高速大容量通信を実現する狭線幅・高出力の小型ITLA の開発に成功
〜100Gbps 超の高速光デジタルコヒーレント伝送装置向けにサンプル出荷を開始〜
当社は、高出力化に適した波長可変レーザチップを新たに開発し、小型ITLA(注1)の更なる狭線幅・高出力化を実現しました。今後サンプル提供を開始し、その後速やかに量産体制を確立します。
背景
近年、スマートフォン、クラウドコンピューティング、動画配信、ソーシャルネットワークの普及などにより、通信基幹網及びデータセンタ間での通信トラフィックが世界的に増加しています。このようなトラフィック増加に対応するため、光デジタルコヒーレント(注2)方式による100Gbps/200Gbps の大容量伝送システムの導入が進んできました。
当社は、光デジタルコヒーレント方式の信号光および局発光(注3)用に優れた特性を発揮する小型ITLAを製品化していますが、通信トラフィックは加速度的な増加が続いており、市場及び顧客からは400Gbps 超、更には1Tbps を超える大容量化に対応するため、ITLA の更なる狭線幅・高出力化が望まれていました。
(注 1)小型ITLA;
世界で本格的な導入が進む毎秒100 ギガビット(以下、100Gbps)を超える超高速光デジタルコヒーレント伝送装置のキー部品。
(注 2)光デジタルコヒーレント;
光の位相(波の状態)を用いることで、信号劣化に強く雑音の影響を受けにくい伝送方式。光の位相情報をデジタル信号処理を用いて検出するため、少ない帯域幅で多くの情報を伝送することが可能となる。
(注 3)局発光;
伝送データから位相の情報を取り出すため、信号光と干渉させる目的で局部的に用いられる光源。狭い線幅特性が要求される。
内容
このたび当社は、長年培ってきたInP (Indium Phosphide)半導体チップ技術により、独自の回折格子構造を持つレーザーアレイと低損失光カプラーをモノリシック集積し、世界トップレベルの高出力化と狭線幅化を同時に実現した「狭線幅・高出力 小型ITLA」の開発に成功しました。
この高出力・狭線幅化は、当社の持つ高精度パッケージング技術により消費電力など他の特性を損なわずに、従来と同等以下のパッケージサイズで実現しました。コマンドインターフェースはOIF(注4)で標準化されている規格に対応しており、光通信機器へ容易に導入頂けます。
(注 4)OIF(Optical Internetworking Forum);
光ネットワーク機器と、その光部品に関する標準化を推進する業界団体。
特長
狭線幅・高出力 小型ITLA | 当社従来品 | |
---|---|---|
波長可変幅 | 1528~1564nm (C 帯) | 1528~1564nm (C 帯) |
光出力 | 19dBm | 15.5dBm |
線幅 | 100kHz | 300kHz |
波長安定性 | <±2.5GHz | <±2.5GHz |
消費電力 | 5W | 5W |
サイズ | 37.5(L) × 20(W) × 7(H) mm | 37.5 (L) × 20(W) × 7.5(H) mm |