を応用した高精度センサを搭載することで、これらのセンサの宇宙空間での実証を行い、将来の高精度フォーメーションフライト衛星の実現につながる基礎データの取得を目指します。

図2 CGによる衛星分離伸展の様子

(注 1)経済産業省「国内外の宇宙産業の動向を踏まえた経済産業省の取組と今後について」(令和6年3月)

(注 2)多数の小型衛星を衛星軌道上に配置し、互いに連携・協調させた高度なミッションを行う状態

(注 3)社会連携講座の概要

講座名 小型・超小型衛星におけるビジネスエコシステムの創成
研究目的 小型・超小型衛星の開発・製造・供給体制の構築・強化をふまえた競争力ある衛星サービスを生み出すビジネスエコシステムの創成
講座長 中須賀真一教授(東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻)
研究実施場所 東京大学および古河電工
設置期間 2023年4月1日~2026年3月31日(延長準備中)

(注 4)フォーメーションフライト(編隊飛行):複数の衛星が協調することで一つのミッションを達成する技術。お互いの位置・姿勢を制御することで、一つの衛星のサイズに縛られない数百mから数kmにおよぶ大規模な観測システム等を構築することができる。

『EFDURAL』は日本における古河電気工業株式会社の登録商標です。

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お問い合わせ先

古河電気工業株式会社
広報部 村越
E-MAIL: fec.pub@furukawaelectric.com

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科
広報室
E-MAIL: kouhou@pr.t.u-tokyo.ac.jp

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。

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