田中賢吾、岩野勇輝、木原 泰、反町真人、鮎澤恒志

概要

自動車走行中のエンジン排熱を蓄熱し,コールドスタート時にエンジンオイルやミッションオイルなどを,その溜めておいた熱によって暖機するシステムを開発している。早期暖機することで始動時の燃焼効率が改善すると同時にオイルのフリクションロス(摩擦抵抗)も低減するため燃費を改善することが可能となる。排気熱の温度帯を利用するための蓄熱材として代表的な酸化カルシウムがある が,大きな出力を得ようとする場合,材料の表面積を大きく取り,水蒸気との反応を促進させる必要があるため,装置が大型化する課題があり,自動車搭載の障壁となっていた。我々は,ヒートパイプ技術と蓄熱材を組み合わせて水蒸気(気体)ではなく,水(液体)と蓄熱材とを直接反応させて高出力で高密度な小型の蓄熱システムとすることを検討してきた。これまで原理試作器による一次評価において,従来型蓄熱器の2倍以上の熱出力密度となるデータを得ている。

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