リサイクルが困難なプラスチックごみを身近な製品に再生
~ 当社独自の技術で、国際的なプラスチックごみ問題の解決に貢献 ~

2020年12月18日

  • ポテトチップスの袋のような積層フィルムごみを強化プラスチックに再生する技術を開発
  • 当社と日本テトラパック社の製造ロスでボールペンを製造し、両社で使用開始
  • 家具や電化製品などへ用途を拡大すると共に、自治体等と連携してリサイクルの推進を目指す

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2-2-3、代表取締役社長:小林敬一、以下「古河電工」)は、食品や洗剤包装などに使われているリサイクルが困難な積層フィルムを強化プラスチック材料に再生する技術を開発しました。また、その技術を用いて、日本テトラパック株式会社(本社:東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム8F、代表取締役社長:ヘンリック・ハウゴー、以下「日本テトラパック」)、ゼブラ株式会社(本社:東京都新宿区東五軒町2-9、代表取締役社長:石川真一、以下「ゼブラ」)にご協力いただいいて、ボールペンを作り、社内使用を開始しました。今後は、文具・家具・電化製品・自動車部品など、用途を拡大して、プラスチックごみ問題解決に貢献してまいります。

背景

プラスチックごみについては、海洋流出による環境汚染や、焼却時に発生する二酸化炭素による温暖化が問題視されていますが、一方で、新型コロナウイルスの影響でプラスチックごみの排出量が増加しています。来年1月からは、改正バーゼル条約の施行により、規制対象となるプラスチック廃棄物を輸出する際には相手国の事前同意が必要となり、各国は国内で処理することが必要となります。
ペットボトルのような単層のプラスチック製品はリサイクルが容易ですが、ポテトチップスの袋のような複数のプラスチックや、紙、アルミなどが積層している食品や洗剤のパッケージはリサイクルが困難で、そのほとんどが焼却あるいは埋め立て処分されています。当社では、このようなリサイクルが困難な使い捨てプラスチック製品と古紙を、ワンプロセスで強化プラスチックに再生する技術を2019年に開発しました。紙の主成分であるセルロースとプラスチックは本来混ざり合いませんが、紙をセルロース繊維に解きほぐしながらプラスチックに分散させることで、元のプラスチックの約2倍の強度のプラスチックに再生することができます。既に本技術を用いて、使用済みの飲料用紙パックをリサイクルした産業資材製品を2019年6月から販売しています。

内容

今回のボールペンのボディ部には、顔料以外、当社の半導体製造用テープの製造ロスと、日本テトラパックのアルミ付き飲料パックの製造ロスだけを使用しています。これらの製造ロスは3種類のプラスチックと、紙、アルミ箔が主成分なので、これらを混ぜると強度が低くなり、ボールペンの材料としては使えませんが、当社技術により強度をアップしています。又、紙はセルロース繊維に解繊しているので、紙片は残っておらず、紙ごみを使ったボールペンのようには見えません。
なお、このボールペン(注1)は、古河電工、日本テトラパック両社にて社内用として利用します。

曲げ弾性率の比較
元のプラスチックである当社製半導体製造用テープロスを高強度化し、弾性率を2倍に。

また、他の食品包装プラスチックでも、同様にボールペンの試作(注1)に成功しています。

(注 1)現時点ではプロトタイプのため、一般のお客様への販売はしておりません

今後の展望

今後は、当社製品やボールペンだけではなく、文具・家具・電化製品・自動車部品など、様々な用途に拡大していきます。また、自治体や小売店等とも連携、協業して、プラスチックごみ問題の解決に貢献してまいります。

関連ニュースリリース

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念に掲げて、4つのコア技術(メタル・ポリマー・フォトニクス・高周波)を軸に、事業活動をしています。さらに、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、当社グループの事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定し、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。

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