藤原英道、金子 洋

概要

近年,電子コネクタの小型化と実装密度の増加に対応して,電子機器の性能を向上させるために冷間加工と時効処理を組み合わせたプロセスを制御することにより製造される銅合金材料には,強度,加工性,および高導電性を適合させることが必要とされてきている。特に,固溶強化合金では,ミクロ組織の変化挙動は非常に複雑であるが,冷間加工プロセスでのミクロ組織の変化が非常に重要な要素となる。本報告では,転位の導入,転位セル/下部構造および変形双晶の形成に起因するミクロ組織の変化および変形工程における動的回復の効果を評価する計算モデルを提案した。また,このモデルを用いて,加工条件,ミクロ組織,変形応力の関係について,冷間加工工程によるミクロ組織の変化を解析した。異なる積層欠陥エネルギーを持つ様々なCu-Zn-Si系合金に対して評価を行い,実験結果と計算結果を比較することにより,計算モデルの妥当性を確認した。さらにこのモデル計算の結果に基づく変形双晶形成におけるミクロ組織制御の考え方についてまとめた。

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