高いビーム品質を有する12kWファイバレーザを実現
~金属の厚板加工や高速加工で高付加価値と効率化に貢献~

2019年11月28日

当社は、高いビーム品質を備えた12kWファイバレーザを製品化しました。ビーム品質(注1)を良好に維持しつつ高出力化を行うことで、金属の厚板溶接や薄板の高速溶接が可能となり、高付加価値加工の実現および製造コスト削減に大きく貢献します。自動車や船舶における難接合材の溶接など高度な加工技術でものづくりの競争力を支援していきます。

背景

近年、ファイバレーザによる金属加工が広く使われるようになり、加工時間の短縮や新規材料の適用(注2) が実現しています。さらに、造船分野等における金属厚板の溶接工程へのレーザ適用や、自動車製造における溶接工程の高速化のため、さらなる高出力化が期待されていました。一方で、レーザの高出力化は一般にビーム品質の低下を招くため、加工点のパワー密度が低下し十分な加工特性が得られない場合がありました。また、金属蒸気やスパッタ等が大量に発生し溶接品質が不安定化する課題もありました。

内容

このたび当社は、高いビーム品質(BPP≦3.5)を有する12kW出力ファイバレーザを製品化しました。本レーザで得られる高パワー密度により、各種金属に対して深溶け込み溶接(下図)や溶接速度の高速化を実現します。また、当社が予てより開発を進めているビームモード制御技術を適用することにより、10kW超の高出力レーザを用いた厚板溶接で課題となるスパッタ飛散の抑制、自動車用亜鉛めっき鋼板やアルミニウム合金の高速かつ高品質な溶接が可能となります。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も進めて参ります。今回製品化した12kWファイバレーザの技術をベースとして、2020年には同サイズの18kW出力ファイバレーザの販売を予定しています。

12kWレーザ溶接結果(加工速度1m/min時の溶け込み断面、速度と溶け込み深さの関係)

備考

第19回光・レーザー技術展 (2019/12/4~12/6 於 幕張メッセ)へ出展予定

用語解説

(注 1)ビーム品質
レーザビームの集光特性を表すもので、ビーム品質が良いほど狭い範囲に集光することができるようになる。一般的にBPP (ビームパラメータ積:Beam Parameter Products)と呼ばれる値で評価され、小さな値ほど良いビーム品質を表す。

(注 2)当社2019年6月7日ニュースリリース「自動車用アルミニウム材料の高品質溶接を実現」