歴史的建造物に高速大容量通信を実現、チリ共和国で光ファイバネットワークを構築
〜細径光ファイバケーブルを採用し、歴史ある校舎がインテリジェントビルに〜

2017年9月20日

当社は、チリ共和国の大学に光ファイバネットワークを構築し、本年3月に引き渡し式典を開催しました。世界最先端の光ファイバケーブル技術を導入することで、歴史的な建造物を残しつつ、大容量高速通信を可能としました。

背景

チリ共和国では、2013年5月に採択された「デジタル・アジェンダ・チリ 2013-2020」政策などにもとづいて、光ファイバネットワークの構築が進められています。さらに加入者が任意の通信サービスを選択できるよう、建物内に必要十分な光ファイバケーブルを敷設することを義務づける法整備も2015年1月に施行されており、これによりFTTH(注1)サービスの普及促進が期待されています。
一方、同国には歴史的な建造物が数多く残されており、これら建造物内ではケーブル用配管に余剰スペースが無く、さらに新規配管の敷設もできないため、新規通信事業者用の光ファイバケーブルの敷設が困難な状況が散見されます。この状況を解決するために、狭いスペースでも追加敷設できるような光ファイバケーブルが求められていました。

内容

当社は、日本の総務省事業の一環で実施されたチリ共和国のテクニカ・フェデリコ・サンタ・マリア大学(Universidad Tecnica Federico Santa Maria、以下UTFSM)の光ファイバネットワーク構築を受注し、このたび引き渡し式典を開催しました。
UTFSMは、1929年の設立であり、歴史ある校舎に新規の光ファイバケーブルを敷設するには課題を抱えていました。当社は、細径で外被を低摩擦化した光インドアケーブルである「低摩擦インドアケーブル(注2)」を用いることで、配管の狭いスペースへの敷設を実現しました。さらに構内のバックボーンには、施工性に優れ、細径かつ軽量である「ローラブルリボンケーブル(注3)」を採用し、歴史的な建造物を残しつつ、約30心kmの光ファイバネットワークを有するインテリジェント・ビルディングを実現しました。

ローラブルリボンケーブル

ローラブルリボンケーブル

(注 1)FTTH;Fiber To The Home の略。光ファイバを加入者宅に直接引込み、伝送路として用いるアクセス系通信システムおよびそれによる情報通信サービス。

(注 2)低摩擦インドアケーブル;ケーブルの外被に摩擦係数を従来の1/5程度に抑えた材料を使用し、断面積を従来比1/2程度としつつも、適度な剛性を持たせることにより、配管内への通線性を向上させたケーブル。

(注 3)ローラブル・リボン・ケーブル;複数の光ファイバを横一列に並べ、間欠的に接着した光ファイバリボンを収納したケーブル。リボンは複数心を一括で接続できるため、施工時間を短縮することが可能な他、容易に変形させる(丸める)ことができるため高密度実装が可能になり、ケーブルを細径化、軽量化できる。

UTFSMに構築した光ファイバネットワークの概念図

UTFSMに構築した光ファイバネットワークの概念図

引渡し式典は日本の総務省のほか、チリ共和国電気通信総局(Subsecretaría de Telecomunicaciones)次官、UTFSM学長、Entelなどの通信事業者、近隣大学関係者など約70名の関係者が参加して盛大に行われました。
当式典を契機に、当社は近隣大学からも新たなFTTHパイロットプロジェクトを受注するなど、引き続き、世界の高速大容量通信の実現に貢献してまいります。